一周年リクエスト企画(過去サイト)
>>『はる』様より
◆◇◆
中学の時、イジメにあった。
酷いイジメだったと今だから言える。
酷すぎて今でもトラウマだから、ここでは割愛させて貰うけれど。
とにかく。まだまだ無知な子供だから出来るような残酷な事を沢山された。
それにぶちギレたのは、親でもましてや私でもなく。
――物心付く前からの幼馴染みである双子だった。
双子、秋良と冬也は見た目こそ二卵性双生児な為かあまり似ていないけれど、整った顔立ちは誰をも惹き付けるような魅力を備えている。
そんな二人は私を良く気にかけてくれて。
イジメにあっていると誰よりも先に気付いてくれた。
と、同時に自分達が原因なことも。
整った顔に加えて片やスポーツ万能、もう片や成績優秀ときて珍しい双子であれば自然注目もされる。
その中で成績は良かったけれどイマイチ二人に比べたらパッとしない私を構っているだなんて、自我が芽生え始めた中学生女子には堪えられなかったのだろう。
それでも二人は私から離れなかったから、堪らず二人に尋ねた。
「どうして二人は私から離れないの?」
それに対する二人の反応は、
「逆に聞くけどさ、どうしてはるから離れなくちゃいけねぇの?」
秋良は笑いながらそう言った。
その笑みが全く笑っていないことに、気付かなければ良かった。
秋良に続いて冬也も口を開く。
「はる。はるがイジメで苦しんで居る事は知ってるよ?でも僕らはそんな事で僕らの仲を引き裂かれたくないんだ」
「……そんな、こと…」
「勘違いすんなよ。別に軽視してる訳じゃねぇんだから」
「……それでも、そんな言い方はないと思う」
「ごめんね、はる。そんなつもりはなかったんだけど、そうだな」
僕も秋良もいい加減うんざりしてきているし、そろそろはるも限界みたいだから、片付けてしまおうか?
「……、は?」
「この前のはるをボコった連中も締め上げてぇしな」
「ああ、流石にアレは看過出来ないな」
「……ま、って、待って。秋良も冬也も何言ってるの?」
二人の会話に付いていけずにそう言えば、二人は一度だけ顔を見合わせて、そうして似てない顔で全く同じ笑い方をしてた。
甘い甘い、いつも私を甘やかす時の笑顔だ。
蜂蜜の中に砂糖を大量に入れたようなその笑顔は、けれど薄く開かれた目だけが笑っていなかった。
「何の話って、決まってんだろ?」
「「はるを泣かせた奴等を地獄に叩き落とす話だよ」」
それからは凄かった。
何がって、二人の行動が。
私を苛めていた人間、私が苛められていたのを見てみぬ振りをした人間、教師も生徒も関係無く。片っ端から何かをしたらしく、精神を壊して学校に来なくなったり、イジメを見てみぬ振りをしていたことがネットに流れて責任の擦り付け合いの結果何人かの教師が退職したり。
教師の方はニュースで流れていたから知った事で、生徒の方は噂によるものだから信憑性はない。
二人は具体的に何をしたのか教えてはくれなかったし、周りの人間も私に近付くと異常に怯えたので聞けずにいる。
ただただ私を甘やかしたがる二人は、「はるは知らなくても良いことだよ」と笑うだけ。
そんな事があってイジメはなくなり、私は今までを思えば酷く平穏に日常を過ごし、中学を卒業した。
それから二人に守られるようにして高校に入り、噂を知っている生徒や教師から腫れもののような扱いを受けてはいるけれど。
今の私にはそんな事は関係ない。
「はーる。好きだぜ」
「あ、今日は秋良に先を越されちゃったね。はる、大好きだよ」
「私も二人が好きだよ」
あの地獄のような日々から救ってくれた二人が居れば、もう何も要らないよ。
「なあ?はるは何時気付くと思う」
「さあ?でも気付かせない自信ならあるよ」
はるがイジメにあったそもそもの原因が『俺達』であると、あの大切な大好きな幼馴染みは何時気が付くのだろう?
ふとそう思って冬也に聞けば、冬也は眠っているはるの髪を梳きながら此方に視線をやらずにそう答えた。
我が弟ながら怖い発言だこと。と他人事のように内心で思う。
ガキの頃から好きだったはるを手に入れたかった。
単純なガキが純粋に思い付くようなそんな事を願った俺達は、非道にもはるを傷付けるという方法ではるを手に入れた。
はるの世界を俺達だけにする為に。
「はるも災難だよな」
「どうして?僕達に愛されて、僕達もはるを愛せて、お互いが幸せな筈だよ」
「お前はそういう奴だよな」
まあ、否定はしねぇけどな、と呟いて。
シーツに流れるはるの髪を撫でる冬也の横で、はるの額に口付けた。
◆◇◆
中学の時、イジメにあった。
酷いイジメだったと今だから言える。
酷すぎて今でもトラウマだから、ここでは割愛させて貰うけれど。
とにかく。まだまだ無知な子供だから出来るような残酷な事を沢山された。
それにぶちギレたのは、親でもましてや私でもなく。
――物心付く前からの幼馴染みである双子だった。
双子、秋良と冬也は見た目こそ二卵性双生児な為かあまり似ていないけれど、整った顔立ちは誰をも惹き付けるような魅力を備えている。
そんな二人は私を良く気にかけてくれて。
イジメにあっていると誰よりも先に気付いてくれた。
と、同時に自分達が原因なことも。
整った顔に加えて片やスポーツ万能、もう片や成績優秀ときて珍しい双子であれば自然注目もされる。
その中で成績は良かったけれどイマイチ二人に比べたらパッとしない私を構っているだなんて、自我が芽生え始めた中学生女子には堪えられなかったのだろう。
それでも二人は私から離れなかったから、堪らず二人に尋ねた。
「どうして二人は私から離れないの?」
それに対する二人の反応は、
「逆に聞くけどさ、どうしてはるから離れなくちゃいけねぇの?」
秋良は笑いながらそう言った。
その笑みが全く笑っていないことに、気付かなければ良かった。
秋良に続いて冬也も口を開く。
「はる。はるがイジメで苦しんで居る事は知ってるよ?でも僕らはそんな事で僕らの仲を引き裂かれたくないんだ」
「……そんな、こと…」
「勘違いすんなよ。別に軽視してる訳じゃねぇんだから」
「……それでも、そんな言い方はないと思う」
「ごめんね、はる。そんなつもりはなかったんだけど、そうだな」
僕も秋良もいい加減うんざりしてきているし、そろそろはるも限界みたいだから、片付けてしまおうか?
「……、は?」
「この前のはるをボコった連中も締め上げてぇしな」
「ああ、流石にアレは看過出来ないな」
「……ま、って、待って。秋良も冬也も何言ってるの?」
二人の会話に付いていけずにそう言えば、二人は一度だけ顔を見合わせて、そうして似てない顔で全く同じ笑い方をしてた。
甘い甘い、いつも私を甘やかす時の笑顔だ。
蜂蜜の中に砂糖を大量に入れたようなその笑顔は、けれど薄く開かれた目だけが笑っていなかった。
「何の話って、決まってんだろ?」
「「はるを泣かせた奴等を地獄に叩き落とす話だよ」」
それからは凄かった。
何がって、二人の行動が。
私を苛めていた人間、私が苛められていたのを見てみぬ振りをした人間、教師も生徒も関係無く。片っ端から何かをしたらしく、精神を壊して学校に来なくなったり、イジメを見てみぬ振りをしていたことがネットに流れて責任の擦り付け合いの結果何人かの教師が退職したり。
教師の方はニュースで流れていたから知った事で、生徒の方は噂によるものだから信憑性はない。
二人は具体的に何をしたのか教えてはくれなかったし、周りの人間も私に近付くと異常に怯えたので聞けずにいる。
ただただ私を甘やかしたがる二人は、「はるは知らなくても良いことだよ」と笑うだけ。
そんな事があってイジメはなくなり、私は今までを思えば酷く平穏に日常を過ごし、中学を卒業した。
それから二人に守られるようにして高校に入り、噂を知っている生徒や教師から腫れもののような扱いを受けてはいるけれど。
今の私にはそんな事は関係ない。
「はーる。好きだぜ」
「あ、今日は秋良に先を越されちゃったね。はる、大好きだよ」
「私も二人が好きだよ」
あの地獄のような日々から救ってくれた二人が居れば、もう何も要らないよ。
「なあ?はるは何時気付くと思う」
「さあ?でも気付かせない自信ならあるよ」
はるがイジメにあったそもそもの原因が『俺達』であると、あの大切な大好きな幼馴染みは何時気が付くのだろう?
ふとそう思って冬也に聞けば、冬也は眠っているはるの髪を梳きながら此方に視線をやらずにそう答えた。
我が弟ながら怖い発言だこと。と他人事のように内心で思う。
ガキの頃から好きだったはるを手に入れたかった。
単純なガキが純粋に思い付くようなそんな事を願った俺達は、非道にもはるを傷付けるという方法ではるを手に入れた。
はるの世界を俺達だけにする為に。
「はるも災難だよな」
「どうして?僕達に愛されて、僕達もはるを愛せて、お互いが幸せな筈だよ」
「お前はそういう奴だよな」
まあ、否定はしねぇけどな、と呟いて。
シーツに流れるはるの髪を撫でる冬也の横で、はるの額に口付けた。