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【深夜の真剣文字書き60分一本勝負】に参加させて頂きました!
お題:痕
注意:事後表現有り
**
「うわっ。また付けられてる」
朝、シャワーを浴びる為に浴室に入ると鏡に写った自分の姿に思わず声を上げる。
身体中のありとあらゆる所に付けられた痕の数に辟易しながら、あれだけ付けるなって言ったのになー、と思わず眉を寄せた。
私の恋人はどうやら世間一般からすると独占欲の強い類いの男らしく、私が少しでも他に意識をやると決まって有り得ない数の痕を私の身体に残すのだ。
「あー、しかも服で隠れないじゃん」
このくそ暑い中、長袖で居ろということか。
それとも今日一日出掛けるなという無言の命令か。
そんなことを考えていたら背後から何かが覆い被さっきた。
「お前なんで勝手にどっか行ってんの? 」
「おはよう。それはね、君が昨日私で散々楽しんでくれたお陰で気持ち悪いからサッパリしたかったからだよ」
「お前だって楽しんでたじゃん」
「黙らっしゃい!」
覆い被さってきた何か、もとい恋人の言葉に声を張り上げて遮る。
「お前が可愛かった。だからしょうがねぇだろ」
「可愛かろうがどうだっていいんだよ?私はそんな話してないし。というか何時まで覆い被さってんの?私シャワー浴びたいんだけど」
「一緒に入れば良くね?」
「一緒に入るだけで終わるなら考えないこともない」
「……」
「無言はやめい」
つまりはナニかする気だったということか。
訊いて良かった。本当に。
これ以上何かしらされたら私の休日はベッドの中で潰れてしまう。
「あ、というかさ」
「なに?」
「痕、付けるの止めてよ」
「お前が俺だけ見てれば考えてやるよ」
「それは生きていく上ではかなり難しいと思うんだけどね」
「じゃあ我慢しろ」
俺様な発言をする恋人の脇腹に思わず手刀を入れたくなった。
そんなことしたら後が怖いからしないけどもさ!
辛いのが私だけで妙にスッキリとした顔をする恋人にそんなことを言われたらイラッとくるのもしょうがないことだと思うんだよね。
「で、風呂入んの?」
「君が離してくれたら入りたいな。一人で」
「……はあ。しょうがねぇな」
渋々。本当に渋々といったような声音で私から離れると、んー、と伸びをする恋人。
「朝飯でも作っといてやるから早く出てこいよ」
「……」
「んだよその顔」
「君が自分から朝ごはん作ってくれるなんて、今日は槍でも降るの?」
「よーし。今からベッド行くか」
「や、スミマセン冗談です朝ごはん楽しみダナー」
「最初からそう言ってりゃ良いんだよ」
そう言った恋人は、脱衣場から出ていく。
ようやくシャワーを浴びれると内心でホッとしていれば、あ、と声を発する恋人。
「お前今日は用事ねぇよな?」
「え?うん、ないけど?」
「じゃあ、飯食ったら覚悟しとけよ」
「……は?」
「んじゃ、そういうことで」
「いやいやいや!?え?なんで?」
「お前が昨日俺と居るのにテレビに夢中だったの思い出したらムカついたから」
そう事も無げに告げる恋人に、叶うなら床に両手を付けてひれ伏したいくらいの気持ちになった。
どうしてそうなった!
独占欲が強いのはそりゃ重々知っているけれど、思い出して勝手にムカつかないでください。
私明日仕事あるんですけど。
なんて言葉を恋人が聞いてくれる訳もなく、無情にも脱衣場の扉は閉められた。
「私……今日死ぬのかな……」
はは、っと乾いた笑い声を出しながら、重たい身体を動かして浴室に入った。
浴室に付いている鏡に写る赤い痕の数に、ああ、また増えるのかと何処か意識が遠くにいく。
出来るだけ服で隠れる場所に付けてくれますようにと願いながら、熱いシャワーを浴びた。
【独占欲】
お題:痕
注意:事後表現有り
**
「うわっ。また付けられてる」
朝、シャワーを浴びる為に浴室に入ると鏡に写った自分の姿に思わず声を上げる。
身体中のありとあらゆる所に付けられた痕の数に辟易しながら、あれだけ付けるなって言ったのになー、と思わず眉を寄せた。
私の恋人はどうやら世間一般からすると独占欲の強い類いの男らしく、私が少しでも他に意識をやると決まって有り得ない数の痕を私の身体に残すのだ。
「あー、しかも服で隠れないじゃん」
このくそ暑い中、長袖で居ろということか。
それとも今日一日出掛けるなという無言の命令か。
そんなことを考えていたら背後から何かが覆い被さっきた。
「お前なんで勝手にどっか行ってんの? 」
「おはよう。それはね、君が昨日私で散々楽しんでくれたお陰で気持ち悪いからサッパリしたかったからだよ」
「お前だって楽しんでたじゃん」
「黙らっしゃい!」
覆い被さってきた何か、もとい恋人の言葉に声を張り上げて遮る。
「お前が可愛かった。だからしょうがねぇだろ」
「可愛かろうがどうだっていいんだよ?私はそんな話してないし。というか何時まで覆い被さってんの?私シャワー浴びたいんだけど」
「一緒に入れば良くね?」
「一緒に入るだけで終わるなら考えないこともない」
「……」
「無言はやめい」
つまりはナニかする気だったということか。
訊いて良かった。本当に。
これ以上何かしらされたら私の休日はベッドの中で潰れてしまう。
「あ、というかさ」
「なに?」
「痕、付けるの止めてよ」
「お前が俺だけ見てれば考えてやるよ」
「それは生きていく上ではかなり難しいと思うんだけどね」
「じゃあ我慢しろ」
俺様な発言をする恋人の脇腹に思わず手刀を入れたくなった。
そんなことしたら後が怖いからしないけどもさ!
辛いのが私だけで妙にスッキリとした顔をする恋人にそんなことを言われたらイラッとくるのもしょうがないことだと思うんだよね。
「で、風呂入んの?」
「君が離してくれたら入りたいな。一人で」
「……はあ。しょうがねぇな」
渋々。本当に渋々といったような声音で私から離れると、んー、と伸びをする恋人。
「朝飯でも作っといてやるから早く出てこいよ」
「……」
「んだよその顔」
「君が自分から朝ごはん作ってくれるなんて、今日は槍でも降るの?」
「よーし。今からベッド行くか」
「や、スミマセン冗談です朝ごはん楽しみダナー」
「最初からそう言ってりゃ良いんだよ」
そう言った恋人は、脱衣場から出ていく。
ようやくシャワーを浴びれると内心でホッとしていれば、あ、と声を発する恋人。
「お前今日は用事ねぇよな?」
「え?うん、ないけど?」
「じゃあ、飯食ったら覚悟しとけよ」
「……は?」
「んじゃ、そういうことで」
「いやいやいや!?え?なんで?」
「お前が昨日俺と居るのにテレビに夢中だったの思い出したらムカついたから」
そう事も無げに告げる恋人に、叶うなら床に両手を付けてひれ伏したいくらいの気持ちになった。
どうしてそうなった!
独占欲が強いのはそりゃ重々知っているけれど、思い出して勝手にムカつかないでください。
私明日仕事あるんですけど。
なんて言葉を恋人が聞いてくれる訳もなく、無情にも脱衣場の扉は閉められた。
「私……今日死ぬのかな……」
はは、っと乾いた笑い声を出しながら、重たい身体を動かして浴室に入った。
浴室に付いている鏡に写る赤い痕の数に、ああ、また増えるのかと何処か意識が遠くにいく。
出来るだけ服で隠れる場所に付けてくれますようにと願いながら、熱いシャワーを浴びた。
【独占欲】