twitter企画
【深夜の真剣文字書き60分一本勝負】に参加させて頂きました!
お題:繋ぎ止める
注意:ヤンデレ、流血、自傷行為有り
**
「……も、やめて……っ」
震える声には悲痛な色が滲んでいた。
青褪めた顔をしながら僕を見やる、僕の愛しくて愛しくて堪らない恋人。
そんな恋人を安心させるように微笑めば、更に彼女の顔はその白さを増した。
「やめないよ」
「っこんなことしても何の意味なんてないでしょう!?」
「意味ならあるよ」
彼女の言葉が可笑しくて、笑う。
右手首から滴り落ちる血液は床に血溜まりを作って尚止まる気配はない。
相当深く刃を食い込ませたから、当然か。
もう幾度となく行ったこの行為に最早痛みなんて感じない。
いや、むしろ愛しささえ覚える。
腕や足、腹、見える部分だけでなく見えない部分にも付けられた沢山の傷痕は、全てが全て彼女との思い出の証なのだから。
切っ掛けはきっと些細なことだった。
彼女を愛しすぎた僕の束縛や愛に耐えきれず彼女が放った「別れて欲しい」という言葉に、僕は嫌だ嫌だと何度も駄々を捏ねる子供みたいに繰り返して。
その度に彼女は「もう無理なの」「わかって」「一緒に居るのが辛いの」と苦しそうな顔で告げてくる。
それでもどうしても別れたくなくて、必死で、気付いたらたまたま近くにあったカッターで自分の手首を切っていた。
大きく目を見開いて呆然とする彼女。
ああ、そんな顔も可愛いな、なんて興奮状態にあった頭でも考えていたから、案外冷静だったのかも知れない。
早く手当てをしないと、と慌てる彼女の真白い手首を赤が滴る僕の腕で掴んで、そのまま彼女の茶が掛かった瞳を見つめながら囁いた。
『もし本当に別れるなら、僕は今この場で死ぬ』
ただの脅し文句じゃなく、本心からそう思った言葉だった。
彼女の居ない未来なんてとうの昔に見えなくなってしまっていたから、彼女がそれでも別れたいと言うのであれば即実行していただろう。
彼女は僕の言葉が本気だと解るとみるみる顔を青くしていった。
そうして震える唇を噛み締めながら頷いたのだ。
そうして始まったのは、歪んでしまった関係。
彼女が少しでも僕と離れようとすれば戸惑いも無く自分を傷付けて、泣きそうな顔をしながら彼女が僕の手当てをする。
それがいつもで。日常で。当たり前になっていた。
それでも時折、彼女は言うのだ。
「こんなことをしていても意味なんてない」と。
「こんな関係は歪んでいる」と。
確かに、彼女の言う通り歪んでいるのかも知れない。
壊れているのかも知れない。
でも、だから?
それがどうかしたの?
「僕は君が大好きだよ。大好きで、大好きで、愛してる。愛してるんだ」
だから離れていかないでね…?
「……っ、」
くしゃりと顔を歪めた彼女は、あとほんのちょっとでも衝撃を与えられたら泣いてしまいそうだ。
そんな彼女を抱き締める。
痛み知らずの彼女の黒髪を血塗れの右手で撫でれば流れる血液で黒髪が濡れる。
それに少しばかり征服欲が満たされた気がして、ふう、と息を付いた。
大好きで、大切で、大切にしたかった筈の恋人は何時からか泣きそうな顔しかしなくなった。
僕が大好きだった笑顔を見せてくれなくなった。
でも、それでもいい。
彼女が僕の側に居て、離れないで居てくれるなら。なんだっていい。
「……どこで、間違えちゃったのかな」
濡れた声音で呟かれた彼女の言葉。
それに微笑みだけを浮かべて彼女の頬に右手を添える。
彼女はそれ以上は何も言わずに、そっと僕の手に擦り寄るように頬を傾けた。
【繋ぎ止める為にした些細なこと】
(何時から間違えたのか、なんて、出逢った瞬間から君に狂っていたから僕には解らないよ)
お題:繋ぎ止める
注意:ヤンデレ、流血、自傷行為有り
**
「……も、やめて……っ」
震える声には悲痛な色が滲んでいた。
青褪めた顔をしながら僕を見やる、僕の愛しくて愛しくて堪らない恋人。
そんな恋人を安心させるように微笑めば、更に彼女の顔はその白さを増した。
「やめないよ」
「っこんなことしても何の意味なんてないでしょう!?」
「意味ならあるよ」
彼女の言葉が可笑しくて、笑う。
右手首から滴り落ちる血液は床に血溜まりを作って尚止まる気配はない。
相当深く刃を食い込ませたから、当然か。
もう幾度となく行ったこの行為に最早痛みなんて感じない。
いや、むしろ愛しささえ覚える。
腕や足、腹、見える部分だけでなく見えない部分にも付けられた沢山の傷痕は、全てが全て彼女との思い出の証なのだから。
切っ掛けはきっと些細なことだった。
彼女を愛しすぎた僕の束縛や愛に耐えきれず彼女が放った「別れて欲しい」という言葉に、僕は嫌だ嫌だと何度も駄々を捏ねる子供みたいに繰り返して。
その度に彼女は「もう無理なの」「わかって」「一緒に居るのが辛いの」と苦しそうな顔で告げてくる。
それでもどうしても別れたくなくて、必死で、気付いたらたまたま近くにあったカッターで自分の手首を切っていた。
大きく目を見開いて呆然とする彼女。
ああ、そんな顔も可愛いな、なんて興奮状態にあった頭でも考えていたから、案外冷静だったのかも知れない。
早く手当てをしないと、と慌てる彼女の真白い手首を赤が滴る僕の腕で掴んで、そのまま彼女の茶が掛かった瞳を見つめながら囁いた。
『もし本当に別れるなら、僕は今この場で死ぬ』
ただの脅し文句じゃなく、本心からそう思った言葉だった。
彼女の居ない未来なんてとうの昔に見えなくなってしまっていたから、彼女がそれでも別れたいと言うのであれば即実行していただろう。
彼女は僕の言葉が本気だと解るとみるみる顔を青くしていった。
そうして震える唇を噛み締めながら頷いたのだ。
そうして始まったのは、歪んでしまった関係。
彼女が少しでも僕と離れようとすれば戸惑いも無く自分を傷付けて、泣きそうな顔をしながら彼女が僕の手当てをする。
それがいつもで。日常で。当たり前になっていた。
それでも時折、彼女は言うのだ。
「こんなことをしていても意味なんてない」と。
「こんな関係は歪んでいる」と。
確かに、彼女の言う通り歪んでいるのかも知れない。
壊れているのかも知れない。
でも、だから?
それがどうかしたの?
「僕は君が大好きだよ。大好きで、大好きで、愛してる。愛してるんだ」
だから離れていかないでね…?
「……っ、」
くしゃりと顔を歪めた彼女は、あとほんのちょっとでも衝撃を与えられたら泣いてしまいそうだ。
そんな彼女を抱き締める。
痛み知らずの彼女の黒髪を血塗れの右手で撫でれば流れる血液で黒髪が濡れる。
それに少しばかり征服欲が満たされた気がして、ふう、と息を付いた。
大好きで、大切で、大切にしたかった筈の恋人は何時からか泣きそうな顔しかしなくなった。
僕が大好きだった笑顔を見せてくれなくなった。
でも、それでもいい。
彼女が僕の側に居て、離れないで居てくれるなら。なんだっていい。
「……どこで、間違えちゃったのかな」
濡れた声音で呟かれた彼女の言葉。
それに微笑みだけを浮かべて彼女の頬に右手を添える。
彼女はそれ以上は何も言わずに、そっと僕の手に擦り寄るように頬を傾けた。
【繋ぎ止める為にした些細なこと】
(何時から間違えたのか、なんて、出逢った瞬間から君に狂っていたから僕には解らないよ)