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【深夜の真剣文字書き60分一本勝負】に参加させて頂きました!
お題:渇望
**
「お嬢様。本日のお召し物をお持ち致しました」
「ありがとう。……なんて言うと思った?」
「お気に召しませんでしたか」
「本気でそれを言っているのならわたしはアンタを尊敬するわ」
はあ、と額に手を当て溜め息を吐くお嬢様に首を傾げる。
綺麗な黒髪が成長途中の白い肌に良く映えていてそれがまた色っぽく、若干興奮するが、それは心の中だけで抑えておく。
自分のそんな胸中を知られればお嬢様は思いっきり蔑んだ表情をされることだろう。
正直そんなお嬢様の視線にも晒されたいが、今はそんな時間もない。
何せ今日から憎き新学期が始まるのだ。
夏休み中お嬢様を堪能していられたというのに己学校め。
私とお嬢様の仲を引き裂こうとするとは何て卑劣な場所なのだろうか。
「聞いているのかしら真田?」
「っ、申し訳ありません。お嬢様のお言葉を聞き逃すなど死罪に当たるというのに私としたことが……!」
「それはどうでもいいし、死んでくれるなら喜んで応援したいけど今はそんな時間はないからいいわ。許す。だから早く替えの制服を持ってきなさい」
「? お言葉ですがお嬢様。わたくしめがお持ちした此方もお嬢様の通われている学園の制服でありますが」
「ええ、そうね。わたしも来てるわ。でもね?どこの世界に新学期早々体操服で登校する馬鹿が居るのかしら?」
「それは申し訳ないございませんでした。やはりお嬢様もスクール水着の方が宜しかったのですね!」
「だから!なんでそうなる!普通に制服を持ってきなさいよ!」
「それじゃ私がつまらないじゃないですか!」
「どうして真田を面白がらせなければいけないのよ!?」
意味が分からないんだけど!死ねばいいのに!
と、財閥の令嬢らしからぬ言葉を使うが、これがお嬢様の良いところだと思う。
型に嵌まらない、芯の強さを持たれた素晴らしい方だ。
まだ小学生だというのにこの方に一生付いていきたいとさえ思わせる度量がある。
それに何よりお嬢様に罵られるととても興奮する。
お嬢様に使える最大の理由だと言えよう。
「アンタそんな理由でわたしの執事をしてたの!?」
「おっと、声に出ていましたか。お嬢様。今のは聞かなかったことにしてください」
「いやいや、そんなことが出来たらわたしの人間性の方を疑うよ?……と、そんな話は今はいいの」
そういう切り替えの早さもお嬢様の良いところだと思う。
ついでにさっきの失言も忘れては貰えやしないだろうかという下心を踏まえながら、お嬢様の言葉を今度は聞き逃さないようにしっかりと耳を傾ける。
「制服を持ってきなさい」
「……本当に制服で学校に行かれるのですか?」
「何故に制服で行くことにそこまでガッカリされなければいけないのかしら」
不愉快だわと顔をしかめられるお嬢様。
ああ、そんなお顔も大変麗しゅうございます。
「学校は制服で行く場所でしょう」
「お嬢様。僭越ながら申し上げますが体操服もスク水も制服でございます」
「いや、それはそうだけどね?でも違うでしょう。それにそんなんで行ったら馬鹿にされる程度じゃ済まないわよ」
「ご安心ください。お嬢様を馬鹿にされた方はこの真田が抹殺致しますから」
「何一つ安心できないんだけど」
「お嬢様は何故普通の制服で学校に行かれることに拘れるのですか?体操服やスク水ではいけないのですか?」
「いけないでしょう」
「何故です!?お嬢様は何でもお似合いになられますからどんな格好をされていても問題ありませんよ!」
「いや、体操服とスク水で授業受けたら問題になるでしょうが」
「……授業?」
「何よ?」
それがどうかしたのかという顔をされるお嬢様。
そんなお嬢様も大変可愛らしい。可愛らしいのだが発せられた言葉がかなり重要だ。
「今すぐ制服をご用意致します。2分ほどお待ちください」
「何よ、突然」
「いえ。真田が間違っておりました。学校はきちんとして制服で向かわれる場所ですものね!」
「いや、そうだけど」
突然意見を変えるなんて、アンタの中で何がどうなってそうなったのか凄い気になるわ。
「わたしにとっては良いことだから特に言及はしないけど、早くして頂戴。学校に間に合わなくなるわ」
肩を竦めてからベッドに座るお嬢様に「畏まりました」と笑顔で答える。
お嬢様の制服をクローゼットこら出しながら内心で頭を抱える。
いくらお嬢様のことに関してなら羞恥心なんて欠片すら無くなる私でも、流石に言えるわけがなかった。
(渇望してやまないお嬢様の体操服やスク水姿を見るのが私だけだと思っていたなんて……)
恥ずかしすぎて、今なら穴を60メートルくらい掘って飛び込みたいくらいの心境だ。
そもそもお嬢様は夏休みが終わって学校に行かれるのだから当然のことなのだが。
夏休み気分が抜けていなかったのさ私かと、一度だけ息を吐く。
そうして「早くしなさい」と声をあげるお嬢様の元にクリーニングされ新品同様となっている制服を持っていくのであった。
【渇望してやまない姿】
お題:渇望
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「お嬢様。本日のお召し物をお持ち致しました」
「ありがとう。……なんて言うと思った?」
「お気に召しませんでしたか」
「本気でそれを言っているのならわたしはアンタを尊敬するわ」
はあ、と額に手を当て溜め息を吐くお嬢様に首を傾げる。
綺麗な黒髪が成長途中の白い肌に良く映えていてそれがまた色っぽく、若干興奮するが、それは心の中だけで抑えておく。
自分のそんな胸中を知られればお嬢様は思いっきり蔑んだ表情をされることだろう。
正直そんなお嬢様の視線にも晒されたいが、今はそんな時間もない。
何せ今日から憎き新学期が始まるのだ。
夏休み中お嬢様を堪能していられたというのに己学校め。
私とお嬢様の仲を引き裂こうとするとは何て卑劣な場所なのだろうか。
「聞いているのかしら真田?」
「っ、申し訳ありません。お嬢様のお言葉を聞き逃すなど死罪に当たるというのに私としたことが……!」
「それはどうでもいいし、死んでくれるなら喜んで応援したいけど今はそんな時間はないからいいわ。許す。だから早く替えの制服を持ってきなさい」
「? お言葉ですがお嬢様。わたくしめがお持ちした此方もお嬢様の通われている学園の制服でありますが」
「ええ、そうね。わたしも来てるわ。でもね?どこの世界に新学期早々体操服で登校する馬鹿が居るのかしら?」
「それは申し訳ないございませんでした。やはりお嬢様もスクール水着の方が宜しかったのですね!」
「だから!なんでそうなる!普通に制服を持ってきなさいよ!」
「それじゃ私がつまらないじゃないですか!」
「どうして真田を面白がらせなければいけないのよ!?」
意味が分からないんだけど!死ねばいいのに!
と、財閥の令嬢らしからぬ言葉を使うが、これがお嬢様の良いところだと思う。
型に嵌まらない、芯の強さを持たれた素晴らしい方だ。
まだ小学生だというのにこの方に一生付いていきたいとさえ思わせる度量がある。
それに何よりお嬢様に罵られるととても興奮する。
お嬢様に使える最大の理由だと言えよう。
「アンタそんな理由でわたしの執事をしてたの!?」
「おっと、声に出ていましたか。お嬢様。今のは聞かなかったことにしてください」
「いやいや、そんなことが出来たらわたしの人間性の方を疑うよ?……と、そんな話は今はいいの」
そういう切り替えの早さもお嬢様の良いところだと思う。
ついでにさっきの失言も忘れては貰えやしないだろうかという下心を踏まえながら、お嬢様の言葉を今度は聞き逃さないようにしっかりと耳を傾ける。
「制服を持ってきなさい」
「……本当に制服で学校に行かれるのですか?」
「何故に制服で行くことにそこまでガッカリされなければいけないのかしら」
不愉快だわと顔をしかめられるお嬢様。
ああ、そんなお顔も大変麗しゅうございます。
「学校は制服で行く場所でしょう」
「お嬢様。僭越ながら申し上げますが体操服もスク水も制服でございます」
「いや、それはそうだけどね?でも違うでしょう。それにそんなんで行ったら馬鹿にされる程度じゃ済まないわよ」
「ご安心ください。お嬢様を馬鹿にされた方はこの真田が抹殺致しますから」
「何一つ安心できないんだけど」
「お嬢様は何故普通の制服で学校に行かれることに拘れるのですか?体操服やスク水ではいけないのですか?」
「いけないでしょう」
「何故です!?お嬢様は何でもお似合いになられますからどんな格好をされていても問題ありませんよ!」
「いや、体操服とスク水で授業受けたら問題になるでしょうが」
「……授業?」
「何よ?」
それがどうかしたのかという顔をされるお嬢様。
そんなお嬢様も大変可愛らしい。可愛らしいのだが発せられた言葉がかなり重要だ。
「今すぐ制服をご用意致します。2分ほどお待ちください」
「何よ、突然」
「いえ。真田が間違っておりました。学校はきちんとして制服で向かわれる場所ですものね!」
「いや、そうだけど」
突然意見を変えるなんて、アンタの中で何がどうなってそうなったのか凄い気になるわ。
「わたしにとっては良いことだから特に言及はしないけど、早くして頂戴。学校に間に合わなくなるわ」
肩を竦めてからベッドに座るお嬢様に「畏まりました」と笑顔で答える。
お嬢様の制服をクローゼットこら出しながら内心で頭を抱える。
いくらお嬢様のことに関してなら羞恥心なんて欠片すら無くなる私でも、流石に言えるわけがなかった。
(渇望してやまないお嬢様の体操服やスク水姿を見るのが私だけだと思っていたなんて……)
恥ずかしすぎて、今なら穴を60メートルくらい掘って飛び込みたいくらいの心境だ。
そもそもお嬢様は夏休みが終わって学校に行かれるのだから当然のことなのだが。
夏休み気分が抜けていなかったのさ私かと、一度だけ息を吐く。
そうして「早くしなさい」と声をあげるお嬢様の元にクリーニングされ新品同様となっている制服を持っていくのであった。
【渇望してやまない姿】
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