過去拍手お礼文

「何故、私が大河くんと共に図書整理をしなければならないのかしらね……」

「俺は瑠璃葉と居れて幸せやわぁ」

「そう。私は迷惑よ」

「すまんなぁ、ペナルティ付き合ってもろうて……」

「……そうしおらしく言われると、少し戸惑う」

「ふふ。でも、好きな子ぉと一緒に居れて、俺はほんま幸せもんやなぁ……」

「司書の詩島先生が『喋っている暇があるなら手を動かしなさい』とでも言わんばかりに睨んでいるのには気付いているのかしら?」

「え、あんな射殺さんばかりの目ぇに気付かんほどアホやないで!?」

「……大声を出さないで頂戴。図書館に響くわ」

「すまんすまん。にしても、多いなぁ……これ何語や。読めへん」

「あなたは英語の成績がすこぶる悪いわね。それは……ああ、『人魚姫』ね。世界中で訳されている有名な物語」

「人魚姫?」

「……こう言っては何だけれども、まさか名前も知らないで生きてきたなんて言うのかしら」

「本はからっきし!バスケ一筋でしたわぁ」

「照れないで頂戴。……私は好きよ。人魚姫」

「ふぅん、ほな、読もかな」

「まさかその原文の本を?」

「凄い目ぇで見られた!?いやいや、日本語版をですー」

「……あなたがその気なら、英語版で良いならみっちり教えてあげるわ。原文を読みたくなったら言って頂戴」

「デレの大盤振る舞いやな。……明日は槍か」

「この分厚い辞書の角は凶器になるのだと、あなたは知っているかしら?」

「さらりとした暴力発言!?まあ、瑠璃葉になら……」

「照れないで頂戴。……はぁ。あなたはどうしたら諦めてくれるのかしらね」

「何しても諦めへんよ」

「……その自信、いつまで続くのかしらね」
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