過去拍手お礼文

「ねえ、これで何度目かな?」


そう問えば、蒼白な顔をした恋人は、口をぱくぱくとさせていた。


「もうさ。わたしら駄目でしょ?」

「そ、んなことない…!もう浮気しないから!だから…!」

「それ、聞いたのは最低でも七回目かな」


悲しいことにこの恋人には浮気癖があった。
それは不運だ。
どうしようもないことだ。
それを分かってやりたかった。
私なら恋人の浮気癖を治せると思った。
そんな、確固たる自信があった。

けれど蓋を開けてみればどうだ。

彼に浮気をされて、最初は泣いて、怒って。
その度に彼は「もうしない」と言ったのだ。
それを信じて、もう何回目?
もういい加減疲れた。
所詮、私にはこの病気のような浮気癖を治すのは無理だったのだ。


「ばいばい」

「ま、待って!」


今にも泣き出しそうな顔。
私の涙は枯れてしまった。
もう、彼に対して心は動かない。

急いで服を着る気配を背中で感じながら、私はマンションを出た。
そうして早歩きで外に出ると、ハッと息を吐いた。


「まだ、こんな感情あったんだ…」


ぼろり、涙が零れて、そのままそこに蹲る。
雑踏の中、わたしはひとり、涙を零す。


ああ、好きだった。
好きだったんだよ。ばーか。
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