過去拍手お礼文

「ねえ、アンタにとっての浮気のラインってナニ?」

「浮気のライン?……浮気したい相手でもいるの?」

「いや、ただの純粋な疑問。だからとりあえずそのナイフを置きなさい。何する気なのかな?あと目が笑ってなくて怖いんですけど」

「ああ、ごめんね?君を怖がらせるつもりはないんだよ。ただ、ついウッカリ居もしない男に殺意が湧いちゃって。君が浮気なんてするわけないのに、可笑しいよね」

「ただの疑問だから殺意も何もないでしょ」

「当たり前だよ。万が一にもそんなことしたら二度とそんな気が起こらないようにするからね?」

「はいはい。聞き飽きたよその台詞。別にそんな(私にとって)面倒くさそうなことしないから」

「それならいいけど……あ、別に疑ってるわけじゃないからね?」

「ああ、うん。それは分かってる。分かってるからこの話は一旦置いといて。改めてアンタにとっての浮気のラインってどこなの?」

「どうしてそんなこと気になるの?」

「ただの興味本意」

「そうなんだ。……じゃあ、いいか。うん」

(何がいいのか訊いたらいけない気がする)

「ええと、どこから浮気か、だよね。それは勿論、君が他の人間を視界に入れた瞬間だよ」

「……いや、それは無理でしょ」

「どうして?僕のこと好きなら他の人間なんて視界に入れる必要なんてないでしょ?」

「いやいや、だって外出出来ないじゃない」

「しなくてもいいでしょ?今の時代ネットもあるし、欲しいものはなんだって僕が買ってあげるよ?」

「飼い殺されるのは嫌なんだけど」

「もー。僕が君を飼い殺すだなんてするわけないでしょ。大事に大事に、思考がドロドロになって僕しか認識出来なくなるくらい大切に大切に君を愛するだけなんだから」

「……ああ、うん。飼い殺されるより酷い未来が私に待ってることしか分からないわ」

「ふふ。それは分かってるのに側に居てくれるんだ」

「なら訊くけど、アンタ私を逃がしてくれるの?」

「まさか。もし万が一僕の隣から居なくなっても、地の果てだって探しに行って、必ず捕まえるよ」

「なら逃げるだなんだのの問答は無意味でしょ。それにね。見くびらないで頂戴」


「私はそんなイカれたアンタが好きだから、離れるなんて選択肢は存在しないのよ」
14/23ページ