過去拍手お礼文

新着メール1件。
それを開けば表示されたのは君の名前。
眠る前に君からのメールが読めるだなんてと感動しながらメールの内容を読んでいく。
そこには当たり障りのない言葉が書かれているだけだ。
なのにどうしてだろうね?
君が僕に送ったメールだと思うと、在り来たりな言葉の羅列が一瞬で宝物に変化する。
読み終えて、返信をする。こちらも当たり障りのない、在り来たりな文だ。そうして送信ボタンを押す。
それから保護設定を掛けて、ゴロンとベッドに横になるとゆっくりと幸せを噛み締めるように頬を緩めた。


「幸せだなぁ」


天井で笑う君に釣られたように僕も笑みを浮かべて、そう呟いた。
現在の時刻は夜11時。
そろそろ寝る時間だろう彼女の為に先程のメールは打ち切ってしまった。
律儀な彼女が『おやすみ』と送ってきてくれるだろうけど、これで明日彼女に会えるまではこの部屋にあるモノだけでしか彼女を感じられない。

はあ……、と吐息を漏らして買ったばかりの彼女専用のスマートフォンに頬擦りをする。
ここにはメモリ一杯に溢れた沢山の彼女の写真と、彼女から貰ったメール。着信履歴が詰まっている。
まさに彼女尽くしの僕の宝物。

不意にソレが鳴動した。
素早く画面に現れた新着メールを開いて、中を見れば思った通りの『おやすみ』の文字。
それに「おやすみ」と呟いて、画面に向かって、ちゅ、と口付けた。


現在の時刻は夜11時30分。
明日彼女に会えるまで後、8時間。
眠るまでの間、彼女のことを考えているとはいえやはり本物には叶わない。


「早く会いたいね」


君に会って、抱き締めて、沢山お話をしたいな。
下らないことでいいんだ。
他人にとっては取るに足らないような内容でいいんだ。
君と沢山話をしたい。
君の考えていることを知り尽くしたい。


君と明日会えるまで、あと8時間。



――早く君に会いたいなぁ。
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