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あなたが最後に笑ったのは、いつですか。
私はいつでも貴方を想っています。
けれども私には貴方の笑った顔が思い出せません。
私にはどうしたって、思い出せません。

「ねえ、どう思う?」

「どう、とは?」

「きみが僕に囚われている、この状況を」

「……さぁ、私にはとんと分かりませんね」

「きみは馬鹿だね。少しでも嫌がったら解放してあげようと思ったのに」

「そうですか」

それは嘘だと分かっていた。貴方が私を解放するだなんて、そんなことは起きない。
自分のことを過大評価しているわけではない。ただ、私が彼を想っているから分かるのだ。

「どうしたら僕は、きみに好かれるのかなぁ?」

問い掛けのようなそれに、私は曖昧に微笑んだ。

「ね、きみはどうして僕を見てくれないの?」

「見ていますが」

「見てないね。きみは僕のことをなぁんにも見ていない」

「貴方がそう思うのであるのならば、そうかも知れませんね」

「本当に、きみって馬鹿な子」

少しでもきみが不利になる言葉を吐いたら、抱き潰してあげようと思ったのに。
そう言いながらも私を押し倒す貴方は、きっと。自分の心さえも分からなくなってしまったのだろう。

好きだとか、愛しているだとか。

きっと貴方が一番欲しくて、そうして今、貴方に一番届かない言葉なかも知れない。

「ねえ、」

口付けを降らしながら、貴方は少しだけ笑った。
それは私が好きになった太陽みたいな笑みではなくて、どちらかというと陰った月のような笑みだたけれども。
貴方を好きな気持ちは変わらない。
きっと、貴方にこの首を絞められるまで、いえ。首を絞められ、最後の吐息を吐くのその瞬間まで。
私はただ、静かに。貴方を想い続ける。
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