2018年ハロウィン

好きだから。ただ傍に居たいと思った。

「なあ、瑠璃葉」

「何?」

きょとりとした表情を向ける瑠璃葉。
俺はにこりと笑いながらその言葉を言った。

「トリックオアトリート」

「は?」

「お菓子くれなきゃ悪戯してまうけど」

「……そう」

呆れられてしまっただろうか。
恋人同士のこういった遊びは嫌いだっただろうか。
そんなことを思いながら、俺は瑠璃葉の答えをジッと待つ。
瑠璃葉はその薄い桃色の唇をそっと開けて、俺の目を見ながら言った。

「生憎と、お菓子を持っていないのよ」

「……え」

「何かあなたに不都合が生じたかしら?」

「い、いや!なんにも!え、でも……」

「明日、あなたはそう言えば部活は休みなのでしょう?私も生徒会は休みなのよ」

「つまり……」

ふふっと瑠璃葉は微笑んだ。
その顔が綺麗で、あまりに綺麗で見惚れてしまう。
さすがの造形美っちゅうもんかな。なーんて思っていたら手を握られ指を絡められた。

「るり……っ」

「しーっ」

楽しそうに唇に指を宛がう瑠璃葉に、俺はもうダメで。
ああ、もう。これでは俺が悪戯されている気分やわ。と頭を抱えた。
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