イベント
『霊感少女とびびり先輩』から。
デパートのお内裏様とお雛様。
幸せそうに笑ってる。
けれど何故だか私にはお雛様の顔が哀しそうに見えたのだ。
「おかあさん、どうしてあのおひなさまはかなしそうなお顔をしてるの?」
「ああ、それはですねー」
一緒に見ていたお母さんは一瞬きょとんとした顔をして、けれども理由を説明してくれた。
「あのお雛様は本当は他に大好きなお内裏様が居たのですけれども、離れ離れになってしまったのですよー」
「好きなひとと離れ離れなの?」
「そういうことですねー」
「おひなさま、かわいそう……」
「……貴女はとても優しい子ですね」
「おかあさん?」
「けれどダメですよ。あの雛人形は嫌なものですから、『可哀想』なんて思ってはいけません」
そう笑ったお母さんは、私のことを抱き上げると雛人形から庇うように抱き締めた。
お雛様が視界から外れる。
パリン、と音がした。
なんの音?
聞いてもお母さんは「なんでしょうねぇ?」とはぐらかした。
「恨むならば、妬むならば、アナタを引き離した者にしてくださいねー」
そんな言葉を落としたお母さんは、私を抱いたまま雛人形が置かれた場所から離れて行った。
お母さんが背中を向けたことで見えたのは、割れたお雛様。
「っていう夢を見たんだけど」
「なんですかー!子供が居るとか浮気ですか!先輩!しかも女の子!私も先輩との子供欲しい!」
「いや、どちらかと言うとそれでいくならお前の方が浮気じゃないのか?『お母さん』って呼ばれてたし」
「……せ、先輩がデレた!」
「デレてねぇよ。何処がだよ。ところでその割れた雛人形、なんか見覚えがある気がするんだが?」
「気のせいじゃないですかねー」
「そうかそうか。知らない内に俺はまた怖い目にあってたのか」
「足がガクブルしてる先輩もめちゃくちゃ可愛いですね!」
「うっせぇ!ありがとよ!」
「えへへー。正夢になると良いですね!」
「お前と夫婦か……想像が出来にくいな」
「そんな真剣に考えないでくださいよー。……私と先輩が夫婦だなんて、そんな都合の良い夢ないんですから」
「ん?最後何て言った?」
「先輩はびびりだなぁ、って言いました」
「悪かったな!びびりで!」
デパートのお内裏様とお雛様。
幸せそうに笑ってる。
けれど何故だか私にはお雛様の顔が哀しそうに見えたのだ。
「おかあさん、どうしてあのおひなさまはかなしそうなお顔をしてるの?」
「ああ、それはですねー」
一緒に見ていたお母さんは一瞬きょとんとした顔をして、けれども理由を説明してくれた。
「あのお雛様は本当は他に大好きなお内裏様が居たのですけれども、離れ離れになってしまったのですよー」
「好きなひとと離れ離れなの?」
「そういうことですねー」
「おひなさま、かわいそう……」
「……貴女はとても優しい子ですね」
「おかあさん?」
「けれどダメですよ。あの雛人形は嫌なものですから、『可哀想』なんて思ってはいけません」
そう笑ったお母さんは、私のことを抱き上げると雛人形から庇うように抱き締めた。
お雛様が視界から外れる。
パリン、と音がした。
なんの音?
聞いてもお母さんは「なんでしょうねぇ?」とはぐらかした。
「恨むならば、妬むならば、アナタを引き離した者にしてくださいねー」
そんな言葉を落としたお母さんは、私を抱いたまま雛人形が置かれた場所から離れて行った。
お母さんが背中を向けたことで見えたのは、割れたお雛様。
「っていう夢を見たんだけど」
「なんですかー!子供が居るとか浮気ですか!先輩!しかも女の子!私も先輩との子供欲しい!」
「いや、どちらかと言うとそれでいくならお前の方が浮気じゃないのか?『お母さん』って呼ばれてたし」
「……せ、先輩がデレた!」
「デレてねぇよ。何処がだよ。ところでその割れた雛人形、なんか見覚えがある気がするんだが?」
「気のせいじゃないですかねー」
「そうかそうか。知らない内に俺はまた怖い目にあってたのか」
「足がガクブルしてる先輩もめちゃくちゃ可愛いですね!」
「うっせぇ!ありがとよ!」
「えへへー。正夢になると良いですね!」
「お前と夫婦か……想像が出来にくいな」
「そんな真剣に考えないでくださいよー。……私と先輩が夫婦だなんて、そんな都合の良い夢ないんですから」
「ん?最後何て言った?」
「先輩はびびりだなぁ、って言いました」
「悪かったな!びびりで!」