2015年バレンタイン

「はい」

「何?これ」

「チョコレート」

「ああ、サンキュー」

「良かったね。今まで私の義理チョコしか貰えなかったのに、今年は本命が貰えて」

「そういうこと言うな。照れるわ!」

「かわいい子だったね」

「当たり前だろ。俺の好きな子なんだから」

「付き合うの?」

「ホワイトデーに返事くれって言われてる」

「へぇー」

「お前訊いといて興味ないとかどうよ」

「別にー。ただ、私は来年からわざわざ義理チョコを用意しなくて済むんだなぁって思ってさ」

「あー、まあ、悪かったな。今まで。お詫びに今年のホワイトデーは何でも好きなもんやるよ」

「……あー、じゃあ、クッキー」

「あ?えらく安価だな。いや、助かるけど」

「何となく?食べたくなるんだよねー。あの時期って」

「あー、確かに。めちゃくちゃ並ぶもんな。お前がそれでいいならクッキー買ってやるよ」

「うわー偉そうだね。高々クッキーを買う程度で」

「っるせぇな。俺は今、あの子に何渡すか考え中なの。お前相手とは訳が違うんだって」

「ふぅん。……ま、精々頑張りなよ。ああ、そうそう。私的には飴とかオススメだよ」

「飴?なんで?」

「ただのオススメ」

「お前の思い付きで俺の片思いがポシャったらどうしてくれる」

「はは。それはないんじゃない?」

「なんで言い切れんだよ」

「何でも何も、何となく?」

「お前なぁ!」

「あはは。悩め悩め」


それがあの子の思惑だろうし、私の入り込む隙間なんて何処にもないんだから。
精々沢山悩んで苦しんで幸せになったその先で、私に引導を渡してくれればいいよ。
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