2014年クリスマス

適当なつまみと多種多様な大量の酒をテーブルの上に用意して二人で乾杯してから一体どれだけの時間が経ったのだろうか。


コイツは分かっているのだろうか?


こんな時間に、そんな肌を露出した格好で、男の部屋に上がり込んで、酒を飲む。
お前今の顔、とんでもなく誘っているようにしか見えねぇぞ?
アルコールのせいで桃色に染めた頬に潤んだ瞳。
テレビを見ながらケラケラと楽しそうに口を開けて笑うその唇から覗く赤い舌。


……色んな意味でやばい。


正直。物心付いた時から惚れてる身としては本当にやばい。いい加減襲いかねない。
今なら酒の勢いだったと思われそうだが、コイツはそれはそれと流して次の日にはケロリとしていそうだ。
そういう女なのだ。コイツは。
どこまで信頼されているのか。時折その信頼が苦しくなる。


「どーしたー?飲んでないみたいだけどー」

「飲んでるよ。つか、お前飲みすぎ」

「クリスマスくらいいいじゃなぁい」

「お前それハロウィンの時も言ってたからな?」


あまり強くない癖にコイツは何かと理由をつけては酒宴をしたがる。
それも、俺の部屋で。
確かに気心知れた幼馴染の家での宅飲みは気楽だろう。
だが些か信頼しすぎじゃないか?


「オレだって男なんだけどな」


ぽそりと呟いたぼやきに、「んー?何か言ったー?」と間延びした声で問い返してきた幼馴染。
それに、なんでもねぇよと返して、まだ半分以上残っていたビールを流し込んだ。


「おー、良い飲みっぷりだねー」

「今日も意識ブッ飛ぶまで飲むんだろ?」

「そりゃあ、もちろん」


にへりと笑った幼馴染に肩を竦める。
こうなったら本当に意識を失うまで飲んでやろうか。
そう決意して、煽った際に無くなったビールの缶をテーブルの下に置き、新しいビールを手にするとプルタブを勢いよく開けた。



この時はまさか本当に意識を失うまで飲み、朝起きた時に素っ裸で寝転がる自分と幼馴染の図なんてとんでもない光景を目にし。
今まで散々堪えてきた自分の努力が全て水の泡になったのかと、叫ぶよりも慌てるよりも何よりもまず、二日酔いでズキズキと痛む頭を抱えるハメになるとも思わずに。


楽しそうに酒を飲む幼馴染に呆れていたのであった。
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