2013年バレンタイン

「本日はバレンタインという事ですが」

「ああ、何?チョコでも催促に来たの?」

「いえ、チョコなんて要りません。――私が欲しいのはいつだって一つですから」

「へぇー、そうなんだー」

「はい!今日はパンツだけじゃなく、パンツとブラジャー両方下さい!」

「期待を一切裏切らないのを褒めるべきか、思いっきり殴るか迷うけど、とりあえずあげないよ?」

「どうしてですかっ!?」

「逆に何故当然のように貰えると思っていた。いや、あげたことも無いけど。というかアンタがことある事に盗っていくせいで出費が痛いんだけど」

「じゃあ、新しい下着をお渡しすれば貴女の使用済みパンツとブラジャーを頂けるのですか!?」

「あー、盗らないっていう選択肢はないわけね」

「はい!」

「わー、いいお返事(棒読み)はあ。まあ、いいやそれで」

「本当ですか!」

「はいはいお好きにどうぞ……あ、そだこれあげるよ」

「……コレは?」

「ちょこれーと?」

「……私に下さるんですか?」

「うん(会社で貰いすぎて処理しきれないから)あげるよ」

「……」

「なに?どしたの?」

「感激したので、ついうっかり貴女を押し倒しても良いですか?」

「終いには警察呼ぶぞ変態」




「このチョコレートも嬉しいのですが、貴女からのチョコレートも欲しいです」

「(気付いてたんだ)下着が欲しいんじゃなかったの?」

「それは勿論欲しいですよ?」

「じゃあ、いいじゃない」

「良くないですよ」



「恋人からチョコを貰いたいと思うのは、当たり前の気持ちだと思いませんか?」



(……無いとは言ってない)

(ふふ。嬉しいです)
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