2013年クリスマス

「サンタさんサンタさん。どうして私にはプレゼントをくれないの?」

「それはねお嬢さん。君がもうとっくに成人した女性だからです」

「いい子にはプレゼントくれるんでしょ?」

「サンタさんは少年少女の下にしか行きません」

「まるでロリコンみたいな事を言うね」

「子供可愛いだろ。むしろ天使だと思うわ。というかそんな穢れた事を言う子の元にはそもそもサンタは行かねぇよ」

「ふうん。じゃあなんでサンタさんは家で寛いでるのかなぁ」

「家と職場が近かったからだろ」

「クリスマス前日のこの忙しい日に?」

「……疲れたから休みに来たんだよ」

「ふうん。じゃあそういうことでいいや」

「あのな、他意はないんだからな」

「うん。忙しくて中々顔を合わせられなかったから心配で見に来てくれたんだよね?」

「っだから、」

「そんな優しいサンタさんにプレゼント~」

「人の話を聞け!」

「じゃ、じゃ~ん」

「だから、……てか何それ?封筒?今もう紙とか見たくないんですけど」

「まあまあ。中を開いてみようね」

「は?…………っ、おい!」

「プレゼントをいつも配っているサンタさんに、ちょっと早い私からのプレゼント~」

「……なにこれ。マジで?」

「マジです。今年のクリスマスから我が家にはサンタさんの帰りを待つ子が1人増えますよ~」

「……ちょ、っと待ちましょう。混乱して考えが纏まらないんだけど」

「あ、もうお仕事に戻らなきゃいけない時間じゃない?」

「……お前ね。こんな状態で仕事とか、……ああもうっ!さっさと終わらせて帰ってくるから!その後話するからな!」

「はいはい。いってらっしゃいお父さん」

「……っな、あ、うわ!?」

「あは、転んじゃったね。あわてんぼうのお父さんで心配ですねぇ」


ね、赤ちゃん。
顔を真っ赤にしながら走って行った大好きな旦那様を見て。
まだ膨らみすらない真っ平らなお腹を撫でながら、ふふ、と微笑んだ。
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