世界を壊したかった王子と、世界に愛されたかった魔女

炎が身を焼く。
あまりにも残虐な行為だからと一度は禁止されたこの処刑方法も、私にはどうやら適用されたらしい。
何せ私は『王子をかどわかした魔女』なのだもの。
当然の報いね、とそんなことを思いながら空を見上げた。
空は綺麗な青空で。まるで今からピクニックにでも行けそうな程には快晴だ。

(ああ、そう言えば……ピクニックに行くと約束していたわね)

どうやら叶いそうにもない『約束』を気軽にしてしまったものだ。
いや、あの時は叶うと思っていた。愚かにも。浅ましく。
『魔女』の私がそんなことを願ったから、世界はきっと罰を私に与えたのだろう。

視界を広場に移せば、そこには目を逸らさない王子の姿。
瞬きを忘れてしまったのかとからかってやりたかったのに、喉は煙で焼け、声はもう出ない。

(私は先に行くけれども、)

どうか、どうか。


――貴方は世界を嫌わないであげてね?


お前は身勝手だなと、怒られそうだわ。
それでも、そう願って逝きたいの。
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