継彩―つぐいろ―
神様にお仕えする十三人の長が治める国が在った。
人間の世界を守護するその族長達は日々、退屈な毎日を過ごす日々。
つまりは暇を持て余していたのだ。
十三人の長達は皆、神様が大好きで神様は皆が平等に生きる世界を望んでいた。
だから平和になるように努めてはいたけれども、それが仇となったのかも知れない。
人間は自分達が何かをしなくても勝手にどうにかしてしまえるくらいの知恵はあったのだ。
そうしてある日、鼠の族長は考えた。思いついた。
この暇を解消する楽しい『遊び』を。
鼠はある夜、神様にそっと近付く。
神様はその腕の中で眠っている子を起こさないように小さく「なんだ?」と問うた。
『神様。神様。その猫は何やら神様のことをお嫌いのようですよ。ずっと我々に陰口を言ってるのです』
神様は目を見開いて、けれどすよすよと眠るその子を見る。
神様が鼠の話を信じることはなかった。
何せその腕の中の子、猫と神様は愛し合っていたのだから。
けれど。鼠の遊びを面白がった牛が、虎が、兎が、神様に夜毎言うのだ。
『猫は神様を裏切っている』と。
神様はついに耐え切れず、鳥が告げた日。
いとしき猫を信じることが出来なくなった。
鼠は笑う。
平等を謳うくせにひとりを愛した神様を、これで皆のモノに出来ると。
猫を贔屓する神様は居なくなると。
頭の良い鼠の『遊び』の誤算はひとつ。
――神様が誰も信じられなくなったことだった。
人間の世界を守護するその族長達は日々、退屈な毎日を過ごす日々。
つまりは暇を持て余していたのだ。
十三人の長達は皆、神様が大好きで神様は皆が平等に生きる世界を望んでいた。
だから平和になるように努めてはいたけれども、それが仇となったのかも知れない。
人間は自分達が何かをしなくても勝手にどうにかしてしまえるくらいの知恵はあったのだ。
そうしてある日、鼠の族長は考えた。思いついた。
この暇を解消する楽しい『遊び』を。
鼠はある夜、神様にそっと近付く。
神様はその腕の中で眠っている子を起こさないように小さく「なんだ?」と問うた。
『神様。神様。その猫は何やら神様のことをお嫌いのようですよ。ずっと我々に陰口を言ってるのです』
神様は目を見開いて、けれどすよすよと眠るその子を見る。
神様が鼠の話を信じることはなかった。
何せその腕の中の子、猫と神様は愛し合っていたのだから。
けれど。鼠の遊びを面白がった牛が、虎が、兎が、神様に夜毎言うのだ。
『猫は神様を裏切っている』と。
神様はついに耐え切れず、鳥が告げた日。
いとしき猫を信じることが出来なくなった。
鼠は笑う。
平等を謳うくせにひとりを愛した神様を、これで皆のモノに出来ると。
猫を贔屓する神様は居なくなると。
頭の良い鼠の『遊び』の誤算はひとつ。
――神様が誰も信じられなくなったことだった。