それが間違った方法だとして
それが気に食わないのがルーク様至上主義の目の前の第2王子。
ルーク様を一番に考えながら、理想を押し付けていましたからね。
説得には一番時間を労しました。
「たくっ、怖い女だよ。お前は。兄上も何でこんなんに惚れたんだか」
「私がルーク様に惚れているのですから、ルーク様が私に惚れるのは当然ですよ」
「お前のその思考だけは絶対理解出来ねーわ」
「結構ですよ。貴方ごときに理解されたら死んでしまいたくなりますもの」
「お前はホントに……っはぁ。お前と話してると頭が痛くなるから兄上の所に行くわ」
本当に失礼。
私だって貴方と話している暇があるならルーク様の元に行きたいというのに。
そんなことを言うなら「会えるか分かんないけどな…」と小さく呟いた言葉に対して傷口を抉るように追い討ちかけてしまいますよ?
まあ、面倒ですからしませんけど。
「そうですか。私はもう少し薔薇を摘んでから行きます。ルーク様はお部屋にいらっしゃられると思いますよ」
「そうか。それじゃ、またな」
「ええ。また、」
彼が去っていくのを見送ることなくまたしゃがみ込んで、パチンと薔薇を摘む。
明日までしか飾らないけれど、ルーク様のお部屋に飾って差し上げよう。
喜んで下さればいい。
そう思いながら薔薇を一本一本丁寧に摘み取っていると、背後でカサリ、と草を踏む音がした。
次いで掛かる見知った声。
「ここに居たのかリア」
「ルーク様?」
今しがた第2王子が訪ねに行ったルーク様が行き違う様に現れて些か目を見張る。
部屋で執務をこなしていたのに、何故ここに居るのでしょう。
「陛下には今日挨拶を済ませた。明日は予定より早く出る」
「はい。ルーク様」
その疑問を口にする前にルーク様は、眉間に深く皺を寄せてそう仰られたので頷いておく。
今まで国王の所に逃げていたらしいルーク様は、余程第2王子に会いたくないらしい。
きっと今も、第二王子が自分を訪ねてくるのを知って、鉢合わせる前に私を探す名目で逃げて来たのだろう。
傷は深く抉られたので、恐らく当分はこのままだろう。
私は一向にこのままでも構わないのですが。
きっと明日、定刻よりも早くに出た私達に彼は騒ぐのでしょう。
けれど本気で会いたかったなら何が何でも会いに来るような男ですし、そこら辺には同情はしません。
そんな事を考えていれば、右手をルーク様に取られた。
難しい顔をしているルーク様をきょとんと見上げる。
「傷だらけじゃないか」
そう言われてそのまま口付けられた。
呆気に取られながらも自分の手を見てみれば、薔薇を摘む際に刺で引っ掻いたのか、無数の傷が付いていた。
ルーク様はそれを一つ一つ癒すように口付けていく。
そんな恥ずかしく感じる行為なのに、好きな人にされているというだけで自然と頬に熱が集まってくる。
全ての指に口付けを終えたルーク様は、手を解放して肩に手を添えると顔を近付けて目尻に軽く触れるだけの口付けを落とした。
「あまり傷を付けるな。美しい手なんだから」
「……はい」
ああ本当にどうしましょう。
この方は一体全体、私をどこまで落とす気なのでしょう。
例えば。今この瞬間。
側に居てもいいと言って下さったルーク様の言葉が無効になったとしても。
私はルーク様の為に動くのだと思う。
それくらい私はルーク様を愛している。
私が行った事がルーク様を傷付ける結果を生むと分かっていても。
間違った方法だと言われても。
「不要だ」と貴方に言われてしまっても。
「ルーク様、大好きです」
私の全てを、貴方に捧げてしまってもいいと思ってしまう程に、貴方に心を奪われてしまったのですから。
ルーク様を一番に考えながら、理想を押し付けていましたからね。
説得には一番時間を労しました。
「たくっ、怖い女だよ。お前は。兄上も何でこんなんに惚れたんだか」
「私がルーク様に惚れているのですから、ルーク様が私に惚れるのは当然ですよ」
「お前のその思考だけは絶対理解出来ねーわ」
「結構ですよ。貴方ごときに理解されたら死んでしまいたくなりますもの」
「お前はホントに……っはぁ。お前と話してると頭が痛くなるから兄上の所に行くわ」
本当に失礼。
私だって貴方と話している暇があるならルーク様の元に行きたいというのに。
そんなことを言うなら「会えるか分かんないけどな…」と小さく呟いた言葉に対して傷口を抉るように追い討ちかけてしまいますよ?
まあ、面倒ですからしませんけど。
「そうですか。私はもう少し薔薇を摘んでから行きます。ルーク様はお部屋にいらっしゃられると思いますよ」
「そうか。それじゃ、またな」
「ええ。また、」
彼が去っていくのを見送ることなくまたしゃがみ込んで、パチンと薔薇を摘む。
明日までしか飾らないけれど、ルーク様のお部屋に飾って差し上げよう。
喜んで下さればいい。
そう思いながら薔薇を一本一本丁寧に摘み取っていると、背後でカサリ、と草を踏む音がした。
次いで掛かる見知った声。
「ここに居たのかリア」
「ルーク様?」
今しがた第2王子が訪ねに行ったルーク様が行き違う様に現れて些か目を見張る。
部屋で執務をこなしていたのに、何故ここに居るのでしょう。
「陛下には今日挨拶を済ませた。明日は予定より早く出る」
「はい。ルーク様」
その疑問を口にする前にルーク様は、眉間に深く皺を寄せてそう仰られたので頷いておく。
今まで国王の所に逃げていたらしいルーク様は、余程第2王子に会いたくないらしい。
きっと今も、第二王子が自分を訪ねてくるのを知って、鉢合わせる前に私を探す名目で逃げて来たのだろう。
傷は深く抉られたので、恐らく当分はこのままだろう。
私は一向にこのままでも構わないのですが。
きっと明日、定刻よりも早くに出た私達に彼は騒ぐのでしょう。
けれど本気で会いたかったなら何が何でも会いに来るような男ですし、そこら辺には同情はしません。
そんな事を考えていれば、右手をルーク様に取られた。
難しい顔をしているルーク様をきょとんと見上げる。
「傷だらけじゃないか」
そう言われてそのまま口付けられた。
呆気に取られながらも自分の手を見てみれば、薔薇を摘む際に刺で引っ掻いたのか、無数の傷が付いていた。
ルーク様はそれを一つ一つ癒すように口付けていく。
そんな恥ずかしく感じる行為なのに、好きな人にされているというだけで自然と頬に熱が集まってくる。
全ての指に口付けを終えたルーク様は、手を解放して肩に手を添えると顔を近付けて目尻に軽く触れるだけの口付けを落とした。
「あまり傷を付けるな。美しい手なんだから」
「……はい」
ああ本当にどうしましょう。
この方は一体全体、私をどこまで落とす気なのでしょう。
例えば。今この瞬間。
側に居てもいいと言って下さったルーク様の言葉が無効になったとしても。
私はルーク様の為に動くのだと思う。
それくらい私はルーク様を愛している。
私が行った事がルーク様を傷付ける結果を生むと分かっていても。
間違った方法だと言われても。
「不要だ」と貴方に言われてしまっても。
「ルーク様、大好きです」
私の全てを、貴方に捧げてしまってもいいと思ってしまう程に、貴方に心を奪われてしまったのですから。