君の笑顔を思い出せない
素っ気ない君から愛されていると確認したくて。
何度か君の前で、君とは違うタイプの女と親しくして見せた。
その度に君は傷付いた顔をして、泣きそうに顔を歪めるから。
それが嬉しくて。
何度も何度も懲りずに君の前で君以外の女に愛を囁いた。
「好きだよ」
そう囁いて頬を染める。
「あたしも」と鼻に掛かったような猫撫で声を出して擦り寄ってくる女の香水臭さに吐き気がした。
けれど笑みを貼り付けて耐えた。
だってこのままここに居れば、必ず君の視界に入るから。
放課後の渡り廊下。
中庭を挟んだ先にある図書室のカウンター。
図書委員である君は当番である今日。
必ずこの光景を見ている。
(……あ、)
ぱちりと視線が合った気がした。
ううん。確実に合ってる。
どんな表情をしているか、ここからじゃ分からないけれど。
君が俺を見ているのは分かった。
だから俺は、名前も知らない女の腰に見せ付けるように腕を回して、君が居る位置から丁度キスをしているように見える角度に腰を折り女の耳元に唇を寄せた。
「なぁに?くすぐったいよぉ」
擽ったいと言う癖に離れる気がないらしい女。
実際はキス所か、こんな風に近付くことさえ嫌悪感を抱くのだけれども。
そんな事を内心で思っていれば、女は甘ったるい香水と同じくらい甘い声で内緒話をするように俺に囁く。
「ねぇ、今日うち親居ないんだぁ」
「へえ、そうなんだ」
だからなんだ。
そう言わなかっただけ褒めて欲しい。
女が望むような行為をする気はない。
そんな事をしてしまえば、本当に浮気になってしまうから。
俺はあくまでも彼女に愛されているかどうか実感したくて見せているだけだから、本当に浮気をする必要はないし、多分。出来ない。
(泣いてるのかな。それとも怒ってるのかな)
彼女が今どんな表情をしているのかを思うだけで、早く側に行って慰めてあげないとという気持ちになる。
そろそろ彼女の所に行こうかな。
図書室を閉める時間が近付いている事に気付いて、彼女の所に行こうと抱き着いてきていた女をおざなりに突き放す。
「あ、ちょっとぉ!どこ行くのぉ?」
「アンタもういいよ。用は済んだから」
「はあ!?何それっ!?」
バイバイと言うように手のひらを振って、そのまま図書室に向かう。
後ろで喚く女の声はもう聞こえない。
甘ったるい香水の臭いが鼻について気持ち悪い。
早く、君に癒されたい。
香水なんて付けていないのに、何故か甘くて良い匂いのする君を抱き締めて、この不快感を消し去りたい。
そんな身勝手な事を思った、これは罰なのだろうか?
何度か君の前で、君とは違うタイプの女と親しくして見せた。
その度に君は傷付いた顔をして、泣きそうに顔を歪めるから。
それが嬉しくて。
何度も何度も懲りずに君の前で君以外の女に愛を囁いた。
「好きだよ」
そう囁いて頬を染める。
「あたしも」と鼻に掛かったような猫撫で声を出して擦り寄ってくる女の香水臭さに吐き気がした。
けれど笑みを貼り付けて耐えた。
だってこのままここに居れば、必ず君の視界に入るから。
放課後の渡り廊下。
中庭を挟んだ先にある図書室のカウンター。
図書委員である君は当番である今日。
必ずこの光景を見ている。
(……あ、)
ぱちりと視線が合った気がした。
ううん。確実に合ってる。
どんな表情をしているか、ここからじゃ分からないけれど。
君が俺を見ているのは分かった。
だから俺は、名前も知らない女の腰に見せ付けるように腕を回して、君が居る位置から丁度キスをしているように見える角度に腰を折り女の耳元に唇を寄せた。
「なぁに?くすぐったいよぉ」
擽ったいと言う癖に離れる気がないらしい女。
実際はキス所か、こんな風に近付くことさえ嫌悪感を抱くのだけれども。
そんな事を内心で思っていれば、女は甘ったるい香水と同じくらい甘い声で内緒話をするように俺に囁く。
「ねぇ、今日うち親居ないんだぁ」
「へえ、そうなんだ」
だからなんだ。
そう言わなかっただけ褒めて欲しい。
女が望むような行為をする気はない。
そんな事をしてしまえば、本当に浮気になってしまうから。
俺はあくまでも彼女に愛されているかどうか実感したくて見せているだけだから、本当に浮気をする必要はないし、多分。出来ない。
(泣いてるのかな。それとも怒ってるのかな)
彼女が今どんな表情をしているのかを思うだけで、早く側に行って慰めてあげないとという気持ちになる。
そろそろ彼女の所に行こうかな。
図書室を閉める時間が近付いている事に気付いて、彼女の所に行こうと抱き着いてきていた女をおざなりに突き放す。
「あ、ちょっとぉ!どこ行くのぉ?」
「アンタもういいよ。用は済んだから」
「はあ!?何それっ!?」
バイバイと言うように手のひらを振って、そのまま図書室に向かう。
後ろで喚く女の声はもう聞こえない。
甘ったるい香水の臭いが鼻について気持ち悪い。
早く、君に癒されたい。
香水なんて付けていないのに、何故か甘くて良い匂いのする君を抱き締めて、この不快感を消し去りたい。
そんな身勝手な事を思った、これは罰なのだろうか?