痴漢!ダメ!絶対!
◆◇◆
「……か、香保サン?」
「なんですか?そんなアホみたいな顔をして。痴漢からアホ顔をするのが趣味にでもなりましたか」
「違います!というか、香保!お前また、んな格好で」
「はい?至って普通の部屋着じゃないですか?」
お風呂上がりなんですから見苦しいとか言わないで下さいよ。
何て言って、身体のラインがくっきりと現れるキャミソール、その上にカーディガンを羽織りショートパンツを穿くという、極めて露出の高い格好で教科書片手に勉強をする香保。
あまりの警戒心の無さに溜め息も出ない。
自分が今どんな状態か理解していないのか?
呆れ眼で目の前に居る香保を見やる。
風呂上がりのせいか頬は赤く染まり、逆上せているのか瞳が潤み、暑いのだろう唇は半開きだ。
たまに乾いた唇を舐める仕草まですりから堪ったものじゃない。
仮にも恋人の目の前で無防備な格好をするのだからいいじゃないかと言われたが、恋人だからこそ危険だと何故分からないのか。
怒鳴りたくなる気持ちも分かって欲しい。
(つーか、痴漢が切っ掛けで恋人になるってどうよ?)
俺と香保はなんの因果か恋人になっていた。
痴漢した者と痴漢された者が付き合うって、どんな状況だよ。
客観的に見ればそう思うかもしれない。
実際俺も未だに何故付き合えたのか疑問でしかないし。
ただ香保があの後、戸惑っていた俺に向かって言った言葉が切っ掛けになったのは間違いなく事実だ。
「付き合って頂けませんか?」
そう。ご丁寧に携帯を耳に当てた状態で。
つまりはアレか?付き合わないと通報するぞ?とか言ってんのか、コイツは。
普通、痴漢してきた男にそんなこと言うか?とは思うものの。
俺は目の前の奇想天外なこの子が気になり出していたのも、また事実。
拒否権なんてそもそもないに等しいし、興味本位のような感情で「どうするんです?」と聞いてきた香保に頷いてしまった。
「それで惚れてりゃわけねぇよな…」
「はい?誰が誰に惚れたんですか?……まさか私がいながら痴漢行為を致しているのではありませんよね?」
「んなわけあるか!」
「当然ですよ」
ニヤリと笑って教科書に向き直る香保にいい加減我慢も限界だ。
そもそも香保だってそれは分かっている筈なのに、釣れないことを言うのが悪い。
音を立てて香保の隣に座ると、きょとんとした顔をする香保の唇を奪った。
髪に指を埋めながら隙間なく触れ合わせ、押し返そうとする香保の舌を自分の舌と絡ませてはくちゅりと水音を立てる。
時折漏れる吐息のえろいこと。
ちゅっ、とリップ音を立てて唇を一旦離せば、何事においても表情を変えない香保の頬が明らかに風呂上がりよりも赤く染まっていた。
「いい加減構えよ」
「……っち、痴漢さんの癖に」
「その痴漢に惚れたのは誰だよ」
ニヤリとさっき香保が笑ったような笑い方をしてやれば、香保は顔を赤くしながら溜め息をついた。
「……勉強は終わりです」
そんな事を小さく呟いて俺にしなだれ掛かってくるもんだから、内心悶えながらも美味しく頂きましたよ?
ナニをって。
まぁ、察して?
「……そういや聞いたことなかったけど。なんで俺が露出した時反応しなかったわけ?」
「……ああ、まあ。ビックリし過ぎて、逆に冷静になれたと言うか。あなたの顔が好みだったから気にならなかったというか」
つまるところ、
「一目惚れしちゃったわけです」
恥ずかしそうに俯きながら言った香保の言葉を聞いて。
あ、俺もしかしたら一生香保に叶わないかも。
なんて思ったのは、きっと言うまでもない。
「……か、香保サン?」
「なんですか?そんなアホみたいな顔をして。痴漢からアホ顔をするのが趣味にでもなりましたか」
「違います!というか、香保!お前また、んな格好で」
「はい?至って普通の部屋着じゃないですか?」
お風呂上がりなんですから見苦しいとか言わないで下さいよ。
何て言って、身体のラインがくっきりと現れるキャミソール、その上にカーディガンを羽織りショートパンツを穿くという、極めて露出の高い格好で教科書片手に勉強をする香保。
あまりの警戒心の無さに溜め息も出ない。
自分が今どんな状態か理解していないのか?
呆れ眼で目の前に居る香保を見やる。
風呂上がりのせいか頬は赤く染まり、逆上せているのか瞳が潤み、暑いのだろう唇は半開きだ。
たまに乾いた唇を舐める仕草まですりから堪ったものじゃない。
仮にも恋人の目の前で無防備な格好をするのだからいいじゃないかと言われたが、恋人だからこそ危険だと何故分からないのか。
怒鳴りたくなる気持ちも分かって欲しい。
(つーか、痴漢が切っ掛けで恋人になるってどうよ?)
俺と香保はなんの因果か恋人になっていた。
痴漢した者と痴漢された者が付き合うって、どんな状況だよ。
客観的に見ればそう思うかもしれない。
実際俺も未だに何故付き合えたのか疑問でしかないし。
ただ香保があの後、戸惑っていた俺に向かって言った言葉が切っ掛けになったのは間違いなく事実だ。
「付き合って頂けませんか?」
そう。ご丁寧に携帯を耳に当てた状態で。
つまりはアレか?付き合わないと通報するぞ?とか言ってんのか、コイツは。
普通、痴漢してきた男にそんなこと言うか?とは思うものの。
俺は目の前の奇想天外なこの子が気になり出していたのも、また事実。
拒否権なんてそもそもないに等しいし、興味本位のような感情で「どうするんです?」と聞いてきた香保に頷いてしまった。
「それで惚れてりゃわけねぇよな…」
「はい?誰が誰に惚れたんですか?……まさか私がいながら痴漢行為を致しているのではありませんよね?」
「んなわけあるか!」
「当然ですよ」
ニヤリと笑って教科書に向き直る香保にいい加減我慢も限界だ。
そもそも香保だってそれは分かっている筈なのに、釣れないことを言うのが悪い。
音を立てて香保の隣に座ると、きょとんとした顔をする香保の唇を奪った。
髪に指を埋めながら隙間なく触れ合わせ、押し返そうとする香保の舌を自分の舌と絡ませてはくちゅりと水音を立てる。
時折漏れる吐息のえろいこと。
ちゅっ、とリップ音を立てて唇を一旦離せば、何事においても表情を変えない香保の頬が明らかに風呂上がりよりも赤く染まっていた。
「いい加減構えよ」
「……っち、痴漢さんの癖に」
「その痴漢に惚れたのは誰だよ」
ニヤリとさっき香保が笑ったような笑い方をしてやれば、香保は顔を赤くしながら溜め息をついた。
「……勉強は終わりです」
そんな事を小さく呟いて俺にしなだれ掛かってくるもんだから、内心悶えながらも美味しく頂きましたよ?
ナニをって。
まぁ、察して?
「……そういや聞いたことなかったけど。なんで俺が露出した時反応しなかったわけ?」
「……ああ、まあ。ビックリし過ぎて、逆に冷静になれたと言うか。あなたの顔が好みだったから気にならなかったというか」
つまるところ、
「一目惚れしちゃったわけです」
恥ずかしそうに俯きながら言った香保の言葉を聞いて。
あ、俺もしかしたら一生香保に叶わないかも。
なんて思ったのは、きっと言うまでもない。