【side story】春告げ鳥が哭いた日【完結済】
「藤堂菜月ちゃんだよね?」
「どちら様ですの?」
「この顔に見覚えはないかな?」
にっこり笑って、菜月ちゃんを見る。
菜月ちゃんは少し考えたような素振りを見せたあとにハッとしたような顔をした。
「冬彦さんの浮気相手!」
「んー。はは。あんな乳離れ出来てないような男の子には興味ないんだけどなー」
「あなた何しに来ましたの!わたくしの冬彦さんを奪って楽しんでるのですか!」
「楽しんでる……。まあ、楽しんではいるけれども……。浮気相手ではないかなぁ」
「嘘仰い!冬彦さんと一緒にで、で、デートしている場面を親衛隊の人間が写真に収めているのですよ!」
そう言ってあたしにバッと写真を突きつける。
どうでも良いけれども発覚してから常に持ち歩いてるの?
まあ、その写真、冬彦くんしか映ってないけれども。
あたしが映っていただろう場所はペンか何かで消されているけれども。
「……菜月ちゃんはさぁ」
「なんですの。気安く呼ばないでくださいまし」
「冬彦くんのことが本当に好きなんだねぇ」
菜月ちゃんの言葉を気にせずに続ければ、菜月ちゃんの顔はみるみる間に赤く染まっていった。
可愛いねぇ。こぉんな可愛い子を泣かすなんて冬彦くんサイテー。
なんてね。理由にあたしが関わってなければあたしはこんな面倒くさそうな女の子に関わろうとなんてしなかったよ。
「冬彦くんとあたしの間には何もない。強いて言うのならあたしは仕事で冬彦くんの家にお邪魔してるだけだよ」
「本当ですの……?」
「うん。本当。私と冬彦くんは、ただの仕事だけでしか繋がってない関係だよ」
そう言った時に、チクリと胸が痛んだ。なんでだろう?何かヘマしたっけ?
胸に手を宛てて首を傾げる。怪我はしていないみたい。なら何で……。
あたし達の関係性に心底喜んでいる菜月ちゃんはそんなあたしの行動なんて気にも留めてないようだ。
お嬢様ってのはみんなマイペースなのかな……。
まあ、良いや。この胸の痛みは一瞬で消えたし、菜月ちゃんはどうやら絆されやすくて素直な良い子のようだし。
「分かってくれたかな?」
「あ、でもどうして一緒にデートなんて……」
「あー、はは。アレは朝ご飯を食いっぱぐれた冬彦くんとあたしがただご飯を食べに出掛けただけ。美味しいパン屋だから今度菜月ちゃんもデートで連れてってもらえばいーよ」
「デート……!」
「というかやけにデートって単語に食いつくね」
もしかして菜月ちゃんと冬彦くんはあまりデートをしないのかな?
そう予測を立てて口に出せば、菜月ちゃんは頬を染め上げて「まだ早いですわ!」と叫んだ。
早いって、何言ってるんだろう。要はそういうことをすることが早いということだろうか?
「結婚したらキスもその先もするんだよ?手を繋ぐだけでドキドキ出来る今の内にデートでも何でも回数重ねた方が良いと思うけど」
「う、……そ、そう言うということはあなたは恋人がいるんですの?」
「さあ、どうでしょう?」
恋人どころか愛人関係の人間なら居るよ、なんてこの純粋な子には何故だか言えなかった。
きっと冬彦くんにも言えないんだろうなぁ……。
「あなたと冬彦さんが何も関係はないことは分かりました。わたくしはあなたを信じます。お父様にもちゃんと伝えておきますわ」
「うん、ありがとう」
人を簡単に信じられるのって、言っちゃあ何だけれどもある意味特技だよね。
感心しながら菜月ちゃんにお礼を言った。
「どちら様ですの?」
「この顔に見覚えはないかな?」
にっこり笑って、菜月ちゃんを見る。
菜月ちゃんは少し考えたような素振りを見せたあとにハッとしたような顔をした。
「冬彦さんの浮気相手!」
「んー。はは。あんな乳離れ出来てないような男の子には興味ないんだけどなー」
「あなた何しに来ましたの!わたくしの冬彦さんを奪って楽しんでるのですか!」
「楽しんでる……。まあ、楽しんではいるけれども……。浮気相手ではないかなぁ」
「嘘仰い!冬彦さんと一緒にで、で、デートしている場面を親衛隊の人間が写真に収めているのですよ!」
そう言ってあたしにバッと写真を突きつける。
どうでも良いけれども発覚してから常に持ち歩いてるの?
まあ、その写真、冬彦くんしか映ってないけれども。
あたしが映っていただろう場所はペンか何かで消されているけれども。
「……菜月ちゃんはさぁ」
「なんですの。気安く呼ばないでくださいまし」
「冬彦くんのことが本当に好きなんだねぇ」
菜月ちゃんの言葉を気にせずに続ければ、菜月ちゃんの顔はみるみる間に赤く染まっていった。
可愛いねぇ。こぉんな可愛い子を泣かすなんて冬彦くんサイテー。
なんてね。理由にあたしが関わってなければあたしはこんな面倒くさそうな女の子に関わろうとなんてしなかったよ。
「冬彦くんとあたしの間には何もない。強いて言うのならあたしは仕事で冬彦くんの家にお邪魔してるだけだよ」
「本当ですの……?」
「うん。本当。私と冬彦くんは、ただの仕事だけでしか繋がってない関係だよ」
そう言った時に、チクリと胸が痛んだ。なんでだろう?何かヘマしたっけ?
胸に手を宛てて首を傾げる。怪我はしていないみたい。なら何で……。
あたし達の関係性に心底喜んでいる菜月ちゃんはそんなあたしの行動なんて気にも留めてないようだ。
お嬢様ってのはみんなマイペースなのかな……。
まあ、良いや。この胸の痛みは一瞬で消えたし、菜月ちゃんはどうやら絆されやすくて素直な良い子のようだし。
「分かってくれたかな?」
「あ、でもどうして一緒にデートなんて……」
「あー、はは。アレは朝ご飯を食いっぱぐれた冬彦くんとあたしがただご飯を食べに出掛けただけ。美味しいパン屋だから今度菜月ちゃんもデートで連れてってもらえばいーよ」
「デート……!」
「というかやけにデートって単語に食いつくね」
もしかして菜月ちゃんと冬彦くんはあまりデートをしないのかな?
そう予測を立てて口に出せば、菜月ちゃんは頬を染め上げて「まだ早いですわ!」と叫んだ。
早いって、何言ってるんだろう。要はそういうことをすることが早いということだろうか?
「結婚したらキスもその先もするんだよ?手を繋ぐだけでドキドキ出来る今の内にデートでも何でも回数重ねた方が良いと思うけど」
「う、……そ、そう言うということはあなたは恋人がいるんですの?」
「さあ、どうでしょう?」
恋人どころか愛人関係の人間なら居るよ、なんてこの純粋な子には何故だか言えなかった。
きっと冬彦くんにも言えないんだろうなぁ……。
「あなたと冬彦さんが何も関係はないことは分かりました。わたくしはあなたを信じます。お父様にもちゃんと伝えておきますわ」
「うん、ありがとう」
人を簡単に信じられるのって、言っちゃあ何だけれどもある意味特技だよね。
感心しながら菜月ちゃんにお礼を言った。