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過去に縋り付く

明「大きな御屋敷…。」

私はあの後、薫さん達に案内された自宅に向かった。

ちなみに薫さんというのは、助けてもらった男の人2人どちらかの恋仲ではと疑った人。そのことを本人達に問えば、約一名を除いてすごい勢いで否定された。

「断じて違うでござる!!」

「案外あったりしてな?(ニヤ」

「やめてよ左之助!!違うからね?!!」

そして左之助というのは、額に赤いハチマキを巻いた男の人。そして赤髪の男の人は、緋村剣心というらしい。この緋村剣心さんは流浪人るろうにらしいけど、訳あって今はこの薫さん宅に居候していると説明された。

薫「さ、上がって上がって!弥彦〜!!」

弥「お!やっと帰ってきたのかよー!俺腹減って死ぬとこだった〜!!」

明(ンンンン???なんでここに子供が????やっぱり薫さん…ご結婚されてるんじゃ……?まさか誰にも言えない秘密の婚約者なの?!隠し子?!!!)

だからといって軽蔑はしないし私は手当を済ませたらすぐにここを出るので、他人様の事情は知らぬ、という気持ちで薫さん宅にお邪魔させてもらった。

薫「ねえ弥彦、恵さん呼んできて。怪我人よ。」

弥「良いけどよ〜。誰だそいつ?」

明「前大明(ゼンダイ/アカリ)といいます。」

よろしくね、と言いそうになったが宜しくする程の時間もいる予定がないので既で止めた。

弥「え、前大明って言ったか?今。」

明「え。う、うん。」

弥「…俺弥彦。……恵さん呼んでくる。」

私が名を名乗ると、弥彦(多分そう言った)くんは少し様子がおかしくなったが、薫さんに言われたとおり、恵さんという人を呼びに行った。

薫「弥彦ったらどうしちゃったのかしら。」

左「剣心。」

剣「………いや…聞き覚えがない。」

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明「イッ…ッッッッッッッッ〜!!!」

恵「ほら我慢我慢。」

弥彦くんの反応に戸惑いつつも、きちんと手当をしてもらった。めちゃくちゃ痛い。

恵「包帯は定期的に変えなさいよ。布切れでもいいからきちんと巻くこと。いいわね?水で洗うことも大切よ。じゃないと…。」

バチィーン!!!

明「ッッッッッッッッッッッッッッッッ〜〜〜!!!!!!!」

いきなり叩いてきたんだけとこの人!!!めちゃくちゃ痛い!!!!!!

痛みに悶え若干涙目になっている私をよそに、恵さんは話を続けた。

恵「私が説教するからね!!!」

明「ヒッ……。」

恵「返事は?(¬_¬)」

明「は、はい!!ごめんなさい!!!!」

これでわかった。恵さんは怖い。絶対に逆らっちゃいけないタイプの人間だ。こういう人が上司になるとめんどくs(((

明「で、、では、、、、私はこれで、、。手当の方、ありがとうございました。」

恵「あら、あなた帰る家あるの?」

明(何を言い出すかと思えば、そんな事?)

明「ありますよ勿論!!」

恵「燃えて灰になった場所が家?」

明(何言ってんだろうこの人。)

すると恵さんは、爆弾発言をした。

恵「あなたの家。あなたを襲ったひょろひょろ男が燃やしたのを見たって、さっき来た患者が言ってたんだけど。」

明(冗談じゃない!!!!!!!!!!)

恵「あらもう居ない。」

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明「私の家私の家…!!」

サラサラ…。

みんなは見たことがあるだろうか。人助けをして怪我を負い、手当をしてもらって家に帰ると、自分の家が建っていたであろう場所に灰の山がある所を。

町人「お気の毒ね…。」

町人「ほんとにね……。住むところはどうするつもりなのかしら…。」

町人「オマケに金品も盗られていったらしいよ…。」

明「?!!」

垢(嘘だ。家が無くなったのも、金品をかっさらわれたのも……。)

ちなみに金品は、確かに盗られていた。私は基本、無駄遣いを防ぐ為に、その用度によって必要な金額だけを持ち歩くようにしていた。

明(自分の為になると思ってした事が、自分を苦しめる要因になるなんて……。)

前大明。17歳。この歳にして無一文の家無しになりました。

明(そうだ。砂糖と塩!、、、あれ、、無い。)

これまでの記憶を遡ってみる。

明(ああああああああああ!!!薫さん宅に忘れてきたああああ!!!)

恵さんの話を聞いてすぐに飛び出してしまったもんだから…。

明「終わったな…。全部……。」

働き先は、先週潰れていた。理由は、店長が酒に酔って暴れに暴れ、お店の評判はガタ落ち。客が来なくなってしまったからだ。

私は今ある現状にショックを受け、地面に座り込んだ。

明「人生終わった……。誰でもいい、私が餓死したら骨は埋めて………。」

「そんな物騒な事を言ってはいけないでござるよ。」

明(え、この声。)

聞き覚えのある声に後ろを振り返ると、剣心さんが居た。

明「剣心さん…。ごめんなさい……。でも…、働き先は先週潰れたし、家もこの有様。お金も盗られて……、人生諦めろっていうお告げですかねえ………。ハハハッ。」

明(もう笑うしかない……。)

剣「諦める必要は無いでござる。拙者たちと共に暮らそう。」

そういうと剣心さんは私の目の前に来て跪き、手を差し伸べてくれた。

明(あらヤダプロポーズ???←)

剣「恵殿が、明殿の事をとても心配していたでござる。薫殿も、話を聞いてすぐに家を飛び出して行った。みんな明殿を探しているでござるよ。」

明「なんで…、今日会ったばかりなのに……。」

剣「困っている人を放っておけなかった…。それだけでござる。さあ、行こう。」

明(!)

私は、"困っている人を助けたい"というただ一つの気持ちを胸に差し伸べてくれた剣心さんの心優しい手に、自分の手を重ねた。

剣心さんのその手に触れた瞬間、少し泣いてしまった。本当に優しいんだな、と思ったから。何もかもを失った私には、とても眩しいものだったから。

私が泣いた時、剣心さんは酷く慌てていた。

剣「明殿?!大丈夫でござるか?!どこか痛いところが?!!」

さっきカッコつけたくせに。こんなゴツゴツしていて強い手なのに。性格がこれなんだな、と思うと今度は笑ってしまった。

泣いたと思ったら笑うもんだから、剣心さんはまた慌てた。

剣「明殿?!!!………やっと笑ったでござるな。」

明「えっ。」

明(慌てたと思ったら……またそうやってカッコつけ…。)

その時の剣心さんは、まるで我が子を見守るような優しい顔をしていた。

明(あ、、、、好きだな、、、、、。)

長い片思いの始まりです。
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