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いつかの夕焼けはまた赤くなる【長編】

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「な、なにしてんだよ!」
「なにって、あーん?」

シルクは、箸のお肉をなかなか食べずに顔を赤くして私に言った。
怒られる理由もよく分からなかったし、首を傾げてると

「こいつ……自分のやってること分かってんのか……」

と、憎々しげに呟いた。
肉だけに。
…………( ´・ω・`)
シルクってば、小さな声で言ったつもりなんだろうけど、こっちには丸聞こえだったから、親切に教えてあげた。

「別にあーんしただけじゃん」
「聞こえてんのかよ」
「てかなに、シルク照れてる?」
「べっつに照れてねぇよ!」
「私を女子として接したことある人この中にいないじゃん」

私が自嘲気味に笑うと、シルクはまたもや小さな声で何かを呟いた。
今回のは聞こえなかったから、聞き返そうと口を開くと同時に、シルクは箸のお肉を手でつまんで口にほおりこんだ。
そして、さっさとリビングへ戻っていった。

「……感想くらいくれてもいいじゃん」

私のことを女子として見てくれてる人がいない。
それは、小中時代の私にしてみれば幸せなことだった。
男女の差別なくしたいことができる。
けれど、それはあくまで昔の話。
今の私は、人並みに女の人扱いをされたい的な思いはある。

「……まぁ、昔からこんなだと今更遅いんだけどね」

焼けてきたお肉を木べらでひっくり返す。
……あいつらと一緒にいなかった数年間、私には色んなことがあった。
転校してからはなるべく静かに過ごしてた。
それは、意図したものではなくて、ただ単純に皆と離れたことが悲しくて前見たく騒げなかった……とか、皆みたいな人がいなかったから。
それでも、転校してから1年その調子でいたからか北海道の私の性格は女の子らしい物静かな子になってた。
それでも、自分の素は出したい欲にかられて、高校に入ってから仲良くなった男子とFischer'sの皆みたいなことをした。
木に登ったり、川で遊んだり……。
気づいたら、周りには誰もいなかった。

「…………」

跳ねる油を見ながら、小さく息を吐く。
……作りあげたキャラを壊すと、何もいいことなんてない。
それが高校を卒業する時、私が身につけた教訓だった。

「あいよ、つまみできたー」

お皿に盛り付けて、爪楊枝を刺してリビングへ運んだ。
……Fischer'sの皆の中の私は、活発で男勝りで……女っ気のない私だと思うから。
だから私は、口調を軽くして昔みたいに笑ってる。
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