それ以外
僕には、鏡子という恋人がいました。丁度一年前、大学のサークルで知り合った子なんですけど。初めて話した時……は、そのサークルの飲み会で、その時は結構可愛い子だなーって思いつつ、喋ってたんです。
そこから、構内で会った時には、たまに話すようになって。その後もサークルで顔を合わせるうちに、向こうからアプローチが来たんですね。……その時は、自分でも舞い上がってました。そりゃあ、気になってた女の子の方から来てくれるなんて、嬉しいことこの上ないじゃないですか。
でも。付き合ってからは、なんだか変に拗れていっちゃって。サークルで女の先輩と話しただけで、「私のこと嫌いになったんだ?」とか、「あの人たちとそんなに話さないでよ」とか。重すぎたんです、僕には。
けれど、自分じゃ、鏡子の愛に答えられないよ、って別れを仄めかせば、その場で自傷したり、メッセージで「もういらなくなったんだ、私のこと」とか言って、大量の錠剤の画像を送ってきたりするし。現状維持して、耐えてることしか、あの時の僕らにはできそうになくて。
あの夜……あの夜は、どうしても耐えられなくて。一緒に歩いてたのは妹だって、説明しても「それでも耐えられない」なんていうものだから。彼女の部屋で、ずっとずっと堂々巡りの会話を続けていました。だから。僕はもういい、一回頭を冷やそうよ、って言って、彼女のマンションから出たんです。
その日の夜風は冷たくて、外に出た時にはいくらかは冷静になっていました。そんな時、鏡子から、「もういい、いらないんでしょ、私のこと」みたいなメッセージの通知が、何件か来たんです。急いで振り返ると、彼女はもう、柵を越えて、僕の目の前にまで迫っていました。
その瞬間、僕も彼女も、砕けて、ぐちゃぐちゃになって、もう、元には戻れなかったんです。
そこから、構内で会った時には、たまに話すようになって。その後もサークルで顔を合わせるうちに、向こうからアプローチが来たんですね。……その時は、自分でも舞い上がってました。そりゃあ、気になってた女の子の方から来てくれるなんて、嬉しいことこの上ないじゃないですか。
でも。付き合ってからは、なんだか変に拗れていっちゃって。サークルで女の先輩と話しただけで、「私のこと嫌いになったんだ?」とか、「あの人たちとそんなに話さないでよ」とか。重すぎたんです、僕には。
けれど、自分じゃ、鏡子の愛に答えられないよ、って別れを仄めかせば、その場で自傷したり、メッセージで「もういらなくなったんだ、私のこと」とか言って、大量の錠剤の画像を送ってきたりするし。現状維持して、耐えてることしか、あの時の僕らにはできそうになくて。
あの夜……あの夜は、どうしても耐えられなくて。一緒に歩いてたのは妹だって、説明しても「それでも耐えられない」なんていうものだから。彼女の部屋で、ずっとずっと堂々巡りの会話を続けていました。だから。僕はもういい、一回頭を冷やそうよ、って言って、彼女のマンションから出たんです。
その日の夜風は冷たくて、外に出た時にはいくらかは冷静になっていました。そんな時、鏡子から、「もういい、いらないんでしょ、私のこと」みたいなメッセージの通知が、何件か来たんです。急いで振り返ると、彼女はもう、柵を越えて、僕の目の前にまで迫っていました。
その瞬間、僕も彼女も、砕けて、ぐちゃぐちゃになって、もう、元には戻れなかったんです。