bathroom※




洗い上げた髪を軽くふいてくれる柔らかいタオルの感触。
心地よくて思わず深く息をついた。

「ヒョクチェ・・・」
声まで湿り気を帯びたのか、いつもよりさらにドンヘの囁きが甘く響いて困る。

一緒にお風呂にはいるのは久しぶり。
だからだと思うけど、ドンヘはやたら甘えっ子。
どこか洗い終えるたびに、濡れた肌どうしをくっつけている。

「・・・ん、くすぐったいよ」
後ろから首の付け根に噛み付かれて、震えそうになったのをごまかしてみるけど。
「・・・したいなあ・・・ダメ?」
ドンヘはごくシンプルに問いかけてきた。
普段はあんまり使わないソフトマットを敷いた時から、そんな気はしてた。

「早く出ないとヒチョルヒョンに怒られるよ」
とりあえずドンヘが逆らえないヒョンの名前を出してみる。
「ヒョン今日はもう入ってたもん」
あっさり撃沈。

「トゥギヒョンは・・・」
「地方で仕事じゃん」
「でも・・・」
「イヤなのヒョクチェ?」
もごもご言い続ける俺は、おっきな瞳に覗き込まれる。
イヤっていうか・・・

「・・・恥ずかしいんだよ」
「なんで? 今更」
「だって、明るいし隠すもんないし」
「ふーん・・・」
ドンヘとそーゆーコトするのにはまあ・・・慣れたけど、この状況は苦手だ。

「出てから、なら・・・いいから・・・」
「あ! じゃあこうすればいいんじゃん?!」
ぼそぼそ呟いた俺の言葉をスルーして、ドンヘはなんだか目を輝かせた。
ばか、結構勇気出して言ったのに!

むくれているとドンヘはじゃーんとタオルを掲げて。
なに?
俺が首を傾げているあいだに、そのまま自分で目隠しをして見せた。

「ね? 俺が見えなければ恥ずかしくないでしょ?」
表情が半分しかわからなくなったけど、なんだか楽しそうにしてる。
・・・まあ、見られなければ多少は違うけど・・・

「・・・うん」
もう断りようがなくて小さく頷く。
それを聞いたドンヘの口角が、嬉しそうにきゅっと上がる。
なんとなく見入っていると、それはそのまま俺の唇にかぶさってくる。

「ヒョクチェ・・・」
「んぅッ」
・・・濡れたままのキスって、なんか溺れやすい気がする。
あんまり深くしないで下唇を噛んだり舐めたりしてるけど、わざとそうしてるの?
唾液なのかシャワーの飛沫なのか、顎を伝っていく一筋にぞくぞくした。

「座らせて」
唇をくっつけたままドンヘが呟く。
力が抜けてしまう前にそうしてくれたほうが助かるから、素直に従った。

「うん、・・・ここ・・まず膝ついて」
マットの上にぺたんと座り込んでドンヘも同じようにさせる。

「ヒョクどこ?」
「・・・こっち」
手のひらを導くけど、ドンヘはそこにペタリと触れたまま。
「ここでいいの?」
触れさせた肩を優しく包むだけ。
「え・・?」
「ヒョクの触って欲しいトコ教えてよ」
「・・・うう・・」

戸惑ってるとドンヘはゆっくり胸をまさぐり始めた。
だけど、なかなかそこには触れずに、周りばっかり。
見えなくて探ってるのか、わかってての意地悪なのか。

「ちょっ・・と・・ドンヘッ」
「どこかなー、ヒョクのスイッチ」
「ふあ!・・あ、・・う・・」
やっと触れたと思ったらすぐに離れて。
焦れったいけど、触れた時の良さが倍になってる気がして・・・勝手に期待してしまう。

「見つけた」
「んあ!・・あ、あ・・んッ」
ドンヘは急に狙いを定める。
スイッチとドンヘが表現したのは、間違いじゃない気がしてくる。
濡れた指先に弾かれると、簡単に気持ちよくなって。

あっというまに下半身に疼きが溜まる。
思わずもぞもぞしてしまって、ドンヘにそれがバレたみたい。
左手は色々イタズラしたまま、右手はするすると降りていく。

「ひゃうッ!!・・あ、そこ・・ねえ・・」
「なあに? どういうふうにしたらいいの?」
子供が粘土を触るみたいにぺたぺた触ってる。
違うの、そうじゃなくて・・・

「もっと・・・えっと・・・」
でも、そんなこと具体的になんて言える訳ないじゃん。
困りきって口ごもる俺の耳に、ドンヘの熱い息がかかった。

「教えて? ヒョク」
甘い甘い声。
ドンヘがそんな声を吹き込むからいけないんだ。
ちょっとだけ吹っ切れて、その手を掴む。

「・・・こう、やって・・・動かしてッ」
きゅっと握らせてゆっくり上下に動かした。

「こう? ここ?」
「あ!!・・そう・・・あ!・・もっと・・・ッ」
「ここがいいんだ」
「んんーッ!!・・」
・・・的確に教えすぎたかもしれない。
まだそんなにいっぱいしてないのに、弱いトコばかり集中的にされて・・・

「だめ・・・も、きちゃうぅッ!!」
「だめじゃないよ。イって?ヒョク」
「あ、あ、あ!!・・ッ!!」
追い立てる動きになったドンヘの手に、為す術もなく絶頂を迎えた。
早いよ、俺のばか。

「ヒョク・・・出た?・・ねえ、どれだけ出た?」
「はあ、はッ・・・そんな、の・・・知らな・・・」
「見えないんだから・・・教えてよ」

ほっとくとずっと言いそうな気がして、脱力した体を仕方なく動かした。
たくさん散ったお腹と太もも。
ドンヘの手を持っていったら、確かめるように指で掬ってる。

「たくさんだね、良かった?」
「わ、わかったんでしょ?」
確認したくせになんだよ、もう・・・
「うん、わかった。ヒョクが俺に触られていっぱいいっぱい出しちゃったの」
わざわざ恥ずかしい言い方をされて脳みそが沸騰する。

「このまま、使うね?」
「え・・・あ!!」
反論する言葉が見つからなくてぱくぱくしていると、ドンヘは口をニコっとさせた。
ぬるぬるの指先が素早く動く。
するりとその部分に滑り込んできて、意図が分かった。

「ちから、抜いてて」
骨ばった中指に翻弄されるのを、俺は覚悟した。


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