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「やああ!!・・・ひぅッ、ああああーッ!!」
泣き叫ぶヒョクを押さえつけてさらに奥を抉る。
あんまり慣らしてないのに無理やり突っ込んだから、もしかして傷ついたかも。
それにしてはイイ声あげてるけど。

「ヒョク・・・いいの? こんな風でも」
「あッ!!・・ん、うん・・・いい、よぉ!!」
へえ、そんなに淫らになったんだ?
俺だけの所為じゃないってことかな。

悔しい、悔しい。
暗い色をした嫉妬の感情に飲み込まれて、どうにかなりそうだ。

「どうされたっていいんだ・・・救いようがないね」
「ひゃあ!!・・そこ・・ダメッ」
「ヒョクのダメはいつも嘘じゃん。イケばいいのに」
「ちが・・・あ、あッ!! まだ・・・イキたくないのぉッ!!」

半分悲鳴に近い声をあげて、それでもヒョクは俺をしっかり見た。

「まだってなに?」
「ドンヘ・・も、一緒が・・いいッ!!」
この期に及んで、そんな台詞で絆さないで。
これがもしも計算だとしたら、恐ろしいほど小悪魔だよね。

「俺はまだだよ、さっき出したからね?」
「ん、ん、はや・・くぅ!!」
叫ぶと同時に、ヒョクの中はぎゅうっと俺を締め付ける。
もうこうなったら勝負みたいなもんだ。

「ヒョクも動いたらいいじゃん? それは教えてもらわなかった?」
「どん・・へ・・、そうじゃ・・ないってばッ」
「せっかくだから習ったことぜんぶしてよ」
「・・口、だけ・・・ヒョクチェが・・・したの」
ヒョクチェって・・・どういう意味だよ。

「よくわかんない。ごまかすくらいなら嘘つきとおしてよ」
「うそ・・じゃな・・ッ・・ん、や・・やあ!!」
「俺アタマ悪いから。いっこしか見えないから。裏切らないで」
「どんへ・・どん・・へッ・・も、ダメ・・」

生理的に流れてるんだろう涙が、ぽろぽろ溢れては金の髪に吸い込まれてく。
口元にはさっき零した俺の精液がこびりついたまま。
あーあ、ぐちゃぐちゃだね。

それでも綺麗と思ってしまうのは、長年染み付いた習慣みたいなもので。

やっぱりどんなになったってヒョクが好きだ。

「ねえ、誓ってくれる?」
「な・・にを?」
「もう他の人に触らないで。触らせないで。俺とだけして」
「わかって・・るッ、ドンヘだけ・・・だよぉッ!!」
確認を体でしようと、最奥で円を描くように動かした。
言葉の最後を金切り声にして、ヒョクは俺にしがみつく。

「じゃあ、とりあえず意地悪はやめてあげる。ついてきてね?」
「んッ、お願・・いッ・・・もお・・イッちゃ・・・うッ」
「・・うん、ちょっとだけ頑張って?」

ぎちぎちに締め上げられてるから、本当は俺ももうヤバイんだ。
呼吸困難寸前のヒョクを揺さぶったら、背中を思いっきり引っ掻かれた。

「あ、あ・・イクよ、ヒョク?」
「んーッ、んんーッ!!・・ひあああああ!!」
「・・ん、ん、くッ・・ぅ」
あー、すっごい。
さっきだってあんな出したのに、信じらんない。

怖いくらい体を痙攣させて、ヒョクはそのまま電源が切れるみたいに気を失った。
「・・・あー、やばい」
俺も酷い倦怠感に襲われて瞼を閉じる。
ふたりとも出したまんまだけど、まあいいや。
離れるのもったいないし。

ふたりして本当のどっかの暗闇に落ちてけたらいいのに。
そんなことを片隅で考えた。






                 *





「相手は・・・俺なの」
「・・・へ?」
「嘘みたいだけど、ホントなんだ」

濃厚にセックスの余韻が残る空気。
ちゃんと処理もしないまま眠ってしまったから、汗と精液でベタベタだ。
そんな中、先に目を覚ましてたらしいヒョクが、俺が起きると同時にそんな風に切りだした。

「ドンヘにいつもしてもらうばっかだから、練習しよって」
「れ、練習?」
「うん。俺ちょっと前に髪赤くしてたでしょ? あの俺が来たの」
ん? ん?
意味がわからない。
でも、ヒョクはすごく真剣な様子だ。

「夢かなって思ったんだけど、気づいたらこれ・・・残ってて・・・」
問題の右肩をさすりながら俺を見つめる。

えっと、つまりどういうこと・・・?
頑張ってるみたいだから理解してあげたいんだけど、俺の脳みそには難しい。

「だから、赤髪の俺がその・・・ご奉仕・・を教えに来て、それで・・・こうなったの」
・・・赤髪ヒョクチェと金髪ヒョクチェが、あーゆー練習・・・?
え、しかも俺にお返しするため?

「・・・・なんで、呼んでくんなかったのーーー?!」
ヒョクの言ってる意味を理解した途端、ほぼ反射的に叫んでいた。
「・・・だって、お前いなかったじゃん」
突然大声を出した俺に、ヒョクは一瞬目をぱちぱちさせて。
でもちょっと安心したような顔になってそう言った。

「いなくても呼んでよ!! 飛んで帰るよ!!」
「無茶言うなよ」
「だってさあああああ!!」
なんなのその夢みたいな状況。
あ、夢かと思ったってさっきヒョク言ったか・・・
イヤ、そうじゃなくて。
現実的にどうなのかよくわかんないけど、その図を想像しただけで飛び込みたくなる。

「ああ、もう!! シウォンに任せて帰ってきちゃえばよかったああああ!!」
現場にいたすぎて死にそう。
枕に顔を突っ込んでダンダンしてしまう。

「仕事はちゃんと・・・・・・あ、・・」
困った時の声を出していたヒョクが、何かに気づいたように言葉を止めた。
と、背中に指先がそおっと触れる感覚がして、一瞬痛みが走る。

「ゴメン・・・血出てる、せなか・・・」
ああ、最中にガリガリ聞こえてたかも・・・そういえば。
不安そうな表情を見る限り結構酷いのかもだけど、そんなの平気だよ。

・・・あ、でも・・・
「・・・ひゃ!!・・・な・・にッ?!」
ひょいっと手を伸ばしてヒョクの体をまさぐった。
驚いて飛び上がる様子は小動物っぽい。

「ヒョクは平気? 傷とかついてない?」
「え?・・・あ、だいじょぶ・・・多分」
逆上して随分乱暴な抱き方をしてしまったのを思い出す。

「ゴメンね、酷くして」
「んーん、俺が変に隠そうとしたからだし・・・」
探っていた手で引き寄せて抱きしめると、ふーっと力をぬきながらヒョクが呟く。
髪を梳くとまだかすかに濡れていて、昨夜の泣き顔が頭をよぎった。

「・・・でもさ、ヒョクってあんな風にされてもイイんだね」
「・・・・・・・いいなんて言ってない」
つい、そんな言葉が口をついて出る。
ヒョクは目の周りを赤くして俺を睨む。

「言ってたもん」
「・・・・・・・気のせいだよ」
「言ってたもん」
「・・・・・・・でも、ちょっと怖かった・・・・」
ごくごく小さい声で、そんな告白をしたりして。
否定しきれてないとこが可愛い。

「ゴメンてば。でも、たまにならいいでしょ?」
「もう、ヤダよ・・・」
「えー、嘘。あんなによさそうだったのに?」
「記憶消せバカ!!」
「絶対消さない!! あんなヒョク忘れたらもったいなさすぎる!!」
「いいから忘れろってば!!」

抱きしめたまま身を捩ると、ヒョクは俺の頭をばしばし叩く。
俺だってあんな暴力みたいなセックス、そうそうする気はないよ。
でも、記憶をしっかり保存するくらい許して。

もちろん。
その赤髪ヒョクチェが現れたら、それも後生大事にメモリーさせてもらうけど。
いつか俺の前にも現れてね?
その想いを込めて金色のヒョクの髪に口付けた。


 
End...
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