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10月15日



「ドンヘー、ちょっとー」
「んー・・・」
間延びしたようなヒョクチェの声が聞こえる。
まどろみの中から朝の光まで、ズルズル意識を引っ張りあげた。

「ん? わ!! なにこれ」
目を開いたら広がっていた、たくさんの色たちにビックリする。
床に座り込んでるヒョクチェの周りに、綺麗にラッピングされた箱や袋がいっぱい。

「ドアの前山積みだったから、持ってきた・・・」
まだちょっとぼーっとしてる様子でヒョクが呟く。
昨日みんなが置いてったやつ?
こんなにあったんだ・・・

「リョウクの、このお菓子俺にもちょーだい」
情事の余韻でふにゃふにゃしたまま、そんなコトを言うから子供みたいだ。
ああ、頬骨昇天しそう・・・

「これ、はい。キュヒョナからだって」
アイツが俺に手紙?!
シンプルな白い封筒を手渡されて、凝視してしまった。

『ドンヘヒョン、誕生日おめでとうございます。
 ヒョクチェヒョンが今着てるはずの服、それが俺のプレゼントです。 
 可愛いでしょう?
 感謝してくださいね。
 俺の時はソンミナヒョンに似合うものをよろしく』

「キュヒョナなんだってー?」
がさごそ整理しながら無邪気に見上げられて、
「い、いや、おめでとうってさ!! 口で言えばいいのにな!!」
慌ててやたら大きな声になってしまった。

ヒョクが自分で選ぶにしてはダボダボしてると思ったら、そーゆーことだったのか。
でもこれに関してはキュヒョナGJ。
ヒョクの肩とか大好きな俺には、いいプレゼントだ。
2月までに、おかえしにいいの探さないと。

「あ! これもいーなー貸してー」
俺のなのに遠慮なく物色してるヒョク。
でも俺には意外と嬉しい感覚だったりする。
なんかふたりでひとつっぽくない?とか思うからさ。

「ヒチョルヒョンの色々細かく入ってる。ほら、リップクリームとか」
これから入り用だもんねーとかいいながらパッケージを読んでいる。

・・・あ、ヒチョルヒョンさすがかもしれない。

「ヒョクそれあげる」
「へ? 俺も持ってるよ?」
「いいから今塗んなよ」
「今??」
目をパチパチしてるヒョクのところに降りて、その唇に触れてみる。

「あッ、なんか痛い」
「だって、ちょっと腫れてるし切れてる」
「切れてる?・・・・・・あ・・・」

昨夜の行為の間じゅう、ヒョクの声を封じ込めるためにキスをしっぱなしだったから。
固まってから一気に赤面するから、思い出して恥ずかしくなったのがよくわかる。

「ほら、塗ったげるからおいで?」
「うー、うー」
犬みたいに唸るから笑っちゃった。

「来年は絶対、宿舎では迎えないからな。ドンヘの誕生日」
やたらぷるぷるになった唇を尖らせる。
「なんでー? みんな入っては来なかったし、朝こーやってプレゼント見るの楽しくない?」
クリスマスみたいで面白いんだけど。

「・・・だからそーやってさ、気つかわれんのが・・・んー、もーいいや」
一生懸命見たのに諦められた。
ヒョクがなにを嫌がってんのか今だによくわかんない。
でも、来年も一緒なことをあたりまえにさらっと言ってくれたのが嬉しくて。

「じゃーさ、どっか隠れ家みたいなトコ見つけてさ、一日中えっちしよ!!」
来年そんな誕生日がくるなら、一年どれだけだって頑張れるよ!
ニパーっと笑いかけたら黒目のおっきい瞳が揺れた。

「そ、そんなにしないよバカ!!」
「痛い痛いヒョク!! それ武器にしないでー」
誰かがくれたらしいベルトで叩かれて俺は悲鳴を上げた。



End...

2012.10.16
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