WITH ※


翌朝。
2人してすっかり寝こけてばたばた慌てて準備して、遅刻ギリギリでスタジオに辿り着いた。
トゥギヒョンの顔を盗み見る。
怒ってないよね?・・・なんとかセーフ・・・

ふーっと息を吐いてドアの近くの椅子に腰掛けると、ちょっと腰が痛んだ。
う・・・
焦りでどっかにやっていた昨夜の記憶が押し寄せる。
そんな俺をよそに、ドンヘはドンヒヒョンたちの方へ行ってしまった。
いや、そばにいられても恥ずかしいからいいんだけど!

「ヒョクチェ!」
わわわ、見れない見れない!
「そ、ソンミナヒョン。お、はよう」
声が上擦ってしまう。
可愛い顔で覗き込もうとするヒョンから、必死で目を逸らす。
「メンバーしゅうごー!!」
トゥギヒョンGJ!!
でも、
「行こ?」
柔らかい手のひらにするりと包まれて、意識せずにはいられない。
「あ、う・・ん」
ごめんねヒョン。
やっぱり普通じゃいられない。

気にしないように頑張っていても、顔が熱くなるのはどうしても抑えられなかった。

ソンミナヒョンといれば、聞いてしまったあの声が、こんな可愛い唇から出てたのかなんて考えて。
キュヒョナにちょっかいだされれば、いつからかわれるかとビクビクしてしまう。
ドンヘのバカは隙を見ては「ヒョン可愛かったよね」とか「でもヒョクの方が可愛いよ」とか言うから睨んでみるんだけど、一向に効果がない。

ほぼ始終赤面している俺を、リョウクが「ひょん熱があるの?」と心配してくれて申し訳なかった。
純粋でキレイな可愛いリョウクに、とてもじゃないけど言えない理由なんだ。

だって、どうしたって意識してしまう。
気になるけど、下手に聞いてヤブヘビになるのが怖くて聞けない。
ドンヘに相談したって、あいつはきっとあんま気にしてないから答えは出ない。
どうしよう。
・・・てか俺が頑張って気にしないようにするしか、ないよね・・・




いつもより長く感じた仕事がやっと終わる。
できるだけみんなから離れてゲームをしていた俺に、声がかけられる。

「ヒョク」
「あ、・・・な、に?」
俺を呼んだソンミナヒョンはくっつくように座って・・・耳打ち?
「ね、今度は一緒にえっちしよっか?」
「!!」
可愛い口調とアンバランスなコトを言われて手の力が抜ける。

「ひょ、ん・・やっぱ聞こえて・・・」
「うん」
にこっとしたヒョンにがしがし頭を撫でられる。
「すっごい可愛かった。ドンヘが羨ましくなるくらい」
「う・・・」
ひたすら恥ずかしくて恥ずかしくて、反射的に涙が溢れてきてしまう。
「あ、あのね、からかってるんじゃないんだよ? 僕は嬉しかったの」
少し焦ってから、ヒョンは優しい目でそんなことを言ってくれる。
嬉しい?

「僕だってさすがに恥ずかしいんだよ? でも、ヒョクチェとだったらそれを共有できて嬉しい」
・・・そっか、俺だけが恥ずかしいんじゃないよね。
嬉しいなんて言ってもらえると思わなくて、なんだか余計に泣けてきてしまう。
「ソンミナヒョン・・・」
大好きだよ。
あったかい胸に飛び込んでみたら、ぎゅっと抱きしめてくれた。

「ヒョクこそ、僕のこと見損なったりしてないの?」
まさか!
とにかく否定したくてそのまま首を横に振る。
「そんなことあるわけないじゃん。・・・ヒョンも、・・・可愛かった」
思い出すにはやっぱまだ恥ずかしかったから、顔は上げれなかった。
でもホント可愛かったんだ。
ヒョンのそういうトコ知って、俺も嬉しいかも。

「ひょくちぇー!!」
わ、おバカが気づいた。
「来んなバカ!」
ドンヘが俺に突進してくるから、ヒョンに抱きついたまま蹴り飛ばした。
くすくす、頭の上から笑う声がしてヒョンを仰ぎ見る。
幸せそうな笑顔につられて俺も笑った。



良かった、俺笑えるようになった。
悪いことした訳じゃない。
ちょっとお互い触発されあっちゃっただけだよね?
恥ずかしがりすぎるのはもうやめよう。
あとは・・・キュヒョナのイジメがこっちにこないことを祈って。

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