LOVE RIOT ※
「ふ・・・・、は・・あ・・・・」
どっちのかわかんない、荒い息が空気を揺らしてる。
同時に達して同じ濃さの粘液を吐き出したから。
つながったところからお互いの体が混ざっちゃったような。
そんな錯覚に、陥る。
「ヒョクチェ・・・」
俺に覆いかぶさったままのドンヘが、髪を梳いた。
偽物じゃないホントの髪。
黒髪は、俺が泣いたあとにすぐ、お役御免になったんだ。
男に戻った俺を、ドンヘは丁寧に抱いた。
できるだけ、イレギュラーがないように気をつけてるかんじで。
おかげで、妙な涙は引っ込んだ。
ドンヘに愛しそうに見つめられたら、もともと俺は負けちゃうんだし。
「ねえ、・・・そういえばさ・・・」
同じように髪を撫でながら、ふと思い出したコトがあってつぶやく。
忠犬の顔をして、ドンヘの目が応えた。
「悲しくなるって、なに?」
「ああ・・・、うん」
その目に促されて聞いてみる。
ドンヘは一瞬どこかに視線を逸らした気がする。
「ドンヘ?」
なんだかちょっと、言いよどんでるような。
違和感を感じて呼びかけてみた。
「・・・女の子だったらいいのにって、思わないこともないからさ」
「うわぁッ」
めずらしく早口でさらっと喋ったかと思うと。
そばに転がってた例の黒髪をぽすっと俺にかぶせた。
「法的に、結ばれたいじゃん」
「・・・ホーテキ・・?」
・・・どういう意味?
ドンヘにしては難しい言葉を使った気がして、うまく理解できない。
まだぽやんとしてる頭に、おっきなハテナマークが浮かんだ。
「んーん、なんでもないない!! そのままのヒョクが好きなのー!!」
「んッ?! んぅッ」
がっと頭を固定されて口をふさがれる。
あんまりドンヘらしくない、誤魔化すような曖昧さに戸惑うけど。
舌の先を噛まれて震えているうちに、紛れてしまった。
そのままキスがどんどん深くなるから。
眠ろうとしていた体にまた火がつきそうになる。
「ふぁッ・・、んッ・・ん・・・ッ」
もう一回すんのはいいけど、ウィッグは脱がせろよ。
唇が解放されたら、そう言ってやんなくちゃ。
そんなことを考えながら、俺は目を閉じた。
END....
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