Hide and XXX ※
SIDE: Lee HyukJae
うわ、べたべただ。
ちょっと久々だったから、デトックスってかんじ。
汗でさんざん濡れた服を脱ぐのに苦労する。
でもやっぱり楽しかったな。
思いっきり運動するのは好きだ。
ドンヘの誕生日なのに、俺がしっかり満喫しちゃった気がする。
このあとご飯くらい、奢ってあげようか。
そんなコトを考えながら、シャワーのコックを捻ろうとした時だった。
「・・・・わー!!」
となりのシャワールームからドンヘの声がする。
ばさばさカーテンをかきわけて、こっちに飛び込んできた。
「な、なに?!」
がばぁっと抱きつかれて面食らう。
オバケでも出たとかゆわないでよ?
俺よく来るんだからさ!!
「蜘蛛ー!!」
・・・・・・なんだよもう、びっくりさせないでよ。
俺は脱力して裸の背中をぺちぺち叩いた。
「でっかいの? でも大きくてもなんもしないよ?」
「これくらい!!! 足が長かった!!」
これくらいって言われても、離れてくんないもんだから見えやしない。
足が長いやつならなおさら、害になるようなのはいないはずだ。
はいはい、落ち着けよ。
抱き返して、肩をさすってあげる。
しばらくそうしていたら、やっとおとなしくなった。
「ねえ、俺まだ流してないんだけど・・・」
「・・・うん、そうみたいだね・・・」
抱きしめてるかたちを、一向に崩そうとしないドンヘに声をかける。
首のあたりに、呼吸を繰り返す気配。
嗅ぐなよ、ばか。
「わかってんなら、どいてよ」
「やだ。もったいないもん」
「なんだそれ・・・? ・・・え?・・・ちょ・・っと」
息が触れていた部分に、生暖かい感触。
舐められてる、って思った瞬間に焦った。
だって相当汗だくになったんだから。
そんなのやめてよ。
「ドンヘ・・ってば!!」
「ヒョクの匂い好き。流さないで」
「・・・あッ、噛むな、よッ!!」
たじろいでるあいだに端に追い込まれてる。
冷たい壁とあっついドンヘの肌に挟まれて、変なふうにどきどきする。
え、だめだよそんなの。
思わず自分を叱る。
どこだと思ってるの。
今はすいてるから他に誰もいないけど、いつ入ってくるかわからない。
ふるふる頭を振って、切り替えようとしたのに。
非常事態というものは、こういうタイミングで訪れる。
「・・・え、まじかよ」
「まじだって。昨日さー」
知らない声がいくつか、賑やかに入ってきた。
固まる俺の後ろで、きゅっと音がしてシャワーが流れ出す。
ドンヘが咄嗟にコックを捻ったらしい。
「誰か、きちゃったね」
バレる前に出てけよって思ったけど。
むしろ今出て行くほうがおかしい。
なんでふたりでひとつのシャワー使ってるんだって話になっちゃうもん。
・・・だからさ!!
もう噛んだりすんの、やめろよ。
結局やることが変わらないドンヘを、諌めようと思って肩を押した。
「んッ・・・ぅ」
だけど、距離は出来たかと思った矢先にはなくなった。
噛み付くみたいにキスされる。
迷いなく舌先を差し込まれて、つい癖で絡め返してしまった。
そしたら、こくんとドンヘの喉が鳴った気がした。
がっしり腰を捕まえられる。
ちょっと、ヤバいことになりそう。
裸の肌どうしが擦り付けられて。
「なぁ、このあとどーするー」
「てきとーに飯でいいんじゃね?」
彼らが、カーテン越しに会話をしてる。
すこし離れた所に陣取ってくれたのはよかったけど。
だからってしていいわけがない。
なのに、太ももに触れてるドンヘの熱は、後戻りできなさそうな温度だった。
しかもタチが悪いことに、それは俺も同じだったりして。
「・・・ぁッ」
くっと一緒に握られて、腰が跳ねる。
その拍子に唇が離れて、やっとドンヘの顔が見えた。
「ヒョク。静かに・・・できる?」
そんなこと、無理な気がする。
いつだってホントは声なんて上げたくない。
それでも気づいた時には、悲鳴が喉をすり抜けてるんだから。
だけど、それを説明するのは恥ずかしいし。
泣きそうなくらい眉を下げたその表情に、俺は結局逆らえた試しがない。
なにより、俺の体が俺を裏切る。
「う・・ん・・・」
どうして頷いちゃったのかなんて。
理由を考えるのは、やめておくことにした。