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Hide and XXX ※





SIDE: Lee DongHae



「・・・・・なにそれ」

チュロスを頬張りながらヒョクが言う。
その声だけは聞き逃さない。
ざわざわ、ホール内にはたくさんの音が溢れてるけど。

「なにって、そのまんまだよ」

そう言って俺は、分けてもらったもう半分を口に放り込む。
自分じゃ絶対買わないくらい甘いけど、ヒョクがくれたから。
その味は俺に嬉しさとして染み込む。

「だって、意味がわかんない」

ステージからの光が、たまにヒョクの瞳に入ってキラキラする。
ライブに来たはいいけど、知ってる曲は少ない。
俺はほとんどそんなヒョクの様子ばかりを眺めていた。

その顔可愛い。
ちょっと拗ねるように唇を尖らせてる。
そうしててくれるんなら、わかんないままでもいいかな。

なんて。
本格的にむくれちゃうと宥めるのが大変だし・・・。
なによりそうしてるとキスしたくなっちゃって困るよ。

「欲しいものとか、特にないんだもん」
「だからってさぁ」
「いいじゃん、いいことでしょ?」
「まあ、ね・・・。そうだけど」

もうすぐやってくる俺の誕生日。
何が欲しいって聞かれて、何も要らないって答えた。
だって、俺はヒョク以外欲しいものなんてないんだもの。

だったら当日、仕事帰りに一緒にジム行こって、ゆってみた。
そしたらひたすら首を傾げられたんだ。

俺だって不思議だよ、なんでダメなの?
個人的には結構な一石二鳥。
それがプレゼント代わりでも、まったくかまわないのに。

「あ、じゃあウェアちょーだい。いっぱい持ってるでしょ」
「まあ、売るほどあるけど。おさがりでいいの?」
「それがいいんだってば」
「はいはい。クローゼット漁ってみるよ」

我ながらいい考え。
ヒョクが袖を通したものが嬉しいの。
新品なんかより何倍も。
ヒョクもそれはもうわかってるみたいで、新しいの買うとは言わなくなった。

「・・・・・なんだよ」

嬉しくなっちゃってニコニコと見つめる。
ヒョクはちょっと眉を上げてそっぽ向いた。

「んーん。楽しみなだけ」
「ジム行くだけなのに、変なヤツ」
「だってー」
「あ、ほらあの曲だよ。ちょっとはちゃんとステージ見ろよ」
「うーん」

耳は一応聞いてる。
知ってる曲に自然と体が揺れ始めたヒョクを見て、俺はやっとライブを楽しみ始めた。





 
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