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「ヒョクチェヒョン」

深い声がヒョクチェを呼んでる。
助手席の俺は、後ろのふたりの気配を伺う。

てっきりキュヒョナは寝てるのかと思ってた。

「んー、なあに?」

答えるヒョクチェはすこし気だるそうだ。
朝方まで鳴かせてしまったから、若干声も掠れてる。

「珍しいですよね、連投」
「連投?」
「ツイッターですよ」
「・・・・う、うん」

ぎくっとなったのがわかる。
俺にわかるくらいだから、キュヒョナはとっくに気づいてる。

「一緒にいるのにツイートまでこんなにするなんて」
「べ、別にいいじゃん・・・」
「いいですけど・・・・」
「いいけど、なんだよ」

バックミラー越しに、キュヒョナと目が合う。
整った顔が、意味ありげに笑った。

「ずいぶん見せつけてくれるなって」

要するにやっかみっていうか、そんな感じ?
あてられて、悔し紛れにヒョクチェをからかおうって。
そんな魂胆なんだろう。

「そんなんじゃ、ないよ!!」

ヒョクチェはムキになってる。
マンネの思うツボだよ。
まあ、それに気づかないところが可愛いんだけど。

だけど、隣のキュヒョナにあんまり見せないで欲しいな。
真っ赤になってるその顔。

「そんなんだよ」

俺は口を挟んでみた。

「いいでしょ、ラブラブで」

ミラーに向かってにやりと笑って見せた。
キュヒョナは面白そうに、俺とヒョクチェを観察してる。

「ドンヘ!! なに言ってんだよ、ばか!!」
「ホントのことじゃん」
「写真が、いっぱいあったからさ、あげようと思ったついでだよ」

早口になるのは恥ずかしい時の癖。
こういうとこはわかりやすい。
キュヒョナにもきっとバレてる。

ミラーのなかで目が合うと、キュヒョナが吹き出した。
思わず俺も、笑ってしまう。

「もう、いいです。誕生日免除ですよドンヘヒョン」
「ん、そうして」
「な、なんだよ、お前ら」

ひとりきょとんとするヒョクチェ。

俺は、幸せものだよ。
この一年も笑って過ごせそうだ。

ヒョクチェがこうしてそばにいれば。





END....
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