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晩夏の天敵とアイスクリーム ※






朝の光にひっぱり上げられて、開けた視界。
目一杯にドンヘの顔だった。

「どう?」

それから唐突な質問。
ちょっと待ってよ、追いつけない。

「うしろ見せて」
「う・・わッ」

思考回路が働き始める前に、よくわからないことをされた。
肩を掴まれて、ベッドの上でくるっと転がされる。

「あー!! ほらー!!」
「なぁにー?」

ドンヘの声はやたら明るい。
なんでそんな叫んでんのかなんて、起き抜けの俺には考えられない。
まあ、普段から予測はつかないけど。

うつ伏せにされたから枕で瞼をこすった。

「良くなったよ!! 掻かなかったからー」
「・・・あ・・・」

そうだった。
そもそも背中の虫刺されが、いろんなことの始まり。
眠りにつく前の感覚を思い出しそうになって、シーツをぎゅっと握った。

「もう痒くない?」
「かゆ・・・く、・・なくない・・・」

ちょんちょん押されたら、すっかり紛れてたはずの痒みが肌を刺す。
こういうのって一度意識するともうダメだ。
どうしようもないけど、もぞもぞ動いてみたり。

「あれー? なんでぇ?」
「お前が突っつくからだよ」

俺の口は可愛くない文句を言う。
変に掻かなかった分良くなってるのは確かだろうに。

いや、そのあと恥ずかしい思いをさせられたんだから。
プラスマイナスゼロってことで。

「じゃあ俺、薬取ってくる!!」
「うん、」

ベッドを弾ませる勢いで立ち上がるドンヘ。
頼んだって続けようと思ったところで、俺の唇はとまる。
だって不自然なくらい嬉しそうじゃない?

「ドンヘ」
「んー?」
「薬、だからな?」
「うん!!」

振り返りながら確認すると、こっくんと力強く頷かれた。
朝からテンション高いったらない。
ばたばたと駆けていく足音。

はたしてドンヘが開けるのは・・・

薬箱か、冷凍庫か。






End....
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