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瘡蓋 ※






「なんで来んの?! 寄んな、触んな!!」

ヒョクは叫びながらぶんぶん手を振り回してバリアしてる。
全体的な運動神経はヒョクのほうが上だから、めっちゃホンキで抵抗されると困るな。

「意外とフベンなんだってば。そばにいてよ」
「・・・ぅ・・・」

弱者を相手に強気になれないその性格。
利用させてもらうけど、別にワルイことする訳じゃないもんね。
こんなキッカケでもなきゃ、一生してくんないでしょ?

「いいじゃん。ひとりですることを、見せてくれたらいいだけ」

威力が落ちたバリアの手を掴んで、引き寄せる。
名前を耳に吹き込んだら、まっかな顔でニラまれた。

「そんなの・・・楽しいかよ・・」

妙なこと聞くねヒョクったら。

「うん、もちろん!!」
「・・・ふーん」

迷う余地もなく頷いた俺に、わざと興味なさそうにしてるけど。
もう引っ込みがつかなくなってきてるのは、わかってるんだよね?

観念してよ。

「ヒョク・・・」
「・・・・・・あーもううるさいうるさい!! すればいーんでしょー!!」

ぶーっとほっぺを膨らませながら、シャツのボタンをぶちぶち外しはじめた。
内心嬉しくって抱きつきたくなる。

でも、今がっついちゃダメダメ。
ちょっと我慢してヒョクを連れてってあげなくっちゃ。
甘くてやらしい、空気に。

「うん、いい子だね。うまくできるよね?」
「いい子とか・・・ゆーな」
「こっちも外して、ほら」
「わかってる・・・てば」

イージーパンツの紐を解かせる。
ヒョクは落ち着かない様子でちょくちょく身震いする。
俺が耳朶にかじりつく位置で喋るたび。

「こっち、手伝ってあげるね」
「え・・ちょ・・、ッ・・あ・・・」
「下はちゃんと自分でするんだよ?」
「う・・んッ」

ベッドの上でおでこを合わせて。
シャツから覗いたヒョクの乳首を右手ではじく。
ぴくんと震えたあと、条件反射みたいにヒョクは自分に手を伸ばした。

「イイとこ、知ってるよね?」
「う・・・、わかんな・・」
「嘘。知ってるでしょ? 俺にどうされるとイイのか、思い出してよ」
「ん・・、ここ・・とか?・・あ、あッ!!」

そうだよ、できるじゃん。
くっと直接自分のを握りこんだヒョクの両手に、キスしてあげたい気分。

「もっと、擦りあげたらどうなるかな」
「ゆうな・・・、そうしちゃう・・からッ」
「すればいいじゃん、セーブしたほうが苦しくなるよ」
「んあッ!!・・ほらぁ・・ッ、なんかびくびくしちゃ・・ッ・・、やだぁッ」

いやじゃないでしょ、自分でしてるんだから。
ヒョクってば、こんな状況でも俺のせい?

責任転嫁したくなるのもわからなくはないけど。
だってすっごいやらしい反応。
自分でしてこうだなんて、ヒョクは恥ずかしくって仕方ないんだろう。

「じゃあ、もうなんも教えない」
「あ・・・えっと・・ッ」
「自分で好きにしなよ。見ててあげるから」
「ドンヘ・・・ッ、あ・・ッ」

可愛いから、すこしだけ意地悪しちゃおう。
もうやめることは出来ない段階でしょ?
痛感したらいいよ、自分のなかの欲望を。

「ふうん、そうするんだ」
「んッ!!・・ちが・・、勝手になる・・のッ」

下から上に向かって、絞り上げる動き。
ヒョクの体は随分満足そうに反応してる。
俺がしてあげるときより性急だけど、これで感じちゃうんだ。

「今度、そうやってしてあげるね。治ったら」
「しな・・で・・ッ!! なんか・・ヘンなんだ・・・ッ」
「ヘンになっちゃうヒョクも好きだよ」
「俺はッ・・イヤ、だ・・・ッ あ、あッあーッ!!」
「イクの? ねえ、自分で擦ってもうイッちゃうんだ?」
「う・・、だって・・ッ、止まんな・・ッい・・、よおッ!!」

ちゅるっと白い指先が先端を一回り。
その直後、ふるふる全体を震わせて。
ヒョクのものは爆発するみたいに吐精した。

「すごい、いっぱい飛んじゃったね」
「ふ、ふ・・・ッ・・あ・・、ぅ・・」

俺の肩におでこを埋めて、一生懸命空気を吸い込もうとしてる。
細い背中をさすってあげるけど、なかなか落ち着かない。

「ヒョク・・・だいじょぶ?」
「ん・・・ん・・ッ」

白い精液の上に、透明な雫が散る。
ヒョクが大きく首を振って、溜まってた涙が落ちてるんだ。

「・・・苦しいの?」
「へ・・き、だけど・・・ッ、・・・ダメ・・」
「え?・・・うわぁ?!」

俯いたままヒョクがそう絞り出したかと思ったら。
よく意味がわからないでいるあいだに、ぐんっと押されて俺は仰向けに倒れる。

なになに?
どうしたのヒョクチェ。
珍しい事態に俺はなんだかドキドキする。

「お願いだから・・・」
「ん? なあに?」
「・・・・・・余計なコト・・言うなよ?」

なんだろう、まだわかんない。
ちょっと掠れた声で呟きながら、ヒョクは俺に跨って膝立ちになった。

「うん、わかった。言わない」

頷いたら、ヒョクはやっと顔を上げて俺を見た。
涙に塗れたまますこし唇を噛んで。

切なそうな表情が色っぽすぎて、無意識に息を飲む。

「約束・・だからな・・・」
「うん。やくそ・・、く・・・」

いい子に返事をするはずが、途切れた。
カチャカチャ、ヒョクの手にベルトを外されて。

ヒョク、まさか・・・
俺にしては珍しく、戸惑って唇が震える。

「・・・俺が、全部・・・するから」
「・・・・・・う、うん」
「黙って俺に、食べられろ」
「・・・・・・ッ」

すっごい・・・すっごい、余計なコトを言いそうになって、慌てて口を噤んだ。

自分の手でイクだけじゃ足りないの?
嫌いなはずの騎乗位でしてもいいくらい、欲しいんだ?

なんて。
聞こうもんならリミットを超えてきっとやめちゃうよね。

ギリギリで自分を支えてこんな行動に出たヒョクのために。
俺はうるさい心臓を宥めて、出来る限り優しく見えるようにして頷いた。



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