Wanna play doctor? ※
「けほッ・・けほッ・・・」
ケータイでゲームをしていたら少しだけ咳が出た。
昨日ちょっと寒かったのに薄着で眠っちゃったからかな。
でもまあ、たいしたことないだろう。
2回くらいえへんと喉を鳴らして、再び画面に集中する。
「・・・ッ、けほッ」
あー?!
もうすこして最高得点!!って時にまたひとつ出て、惜しくもタイムオーバー。
なんだよもー。
ガックリ。
「ヒョク」
ケータイを持ったままうなだれると、ドンヘが俺を呼ぶ。
俺のベッドに長々と寝そべって漫画を読んでたんだけど、なんだか俺をじーっと見てる。
「な、なんだよ」
うるさかった?
お前ほど騒ぎながらゲームやってないと思うよ。
「ねえ、風邪ひいた?」
ちょっとイガイガするかなーくらいで別に大丈夫なんだけど。
そんなに眉下げなくてもいいじゃん。
いっそ泣いちゃいそうになってるから、苦笑しちゃった。
「平気だよ。ってかお前、なんて顔すんだよ」
ぽんぽんと頭を撫でてやった。
コドモみたいな扱い。
でもドンヘはむしろこういうのを喜ぶから。
「ホントにホントにへいき?」
「うん」
「リョウクからなんか漢方もらってくる?」
「平気だって言ってるじゃん」
でも珍しくドンヘはそれで満足しなかった。
心配です!!って書いてある表情でぐんぐん俺に迫ってくる。
なんだか必死で、ゆっても無駄そうだ。
どうしたら納得してくれんのかな。
「じゃあ、確認してみる?」
「カクニン?」
「喉が赤いかどうか」
冗談まじりだけど、自分で確かめたらいいでしょ。
あっという間に目の前まで来てるドンヘに、そう言って笑いかける。
綺麗なかたちをした瞳が、きょとんと見開いてしばらく停止した。
「ヒョク、それって・・・・・・」
「ん?」
「お医者さんごっこってコト?」
急にニパーっとほっぺを緩ませてドンヘは言う。
「ち、ちげーよ!!」
そんなつもりで言ってない!!
ニヤニヤが止まらなくなったドンヘに抱きつかれて、その背中をバシバシ叩く。
「なーんだ、ちがうの?」
「ちがう!! 離れろ!!」
「えー、じゃあ! とりあえずカクニン、するー」
「・・・う、うん・・・すれば・・?」
言っちゃった手前、引っ込みがつかなくて頷く。
「はーい、じゃあ口あけてくださーい」
「う・・・」
「ほら、早くしてくださーい」
「・・・あー」
ノリノリのドンヘに引っ張られるかたちで口をあけた。
ドンヘはお医者さんにしては楽しそうに、俺の口内を覗き込む。
「うーん」
「どうだった?」
「・・・・・・よくわかんない」
うん、そりゃそうだろうね。
知識がなかったらわかるわけない。
なにお前、心配してると見せかけて実は俺で遊んでんの?
「ドンヘ・・・」
「よし、口のなかが熱くないか、調べよう」
もういいじゃんって言おうとしたら、ドンヘは再び目を輝かせる。
えー、まだやんの。
ひそかにうんざりするけど、乗りかかった船からは降りれない。
「ほら、もいっかいあけてー。あー」
「・・・・・・あー」
「どれどれー」
人差し指が差し込まれてあちこち掻き回される。
ヘンな感じ・・・
「・・・ッ?!・・ん・・・」
と思ってたら、上顎の裏を擽られたときピクっと肩が跳ねた。
え・・・なにコレ。
「ヒョク・・・、どうしたの?」
「・・んッ、うー・・・」
キスでいじられてるワケでもなんでもない。
なのになんでこんな反応・・・
うう、どうしよう。
めちゃくちゃ恥ずかしい。
「ねえ、もしかして」
ドンヘの口角がきゅーっと上がる。
やな予感がすんだけど。
「感じてる?」
・・・・・・やっぱり言われた。
なんでこうなんのか意味わかんない。
だから聞かないでほしかったのに。
「ふ、うッ・・ん・・んッ」
中指まで入ってきて、かりかり引っ掻くみたいにされた。
そこが弱いのは知ってる。
キスしてるといつも、ドンヘが舌先で擽る場所。
でも、指つっこまれてこんなふうにされて。
それでよくなっちゃうなんて、そんなの困る。
「ふうん、そっか。気持ちよくなっちゃったんだヒョク」
「・・ッ、ん・・・」
「ねえ、じゃあさ・・・」
キランと光るドンヘの目。
なんかまたヘンなこと思いついたんじゃ・・・
俺は無意識にこくんと息を飲んだ。
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