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My Faithful Dog ※



「ん・・・・・・、わ!」
「おはよー、マイハニー」
瞼を開いたら、ゼロに近い距離にドンヘの顔があった。
キレイな二重の目が細められてそんな言葉を言う。

「お、はよ・・・?」
もう朝、なの?
でもどう見ても差してる光は朝日としか考えられない明るさ。
あれ?
・・・・俺、もしかしなくてもあのまま本気で眠っちゃったの?

「おわ!どした?!」
俺が慌てて下を向いたからごっつんこしそうになって、ドンヘがたじろいでる。
・・・・・・全部ちゃんと着てるし、どこも汚れてない。

「ヒョク?」
不思議そうな声を出すドンヘに視線を戻した。
「・・・・・・あ、の」
「?」
いくらそーゆーコトが久々だからって、眠り込んでしまうとは思わなかった。
汗だってかいたし、なによりふたり分だし・・・元通りにするには大変だったんじゃない?
ハテナマークが書いてあるような顔のドンヘは、多分さして気にしてないのかもしれないけど・・・

「・・・・・・ごめん」
だって情けないじゃん。
気持ちよくしてあげるコトもできなくて、結局全部が全部受身だったし。
その上一回出しちゃっただけで寝ちゃうなんて。

泣きそうだ。

「なんで謝んの、ヒョク悪いコトしてないじゃん」
困ったように眉を下げるドンヘが、愛しいからこそ苦しい。
もっとなんでもしてあげたいのに。
どうしてこんなにうまくいかないの?

「好き・・・だよ」
それでも、とにかく想いだけは言わなくちゃ。
「えッ?・・・ひょ、く・・・ッ」
耳を掴んで引き寄せて、かぶせるみたいにキスをした。
俺からするコトは珍しいから、ドンヘったらちょっと固まってる。
でも、唇を離してみつめたら、すっごい幸せそうな笑顔をしてくれた。
心臓が、とくんっと鳴った後に切なさがこみ上げる。

「・・・ドンヘの・・・ばか」
ああ、なんでこーゆーコト言っちゃうの俺の口は。
ばかなのは俺じゃん。
なのに言われたドンへはへにゃへにゃ笑って、むしろ嬉しそうに俺の髪を梳く。

そんな恋人を見ていたら、本格的に涙腺が緩んできた。
ダメ、ここで泣いたりしたら、絶対ダメ。

「ん?、どした?」
俯いてドンヘの肩におでこをコツンとして、深呼吸。
それから、一度ちょっと笑って見せて、ベッドを降りた。
こんなにも甘やかしてくれる胸から、ホントは抜け出したくないけど。

「ごめんね・・・」
あとはもう、振り返れなくて・・・
きっと訳わかんなくて困ってるドンへを置いて出てきてしまった。





パタン。
閉じた扉に背中をつけて長い息を吐く。
・・・・・・逃げてしまった。
まさかドンヘとの間にこんな難しさを感じるなんて。
お互いのことなら知らないことないくらい一緒にいたのに。

「ヒョクチェ」
呼ばれて顔を上げると、そこにいたのはトゥギヒョンだった。
「どうした?」
自室の前で立ちつくしてる俺を、不思議そうに見てる。
「おはよ、ヒョン。なんでもないよ」
心配はかけたくないから、笑顔を見せてみた。

「ドンヘ昨日帰ってこなかったけど、そこにいる?」
「ああ、・・・うん。」
「マネージャー呼んでるから、連れてっていい?」
「・・・いいよ」

そんな許可得るみたいなやり取りはちょっと照れくさい。
なんだか『ドンヘはヒョクチェのだけど』って前置きがあるっぽくて。
俺だってヒチョルヒョンにだけ用があったら、トゥギヒョンにそう聞くけどさ。

ヒョンは笑窪を見せて笑った。
「お、俺は、シャワー浴びてくるね」
見守ってくれるみたいな視線は、俺にはもったいないよ。

「俺たちも昼ごろ出るからね? 遅れるなよ!」
「はい!」
バスルームに走ろうとする俺の背中にヒョンの声がぶつかる。
わかってる。
どんなことがあっても仕事には支障ださないから。


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