monopoly ※
「ねえ・・・ヒョン・・・」
「なんだよさっきから、うるせーな」
宿舎のエレベーターの中で、ヒョクチェはごにょごにょ言ってる。
「降ろしてください。大丈夫だから」
俺に背負われているのが気にかかるらしい。
下でタクシー降りた途端ふらついてただろうが。
虚勢張ってどーすんだ、鰯のくせに。
「トレーニングしてんだよ。重しは喋んな」
「でも・・・」
ヒョン古傷があるのにとかなんとか、口の中で小さく呟いてる。
お前くらい軽かったら、問題なんかあるわけない。
相変わらず人のことばっか気にして生きてるヤツだな。
まあそこが、見てて面白いんだけど。
俺には到底出来ない生き方だ。
「黙れっつってんの。ここでまた犯してもいいんだぞ」
「・・・ッ、ご、ごめんなさい!!」
いい加減俺の冗談にも慣れろよ。
一瞬ホントにびっくりして謝るヒョクチェに、俺は思わず吹き出しそうになった。
*
「あー!! ヒチョルヒョンズルい!!」
「ああ?」
「俺もおんぶしたい!! ヒョクのこと!!」
リビングに足を踏み入れると、待ってたかのようなタイミングでドンヘが不服を巻き散らかした。
どの口が言うんだ、そんな事。
性格が正反対そう、なんて理由で勝手に仲直り番組組まれた俺の身になってみろよ。
ヒョクチェを可愛いと思っても、そうそうデレデレしたりできない。
ウネだヘウンだ言われて、堂々とイチャつくお前が言うなよ。
「うるせー。ズルいのはお前だ」
「え?」
俺がそう言ってもキョトンとしてるドンヘ。
まあ、自覚も悪気もないんだよな。
わかってるわかってる。
でもな、俺にだって譲れないもんくらいあるんだよ。
「ヒョクチェの時間は俺のためにあんの。邪魔すんなよ?」
「・・・ひ、ひょん・・・」
俺の背中の上で、ヒョクチェは戸惑い気味の声を出す。
いいから、お前は俺に可愛がられろ。
次はちゃんと、ベッドの上で。
End...
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