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「ヒョク・・・このまま入れたら・・・駄目?」
「え・・・?」

やっと腕の力を抜いたドンヘが俺を見下ろしてる。
・・・切羽詰ったような顔をして。

「我慢できないんだ・・・欲しくてどうかしそう」
余裕をなくすのはいつも俺の方なのに。
なにそれ、そんな潤んだ目をしないでよ。

俺のその器官が、なんの準備もなくドンヘを受け入れられるかな。
そんなの、したことないからわかんない。
だけど、不安なんて脳の片隅でもう溶けてるようで。

「ん・・・、いいよ。・・・入れて?」
気づいたらそんな風に答えてた。

誕生日だから。
ドンヘをいっぱいちょうだい。

笑いかけたら、ドンヘはクロスタイを音もなく外してあっという間に上着を脱いだ。

「・・・痛くしたら、ゴメン・・・」
「・・んッ、ううー」

かぶせるようにキスされる。
かちゃかちゃ、金属同士の触れる音が聞こえる。
どうやらキスしたまんま、ベルトを外しているらしい。
そんなに焦ってるの?

「・・んんーッ・・ふ、あ!!」
「ひあッ!!・・あ・・」

舌を絡める暇もなく、触れた熱に戦慄いて唇が離れた。
自分で押し付けたくせにドンヘまで震えてる。

あ、でも・・・やっぱり結構大変かもしれない・・・
普段はゆっくり1本ずつ指で解されて、それでやっとのことで挿入に耐えるのに。
それが前触れもなくこんなおっきいのにこじ開けようとされて、簡単にひらく訳がない。

「く・・ッ、うんッ・・・ん、ん・・は、あッ!!」
苦しくて苦しくて、無意識にシーツを握り締める。
目の裏が熱いと思ったら、涙がぶわっと溢れて流れた。

「ヒョク・・・ヒョク・・・、ちから抜いて?」
ドンヘも充分苦しそうに息をしてる。

それでも俺を宥めようとしてくれてるらしいけど、うまくいってない。
だって耳元にそんな声を吹き込むから。
結果としては感じちゃって、余計にちからが入ってしまう。

なんだか、初めてしようとして失敗した時みたい。
・・・・だけど、あの時より確実に、俺の体はドンヘを覚えてる。

「んやッ?!・・・ひぁッ・・ンッ!!」
「わ・・あ・・・ッ」
焼けた杭を押し付けられてるような感じが、ふいにかたちを変える。
ドンヘのものの先端が、絶え間なく粘液を吐き出すせいで。
俺のそこは、戸惑いながらでも少しずつひらいてくれた。

「あ、・・・あッ?!、んうーッ!!」
「う・・わ・・ッ、なんか・・・やば、い・・ッ」

内壁の動きがシフトして、ドンヘがびっくりしてる。
俺だってびっくりだよ。
膨らんでる頭のところを乗り越えた途端、引き込むみたいになって。

「あ・・、・・はいっ・・た、よ・・ドンヘ・・」
「んーッ、・・食べられてる・・みたい」

あっつい息と一緒にドンヘはつぶやく。
ヘンな表現だけどあながち間違ってもない。
俺のなかはまるで、飢えてた生き物みたい。

「は、はぁッ、あッ・・ひ・・あ!!」
ぐ、ぐ、ぐ・・・ドンヘに埋められていくほどに、内蔵が押し出される錯覚を起こす。
息を吸うばっかりになって、うまく吐けない。

「ヒョク・・大丈夫?・・・苦し・・い?」
言ってしまえば、目が眩みそうなくらい苦しいよ。
だけど、心配そうに見つめてくるドンヘの瞳に映されれば、どんな無理でもできる気がする。

「だ・・じょぶ・・ッ、は・・あ、あッ!!」
この痛みに近い快感も、想いひとつで愛しさに変わるんだ。
こんなにツライのに欲しいなんて、おかしいよね。
でも・・・おかしいくらい好きなんだから仕方ない。

「・・・あ、も・・俺・・・駄目、かもッ」
まだ、激しくされたらきっとツライ。
わかってるけど、俺は頷いた。

だってドンヘまで目にいっぱい涙を溜めている。
一緒に泣いちゃいたいんだ。
苦しいくらい、なんだっていうの。

「あ、あ・・・ッ!! ヒョクのなか・・・絡みついてくるよぉッ」
「ひぃ・・んッ!! ん、んーッ!!」

我を忘れたドンヘがめちゃくちゃに腰を動かす。
気持ちいんだか痛いんだか、区別もできないまま俺は揺さぶられた。
なんども意識が飛びそうになる。

「ヒョク・・・いくよ・・・ッう、・・・あッ!!」
「あああーッ!!・・あつ・・・いいーッ、ドンヘ・・・どん・・へッ!!」

どくどく、絶え間なく注ぎ込まれてる。
勝手に飲み込むみたいな蠕動が起きて、その度に背骨が溶けそうになった。

汗に体液にまみれすぎて、俺は全身がしっとりと濡れてる。
ああ、なんだか俺・・・今生まれたみたい。

ドンヘの熱に浮かされて、俺はそんな夢を見る。






                   *





「ん・・・」

深い深いまどろみの底から、ゆっくりと浮上した。
よく知ってる体温が、ほっぺに触れる感触で。

「おはようヒョクチェ」
あ、・・・ドンヘだ。
一緒に空でも飛んでたような気分で、ぽーっとして見つめた。

「ん、おはよ・・・」
ものすごい倦怠感。
だけど、しゃべりにくいのはそのせいじゃなくて唇が切れてるみたいだ。
唾液に混じって、微かに血の味がする。

「・・・ゴメンね・・?」
ドンヘはそんな俺に癒すようなキスをして、そしてすぐに眉を下げた。
なんか謝ってる。
なんだっけ・・・

「夢中になって、ちゃんと言うの忘れてた・・・」
ん?
だからなんだっけってば。
今は考えるのが億劫だから、ねえ早く教えてよ。

「ヒョクチェ、誕生日おめでとう。もう日付超えてだいぶ経っちゃったんだけど」
「・・・・・・ああ、・・・そっか」
人ごとみたいに呟いてしまった。
だってもうそんなの・・・言わなくてもドンヘはずっと、言ってるみたいだったよ。

「紳士的に優しくしようと思ってたのに、ダメダメだ・・・俺」
そう言って情けない顔になる。
紳士的=執事だったわけ?
相変わらず、意味がわかんない。

「そんなのいらないよ、ダメダメなのがドンヘでしょ」
引っかかってるだけになってるタイをきゅっと引っ張る。
きっちり締めてるより、俺はこれでいいよ。

「ヒョク・・・、?・・んッ・・」
まだなんだか悔しそうにしてるもんだから、ちゅっと一度小さく唇を重ねた。

そのまま視線固定。
10秒かけて見つめてから、

「普通のドンヘが一番のプレゼントだよ」
にっこり笑って言ってみた。

俺の誕生日をずっと、誰よりも大事に思ってくれてたことはわかるから。
これくらいなら、素直に言ってもバランス取れるでしょ?

まんまるくした目に俺を大写しにしたドンヘは、昨夜みたいにまた顔を真っ赤にした。
可愛いね、照れてる顔。
こんな幸せもまた、神様からのプレゼントかもしれない。



End....
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