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ダイニングのテーブルで、自分のノートPCを立ち上げた。
「・・・あー!!」

と、後ろから大きな声がして振り返る。
ヒョクチェヒョンが画面を見て固まっていた。

「どうしました?」
「あ、あ・・・えっと・・・」

俺と目が合うと未だに耳まで真っ赤にする。
あれからヒョクチェヒョンは2~3日、俺やソンミナヒョンを見ては逃げ出していた。
一週間経って、やっと同じ部屋にいてくれるようになったんだけど。
恥ずかしいからって、猛獣でも見たみたいに一目散に逃げられて、多少は寂しかったんですからね。
いい加減開き直ってくださいよ。

「ヒョクチェヒョン?」
「・・・そ、それ・・・、パソコン!!」

俺から微妙に目を逸らしながら画面を指さす。
端っこにぽつんとあるアイコンがその先だった。

ああ、なるほど。
ヒョクチェヒョンが一度消してしまった例のデータ。
履歴を漁って呼び戻して、そのままトップに貼り付けたままだった。

「なんであんの?! 消えたら困るって言ってたじゃん」
ヒョンは不服そうに文句を言う。
これが消えたせいでヒョンはあんな目に遭ったんですもんね。

「困りましたよ? 戻すのに手間はかかりますから」
戻せない、とは言ってませんから。
嘘はついてません。

「・・・・・・ズルい!! 騙した!!」
「痛い、痛いです」

せっかくすこしは落ち着いたのにまた顔をゆでダコみたいにして。
そんなヒョンにばしばしと叩かれる。

「悪魔マンネ!! 可愛くないー!!」
ソンミナもよく言いますけど、可愛いマンネはリョウクで充分じゃないですか。
そうは思ってみてもずっと叩かれるのはちょっと勘弁だな。

「あれはあれで楽しかったじゃないですか」
「た・・楽しくないよ!!」
「でも良かったんでしょう?」
「・・・・・・ッ」

ヒョンの手がだんだん力をなくしていく。
ほら、文句を言ったってもう仕方ないんですから、おとなしくしてください。

「いつもお互いしてることを、一緒にしただけじゃないですか。ね?」
「そ・・・だけど・・・」
「しかも俺はヒョクチェヒョンに指一本も触れてないんですよ?」
「それも・・・そうだけど・・・」
「だからもういいでしょう?」
「・・・う、うーん」

子供をあやすようにゆっくり言い含めたら、そこそこ聞いてくれた。
なんとなく納得のいかない顔をしながらでも。

「じゃあ、またしましょうね?」
「う・・ん・・・、じゃない!! もう一生しないよ!!」
「痛った!!」

あー、せっかく頷きかけたのに、残念。
途中で気づいちゃったみたいですね。

パーだった手をグーにして肩を殴られた。
ヒョクチェヒョンはその勢いのまま、バタバタ大きな足音を立てて自室に逃げ帰る。

苦笑を押し殺しながらその肩をさすっていると、
「ヒョクいるー?」
呑気な顔をしたドンヘヒョンがやってきた。

「いますよ、今部屋に帰りました」
立ち上がったまま放置してしまったPCを、やっと操作して俺は答える。

「ん、さんきゅーキュヒョナ」
鼻歌なんて歌いながらヒョクチェヒョンの部屋に入っていくドンヘヒョン。
今行ったらきっととばっちり受けるんでしょうね。

抑えきれなくてくすくす笑ってしまう。

「・・・そのうちヒョクチェにホントに嫌われても知らないからね」
実はずっとキッチンの奥にいたソンミナヒョンが、そんな風に呟いた。

「だってあの人、からかい甲斐があるんです」
「まあ、それはわかるけどー」

冷蔵庫から探し出したプリンを、ソンミナヒョンは幸せそうに食べ始める。
そんな様子を正面に見て、俺はまた口角が上がってしまう。

今夜あたり、なにか考えましょうか。
あれは仕返しのはずだったのに、ソンミナも楽しんじゃったみたいでしたから。
代わりになにか、してあげないといけないですよね。

「ソンミナ。それ食べたら、バルコニーで風にでも当たりましょうよ」
「ん? いーよ。だいぶあったかくなったもんねー」

微笑むとふっくらするその頬に、赤味がさす様子を想像して胸が高鳴った。




End....
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