君が見るセカイ ※
ブレるくらい目の前にドンヘの顔。
熱く乱れてる呼吸まで、分かりすぎるほど分かる。
「ヒョク・・・」
どくん・・・。
低く呼ばれて、心臓が騒ぐ。
そんな目で見てそんな声で呼ばないで。
こんなに奥まで挿れられて、深く深く繋がってる時に。
「・・・ふあ・・ッ、・・・あッ!!」
ぐちゅぐちゅとヘンな音がして、粘膜同士がまた擦れ合う。
俺は思わず背中を反らせた。
「ヒョク・・・駄目。俺を、見て?」
反射的に閉じた瞼を舐められる。
「んんッ・・や!!」
そんな刺激にもゾクゾクしてしまう。
「近ければ見えるでしょ? 逸らさないで」
恐る恐るひらいた視界のなかで、ドンヘがそんなことを言う。
さすがにこれだけ近かったら見えるよ。
見えるけど・・・
「・・・はずかし・・・よ・・ッ」
白状したくはないけど、仕方ない。
だって・・・俺、きっとヘンな顔してるでしょ。
さっきからずっと涙も出てるし、目元とか真っ赤だと思う。
そんな状態をじっと見られるのが耐えられない。
「どうして? すっごい可愛いのに」
迷いもなく幸せそうに言われて、耳がくすぐったい。
「・・・んなワケ・・ない・・じゃん・・・」
呼吸の合間に答えるけど、すごい小さい声になっちゃった。
ほっぺがぽわぽわ熱いのは、快感の所為だけじゃない気がする。
「してる時のヒョクの表情、たまんないよ? 今度撮ってあげようか?」
「な・・ッ、絶対・・イヤ!!」
ゆらゆら腰を動かしながら、ドンヘはとんでもないことを言う。
「えー、残念。やってみたいのに」
「やだって・・ばッ!!・・あ、?!・・ちょっと・・待って!!」
その光景を想像でもしたのか、俺のなかでドンヘのものが一段階大きくなる。
ふくらんだそれの頭のところが、内壁を引っ掻くみたいになって・・・良すぎて苦しい。
「わ、あッ・・急に、キッツ・・い・・・」
ちがうよ、俺じゃない。
ドンヘのせいなんだから・・・って言いたいのに、唇は戦慄いて言葉にならない。
「あーッ!! あ、あ、ひ・・あーッ!!」
やだやだ、連れてかれちゃう。
あっという間に迫ってきた限界に、目をぎゅっと閉じた。
「あ、駄目って言ったじゃん」
「ひゃッ、んッ」
また瞼をペロリと舐め上げられた。
びっくりして目をひらく。
「見てて、俺を。イク時もだよ、ずっと」
「そ・・んな・・・」
いつもいつも、生理的に目は閉じてしまう。
そう言われても、どうしたらいいのかわからない。
だけど、薄明かりのなかのドンヘは痺れそうなほど色っぽくて。
一瞬、状況をぜんぶ忘れて見とれてしまった。
「ヒョクチェ。出来るよね?」
その隙にドンヘは俺の右耳を掴んだ。
そうやって動けなくしてから、ぐっと腰を打ち付ける。
「くふッ・・う・・うッ・・、んーッ!!」
「ほら、また・・・すごいイイ顔、してる・・よ?」
「や・・、ドン・・へ・・・、ねえッ、俺もぅ・・ッ!!」
「イキそう?・・俺もだから、俺のイクとこ・・見てよ・・」
ドンヘは俺をしっかりと見つめている。
すこし顰めるようにした眉。
荒い呼吸を繰り返す唇。
切なそうな光を湛えた瞳。
こんなに体を重ねているのに、この瞬間のドンヘを初めて見た。
・・・ああ、こんな表情してくれてたんだ。
乱れているのに、身震いしてしまいそうなほど綺麗。
派手に鼓動が跳ねて、どうにかなりそう。
「あああーッ・・も・・、イっちゃ・・うううッ」
「ん・・あッ・・出す・・よ・・・、ヒョク」
「・・・あ、あッ、ああッー!!」
「あー、・・すっごい・・出てる・・・う、あッ」
一番奥にドクドク注ぎ込まれる熱で、視界が白く溶ける。
頑張ってるつもりなのに、ホントに目を開けているのかわからなくなった。
どうなってるんだろう・・・ちょっと怖い。
「・・・どん・・へ・・・、ドンヘ・・・」
「ヒョク・・頑張ったね・・・・」
水のなかみたいな世界に呼びかけると、ドンヘがそう言って髪を撫でてくれた。
たったそれだけで俺は途端にひどく安心して。
甘い甘い余韻に陶酔するかたちで、意識を手放した。