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星に願いを ※





「んあッ・・ちょ・・・どん、へ・・」
「なあにー? あ。すっごい・・ここ」
横向きに抱いたヒョクの腰を掴んでぐいっと押し込んだ。
細い背中が反り返る。

「聞い・・てッ・・ねえッ、ああ!!・・んぅ」
「聞いてる。イイ声ー」

聞き逃すワケないじゃない。
ヒョク限定で俺の聴力は3割増し。
震える息遣いまで鼓膜が捕まえて離さないよ。

「時間・・ない・・ッ、俺・・もう準備・・しないと・・・」
時間?
ああ、そっか。まだ朝なんだった。

「じゃあ、もうやめる?」
わざといちばん奥で一旦停止。
そういう意味じゃないのはわかってるけどね。

「そ・・じゃなく・・て・・ッ、ん、んんー!!」
「違うの? どーすればいーの?」
「どうって・・・ッ、あ・・、わかって・・よ!」
「ゆってくれたら、その通りにしてあげるから。ね?」

ヒョクの目はうらめしそうな光を湛えてる。
毛足の長いシッポがぱしぱし俺をたたいた。
可愛いの。
言わなくても催促、しちゃってる。

「・・・・・は、やく・・」
「イキたい?」
頷くかと思って聞いたら、ヒョクはちいさく首を横に振った。
零れそうに潤んだ瞳にまっすぐ見つめられて、思わず息を飲む。

「ドンヘ・・も、一緒が・・いい」
恥ずかしいとそうなるのかな。
頭の上の耳が垂れてる。

その瞬間の俺に効果音をつけるなら・・・
漫画みたいだけど、まさに『ズッキュン』ってかんじ。
時間ないって言ったけど、間に合わせてあげられるかな。
夢中になってしまいそうな予感に、そんな不安が過ぎった。





                  *




「ごちそーさまでしたー」
ふたりぶんの精液で濡れた、ヒョクのお腹にむかって頭を下げる。

「・・なに・・言って・・・の。ばか・・じゃん」
ヒョクは乱れた呼吸を整えながら、ついでに呆れ声を出した。

「もー、お風呂入りたかったのに・・・」
椅子にかけてた上着を羽織りながら、ちらっと時計を見て文句を言ってる。
ふくれてるほっぺを見てニヤニヤしそうになる。

「拭いたげる!! ってかお詫びに身支度全部、俺がしたげる!!」
「え・・・べつにいーし。軽くシャワー浴びるし」
ヒョク冷たい・・・
俺はしょんぼりと肩を下げた。

「お前も耳とシッポ似合うよ、きっと」
丸まってる俺の背中に手を置いて、ヒョクはにこやかに笑う。

「なにそれ、可愛いってコト?!」
途端に嬉しくなって、がばっと起き上がる。
両手を握って見つめようとしたら、さらりと躱された。

「ネコじゃなくてイヌのヤツね」
「イヌ?」
「うん。捨てられたイヌみたいなカオしてた、今」
くすくす笑いながらヒョクはパーカーのフードをかぶる。

「じゃね。お前も仕事でしょ? 遅れるなよ」
爽やかに手を振って、スマートな様子で部屋を出て行った。

うわー。
なんかカッコイイ。
突然取り残された俺は、ぼーっと見送ってしまったりして。

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