星に願いを ※






「わあああああああ!!」
ヒョクチェの声で目が覚めた。
俺が瞼をこすってる間に、鏡台のところから布団に突っ込んできた。
起き上がって見てみると、俺の足元んトコに潜り込んでいる。

「なにしてんのヒョクチェ?」
「なんもないよ!! お前、早く12階に帰れ!!」
「えー!! ヒドくない?!」

足しか見えないヒョクチェが、もごもごと怒鳴る。
起き抜けにそんなコト言わなくてもいーじゃん。
まだおはようのキスどころか、顔さえ見れてないのに。

「ヒドくないの!! そもそもお前んちは上でしょ?!」
「そーだけどー! なんで急にそんなコトゆーのー?」

俺昨夜なんか怒らせるコトしたっけ?
星見の後のセックスを思い出す。
恥ずかしいって言ったのに騎乗位でしたのがそんなにイヤだったの?
でも結局は気持ちよさそうにしてたじゃん。

「ドンヘのノロマ!! 早くしろってば!!」
「ヒョクうううう」

せめて顔くらい見たくって布団を引っ張る。
ヒョクチェは中から慌てて押さえたみたいだけど、俺の方が一瞬早かった。

「わ!! ダメ!!」
やっとヒョクチェの姿が見えた。
・・・と思ったら・・・

「え?! ヒョク・・・それ、なに?!」
布団の下から現れた、ピョコンとネコ耳一対。
髪の色よりちょっとだけ明るい、ピンと立ったお耳がくっついている。

なにコレちょー可愛い!!
昨日の俺のお願い聞いて、まさかカチューシャつけてくれたの?!

「寄んな、見んな、さわんな!!」
ホントにネコだったら、フーっと毛を逆立ててそうなカンジでヒョクが怒る。

「なんで怒んのー? めちゃくちゃ可愛いいいい!!」
「さわんなって・・・ちょっと!!」
バタバタ暴れてるけど、頭くらい撫でさせてよ。
捕まえてその耳をさわったら・・・なんだかリアルな感触。

「・・・? ・・・あれ?」
俺の指には、体温まで伝わってくる。
軟骨のカンジ、毛並みの流れ方、どれを取っても・・・

「コレ・・・ヒョク。ホントに生えてんの?」
「・・・起きたらこーなってたんだよ・・・」

・・・・・・うっそ。
俺のお星様への願いが、叶っちゃったってコトですか?!
えーと、じゃあ、もしかして・・・・・・

「うわ!! なんだよ?!」
飛び上がるヒョクをひっくり返して、パジャマにしてるシャツの裾を捲る。

「あ、やっぱり!!」
シッポまで生えてる。
耳とお揃い色のふわふわのシッポが揺れてる。

「見んなって言ってんじゃん!」
ヒョクは慌ててシャツを引っ張って隠すけど。

「ムリ・・・」
「はあ?!」
「とりあえず・・・可愛すぎて死ぬわ・・・」
「コラーーーー!!」

ドキドキしすぎて泣きそうになりながら抱きついた。
腰に俺をぶら下げたまま、ヒョクはベッドを這い回る。

「はーなーれーろー!!」
「いーやーだー!!」
ギャイギャイやってたらチカラ比べみたいになってきた。
なんとか言うコト聞いてもらわなくちゃ。

「ヒョク、ちゃんと見たの?」
「え・・・?」
まんまるい目が俺を見下ろす。

「どんな風になってんのか、ちゃんとカクニンしてみないと!!」
「・・・う・・・」
きっと鏡見てビックリしてそのままなんだろう。
ヒョクはうつむいておとなしくなった。

「誰か、呼ぶ?」
「え・・・、イヤだ! 誰にも見られたくない!!」
「じゃあ、俺に見せてね?」
「・・・うん・・・」
本末転倒なコトに気づいてない。
こーゆートコも好き。

「まず、耳ね?」
柔らかい髪をかき分けて、付け根をよく見てみる。
うーん、やっぱり作りモノじゃなさそう。
ちゃんとヒフがくっついてる。

「にゃ!! やだ・・って・・・ばッ!!」
軽く引っ張ったらヒョクは悲鳴を上げた。
ぴるぴる先の方が動く。
しかもなんかホントにネコみたいな声出さなかった?
もっと聞きたくなっちゃった、そーゆーの。

「やなの? なんで?」
「ひゃ!! なに・・す・・んの」
「かんひょくたひかめてんの」
「なに・・言って・・か、わか・・な・・ッ」
ふふ、ヒョクだってうまく喋れてないよ?

噛み付いてみたら、今度はヒョクの体の方がふるふるする。
よくわかったよ、どうなってるか。

「ん、ん・・ッ・・あ・・ッ」
ほら、ホントの耳とおんなじ反応。
軽く歯を当てると甘えるみたいな声が出るんだよね。

「ヒョク・・・こっち、ここは?」
「ちょ・・待っ・・て!! なんか・・目的変わって・・るー!!」
「変わってないよー調べてるんだもんー」
「なん・・で、噛むのぉッ・・や、あッ」

うっわ、なんかたまんない。
やだって言ってんのに、ヒョクの手は俺にしがみついてんの。
これ、ホントはもっとしてってコトだよね?

「んーじゃあ、こっちはどーかなー」
「・・ッ!!・・あ・・あッ!!・・」
シャツのなかからシッポを取り出した。
きゅ、きゅ、と軽く握ると、同じリズムでヒョクが跳ねる。
なんか・・・もっとイケないトコ触ってるみたい。

「ヒョク、大変!!」
「・・な、に?」
トロンとしてきてる目を捕まえた。

「性感帯、増えちゃったね」
「・・・う、・・」
「困る? 嬉しい? どっち?」
理性があるあいだはきっとヒョクは困るんだろうね。
実際、『困るに決まってんじゃん』って目をしてる。

でもね、ヒョクの体は嬉しいみたいだから。
早くココロとカラダをくっつけてあげる。

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