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Teddy bear 2 ※




『・・・なんでお前が電話してくるワケ? ヒョクはー?!』
「可愛いマンネに対して随分ですねぇ」
『どこが可愛いマンネだよ?! リョウクの爪の垢飲んで出直せ』
「そういうこと言ってると、いいコト教えてあげませんよ」

ちょっと久々に声を聞くというのに、冷たいドンヘヒョン。
ヒョクチェヒョンに会えなくて寂しいんでしょうけど。
だからといって俺に当たらないでいただきたい。

『なにそれ。いいコトって』
「その前に質問に答えてもらっていいですか?」
『・・・いいけど、もったいぶるなぁ』

なにもドンヘヒョンを喜ばせるために電話してるワケじゃないんで。
先にそれを教えたら、俺と電話どころじゃなくなっちゃいそうだし。

「あの喋るテディベア、どこで買ったんですか?」
『ヒョクにあげたヤツ? あれファンからの貰いものだよ』
「そうでしたか・・・ メーカーとかわかんないですかね」
『なに、お前も欲しいの?』

欲しいです、大いに。
ドンヘヒョンとは使い道違いますけどね。

すこし前から、ヒョクチェヒョンの枕元に鎮座しているテディベア。
録音機能がついてるらしく、ドンヘヒョンの声がたくさん入っていた。
寂しい時にヒョクチェヒョンがひとりで聞いているかと思うと、正直・・・萌えます。

「はい。ちょっと、いいなって」
『俺の部屋にまだ箱あると思うから、見たらわかるんじゃない?』
「じゃあ、そうさせてもらいます」
『・・・ってかお前ヒョクの部屋なんで行ったの? なんもしてないだろうな?!』

相変わらずヒョクチェヒョンに関しては、俄然心が狭い。
まあ、慌ててクマの口塞いじゃったトコとかは、可愛くてちょっといじめたくなりましたけど。

「ご心配なく。残念ながら何もできませんでしたよ」
『残念ながらってなんだよ?!』
「ドンヘヒョンをとっても恋しがってるみたいだったので」
『・・・・・・マジで? なんでそう思うの?』

期待に満ちたような反応。
わかりやすいですね、ヒョンも。

「あのテディベア、すごく大事に抱いて眠ってるみたいでしたから」
『・・・・・・』
しばし沈黙。
次に予想される事態を予想して、俺は携帯からちょっと耳を離した。

『ヒョクうううう!! 会いたいよおおおお!!』
やっぱり。
離してもまだうるさい。

「俺に言っても仕方ないじゃないですか」
『そーだけどおおお。お前なんてコト言ってくれんの・・・』
「嬉しくないんですか?」
『嬉しすぎて困るんじゃん!! 会いたくて死にそう・・・』

半分べそをかいてるような声。
いや、下手したらもう泣いてるかもしれない。

「じゃあ死ぬ気で頑張って、早く帰ってきてくださいね」
会えない切なさはわかるから、できるだけ皮肉に聞こえないように気をつけた。

『うん・・・そーする・・・』
あ、やっぱり泣いてましたね。

とりあえず応援してるのは意外とホンキでですから。
ね?
頑張ってくださいよ、ドンヘヒョン。





                 *




「これって、ヒョクの部屋にあるのと色違い?」
「そうです。ソンミナヒョンにプレゼントです」

ネットで調べてすぐ買ったそれを、箱から抜いて直接手渡した。

「可愛いー!! しかもこれ、カカオとおんなじ色?」
「はい、できるだけ、似てるのを」

ヒョクチェヒョンのテディが飼い犬のチョコの色をしていたから、まあせっかくなので。
その方が愛着も湧くかなと、思っただけですけど。

「ありがとうキュヒョナ」
「はい」
「でも、お前の誕生日なのに・・・僕がもらっちゃっていいの?」
「ヒョンからもくれたじゃないですか」
「まあ、あげたけどー」
ヒョンは不服そうにふくれた。

日付は2月3日、俺の誕生日。
そろそろ空き容量に不安のあるPCに、外付けのHDDを買ってもらった。
色気がないとかあげた甲斐がないとか、ヒョンは色々文句を言いながらでしたけどね。
だってそれくらいしか、モノとして欲しいものはないし。

ホントのプレゼントは、このクマのおかげでもらえると思うから。
他はなんでもいいんです。

「じゃあ、ヒョン。お願いがあるんですけど」
「ん、なあに?」
「そのクマずっと抱いててください。・・・セックスするあいだ」
「え・・? わあ!・・・ッん」

すいっと距離を詰めて唇を塞ぐ。
一瞬びっくりして縮こまった舌先が、すぐに求めるように絡んできた。

「ふ・・う、ううんッ」
角度を変えて深くしていくと、気持ちよさそうに息をした。

「そう、いい子ですね。そうやって持っててくださいよ?」
クマにしがみつくソンミナヒョンを褒めてあげる。
絵的にも、非常に素晴らしいです。

「ん、・・・うん、わかった・・・」
とろんと目を潤ませて、ヒョンはゆっくり頷いた。


 
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