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GAME OVER ※




「うう・・・」
腰痛いお腹痛い手首も痛い。

リョウクが朝ごはんを作ると言ってくれてたから、なんとかリビングに這い出てきた。
出てきたはいいけど体が重くて仕方ない。
ソファーに体重を預けてぐったりしていた。

「ソンミナヒョン、たまご半熟ー?」
キッチンからひょいっと顔を出したリョウクに、反射的に笑顔を見せる。
「うん、半熟がいいなー」
「はーい。待っててねー」
精一杯の元気で答えると、にこにこ笑ってくれる。

爽やかだなぁ・・・
僕なんか疲れきって帰ってきた時みたい。
朝なのに。

痛む手首を見てみると、うっすら全体が赤くなっていた。
傷とかそういうのはないみたいで、少しは安心する。
枷にしてたのがネクタイだったからかな。
もう少しでも細いものだったら、確実に2~3日消えない痕になってるところだった。

「ふう・・・」
それはよかったけどなんせ腰が痛い。
撮影とかあったら迷惑かけてしまったかもしれないレベルで。

言葉には気を付けよう。
特にキュヒョナに対しては。
そんな誓いを胸のなかで立てていると、ヒョクチェの部屋のドアが開く音がした。

「いーから! お前は寝てたらいーじゃん。俺は腹減ったの!」
部屋の中に向かって叫ぶヒョクチェと、微かに聞こえるドンヘの声。

ヒョクチェは僕がなんとなく見ているのに気がついて、バタンと扉を閉めた。
そのままトコトコやってくる。

「おはよう、ソンミナヒョン!」
「うん、おはよおー」

リョウクはともかく、この子もなんでこんな元気なの。
昨夜きっとヒョクチェたちだって、あのあとセックスしたでしょ?

ヒョクチェはなんだか満たされてキラキラしてる感じなのに。
僕は明け方まで鳴かされてぐったり。
不公平だよ・・・
まあ、もとはといえば、僕がヒョクチェにちょっかい出したのが始まりなんだけど。

「ねーねー、ヒョン。見てー!!」
「なあにー?」
ぽふんと僕の隣に腰掛けたヒョクチェは、嬉しそうになにかを差し出した。
昨夜も持ってたゲーム機だ。

「さっきね、落ち着いてやってみたら意外と倒せたんだー!」
画面を覗き込むと、例のラスボス的なヤツがバッタリ倒れてる。
僕は昨日邪魔しちゃったっていうのに、無邪気な子。

「僕は勝てそうもないよ、最強のラスボスに」
まだ部屋で眠っているキュヒョナを思い浮かべて頬杖をついた。
マンネのくせに、なんであんな風に僕を虐げるの。

「えー、ソンミナヒョンがゲームって珍しくない?!」
ヒョクチェはうわーっと目を輝かせる。
キュヒョナと畑は違いそうだけど、ヒョクチェもゲーム大好きだもんね。

「攻略に一生かかりそうなゲームだけどね・・・」
自嘲めいたため息が長く長く零れてく。

「じゃあ俺が倒してあげる!!」
きゅっと抱きついてくる様子は可愛いけど、ヒョクチェじゃひとたまりもないと思うよ。

このタイミングで彼の人が起きてこないことを願いながら、僕は曖昧に笑って見せた。



End...
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