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first love

「なあドンヘ、お前らってさ、ホントにウネなの? それともホントはヘウンなの?」
リビングでぼーっとテレビを見ていたら、隣でPCをいじってたヒチョルヒョンにそんなことを聞かれた。
「へ? なにそれ?」

急に脈絡のないことを言い出すのはヒョンの得意技だけど、今回は質問の意味からして分からなかった。
「ウネウネ言われてるけどさ、お前ら体格とか年も一緒だしリバもあんのかなって」
「・・・・・ヒョン、ごめん韓国語喋って?」
「めっちゃ喋ってんだろ!」
いや、わかってるけどわかんない・・・
「まさか意味知らねーの?」
意味とかあんの?
ぽかんと口をあけてしまった。

「マジで?! 今更?」
「し、知らないもんは知らないもん・・・そんな騒がないでよ」
驚かれて驚く。
ちょっと不貞腐れてみたらヒョンはニヤっと笑った。

「セックスの役割だよ」
「・・・・・・・は?」
「だから、ウネならヒョクチェが男役でお前が女役。ヘウンはその逆」
「え?・・・え?? そーゆー意味?!」
「そんな騒ぐなよ」
呆気にとられる俺に、ヒョンはあげ足をとってニヤリとする。

「知らねーとかありえねー。ヒョクチェがウネイズリアルとかゆってたじゃん」
「・・・・・コンビ名的なもんだと思って・・・親友ですってコトかと・・・」
「はい出ましたアホの子」
だって教えてもらわなかったもん・・・

「で。どっち?」
ヒョンのまーるい目に覗き込まれて??となった。
「だーかーらー!どっちがどっちを抱いてんの?」
「!・・・だだ、だくって、なに?!」
持ってたリモコンをおっことした。
「お前らつきあってんだろ? 男同士じゃどっちがどっちか分かんねーじゃん」
「つ、つきあってないよ!!」
当たり前みたいに聞かないでよー!

「マジでか。くっつき方からしてデキてると思ってたってかみんなそう思ってる」
ヒョンはなーんだってカンジでソファに背中を預ける。
すらすら言うから聞き逃しそうになったけど、今みんな思ってるって言った?
「・・・・みんなって誰?」
恐々聞いてみると
「メンバーとか後輩とかスタッフとか」
もう興味ないみたいいな口調で返ってきた。
ホントにみんなじゃん・・・

「マジでつきあってないの? 俺に嘘ついたら承知しないよ?」
はあ、とため息ついてたらヒョンが見上げてくる。
「嘘じゃないよ! ヒョクにも聞いていいよ!」
「だってさーそう見えるもんよー」
反論する俺に、ヒョンは足をブラブラさせて文句を言う。

「あんだけ触ってんのにそーなんないのは逆におかしい!」
なにを言い出すんだお兄さん。
自分がトゥギヒョンとそーなってるから、仲間が欲しいとか?

「ヒョクチェって白いし細いし、おいしそーだよね」
「ぶはッ!・・・何言ってんの!」
「だから俺的にはヘウンだと思う! 頑張れドンヘ!」
「きーてよ俺の話!」
勝手に盛り上がんないでよー!
しばらくヒョンに背中をばしばし叩かれ続けた。


                   *

「ただいまー!」
なんか満足したらしいヒチョルヒョンが部屋に帰ったあと、ラジオからトゥギヒョンが帰ってきた。
「あ、おかえり」
「うん、ただいま」
ヒョンはにっこり微笑んでくれる。
和ませてくれる人だなぁ・・・
だから何気にヒチョルヒョンとバランスいいのか。

「ドンヘご飯食べた?」
「あ、うん。さっきリョウクが持ってきてくれた」
「じゃあヒョクチェんトコ行ったげて。なんか渡すものあるってさ」
「はーい」
先週話してたDVDかな?

「うーい、こないだのやつかー?」
勝手知ったるヒョクの部屋。
ノックは省いて扉を開けた。

「あ、ドンヘただいまー」
着替えの途中だったらしいヒョクが、ちょうどTシャツを脱いだところだった。
「う、うん。おかえり」
一度手を止めて笑ってくれる。
白い体の上半分が全部見えて、なぜか俺はちょっと動揺した。
着替えどころかお風呂一緒に入ったりしてんのに・・・なんだ?

「そうそう、あれ俺全部見終わったから貸してやるよ」
キャビネットをガサゴソやって、はい、とディスクを渡してくれた。
「さんきゅ。ってかちゃんと服着なよ、風邪ひく」
「外暑かったんだもん、だいじょぶだよ」
そう言って薄いシャツを羽織るだけにしてる。

そんな姿のヒョクを見ていたら、さっきのヒチョルヒョンの言葉が頭をよぎった。
『ヒョクチェって白いし細いし、おいしそーだよね』
目の前にそう表現された体があると気になってしまう。

・・・・・・うん、確かにおいしそう、なんだよね・・・
実を言うとヒチョルヒョンに言われる前から、そう思ったコトは過去に何度もあった。

肌が白くてしなやかに細い。
薄く筋肉はついてるけれど、なぜか男くささは全くなくて。
そーゆー風に触れたらどうなるんだろう。
くすぐった時の反応からして、敏感そうなイメージなんだけど。

触って、みたいな・・・

「ドンヘ? どしたの?」
「あ!うん!! ありがと、ホントありがと!」
ベッドに腰掛けたヒョクに覗き込まれて我に返る。
なんだか慌ててしまった。
「なにそれ、変なドンヘ」
笑われた。いやそりゃ笑うだろ、変だよ俺。

フルフル頭を振っていつもの俺にもどろうと努力した。


                  *


キュヒョナお勧めだという新しいゲームをちょっと見せてもらって、そろそろシャワー浴びるとヒョクが言うから12階に
帰ってきた。
まだ話したかったけど、今日はヒョクと一緒に浴びない方がいい気がして。
なんだか無意識に、あの肌に手を伸ばしてしまいそうだから。
ヒチョルヒョンのせいだよ、もう!

「おかえり」
「あ、作曲してた?」
寝てるかとゆっくりドアを開けた部屋では、まだトゥギヒョンがキーボードに向かってた。
「んー、でも今日はもう駄目そう」
椅子をこっちに向けてぐーっと伸びをする。

「ねーヒョン」
「ん?」
聞いてみようか、みんなって言ってたのホントか気になる。

「俺とヒョクチェが恋人同士だと思ってる?」
「うん。でもどっちがどっちかはわかんない。教えて?」
・・・ヒチョルヒョンと同じこと言ってる・・・
似てないようで思考回路一緒か! もう結婚しろ!!

「やっぱそう見えてるんだ」
「え?! 違うの?」
「違うよ、つきあってない」
「えー! みんなそう思ってるよー?」
またみんなって・・・ これは本気で俺らの周りほとんどだろうな。

「ヒチョルヒョンにもさっき言われたんだ・・・」
またため息が出てしまった俺を、トゥギヒョンはしばらく見つめたあと
「でも、感情としては、どうなの?」
と聞いてきた。
ちょっと、なに急に真面目なカオしてんの・・・
「感情って・・・」
「少なくとも、お前はヒョクチェに恋愛感情があると思ってた」
「そ、そーなの?」
なんかそんなコト言われたらちょっと顔が熱くなってきた。

「シウォナとかがヒョクチェにくっつくと引き離すじゃん。他のメンバーにはそうしない」
「・・・だって一番の仲良しだから」
常にヒョクの一番でいたい。
「ファンサ要らないとこでもいっつもくっついてるよね?」
「・・・もともとファンサとか考えてないもん」
いたいからいるだけ。
「ドンヘは特に彼女ができてもすごい短期間で終わるし」
「う・・・だってヒョクといるほうが楽しいから・・・」

ちょっと痛いトコつかれた気がする。
ELFに歓声上げてもらうのは好きだけど、特定の彼女となると正直すぐ疲れてしまう。
女の子って最初は優しくても、忙しくて会えなくなってくるとイライラするじゃん。
それを宥めるような話術は持ってないから、一方的に責められてイヤになっちゃうんだ。
仕事してるかメンバーと遊ぶか・・・やっぱ特にヒョクといるのが気楽だし楽しい。

「そんだけ材料が揃ってて、ホントに友情しかない?」
「・・・・・・・」
分かってる、なんかただの友達って感じじゃないのは。
でも・・・ほかになんて表現していいかわかんないし。
俺がそんな風に思ってるって、ヒョクがどう思うかわかんないし。
ぐるぐる、混乱してきちゃった。

「ま、どっちにしても俺はお前たちの味方だからさ」
言葉につまりまくってる俺の頭を、ヒョンはぽんぽんしてくれる。
「オンマー!!」
「オンマじゃないよ!ヒョンだから!!」
優しくしてくれるから抱きついたのに、イヤがられた。
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