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短編

アクロトモフィリア(阿近)
※18禁です。
 エロ、グロ、阿近さんの性癖捏造。何でも許せる方のみお読みください。




 
 「じゃあ、何かあったらスグ来いよ」
 技術開発局の出入り口前で、阿近が声をかけたその先には、一人の女がいた。
「いつもありがとうございます」
女は深々と頭を下げて礼を言ったが、阿近は普段通りの冷めた目で女を見て、おう、と言うだけだった。
 女は困ったように微笑み、阿近に背を向け、歩き出した。

 上手く歩くようになった。

 女の後ろ姿を見ながら、阿近はボンヤリと考えていた。
 女の両足は、腿から下が義足だ。
 機動力向上の為に、人の足の形では無く、S字に曲がったヘラの様な金属が着いている。傍から見たら、異様な姿だろう。だが、彼女は自らその道を選んだ。
 いや、選ばざるを得なかった。
 
 一条小町は新人の頃に両足を無くした。
 毒を持つ虚に足を毒され、切断せざるを得なかった。
 復隊も叶わず、だからと言って死ぬ事もできなかった小町は、五体不満足の体で流魂街生活を送る道しか無かったが、それに待ったをかけたのは涅マユリだった。
「死ぬまで被験体になるなら、無償で義足を作ってあげよう」
新人の小町には義足を買う金も無かった。保険もいくらか降りたが、治療費で飛んだ。
 小町は生きるために、涅マユリの提案を飲んだ。そして彼女の足には人型から程遠い義足が着けられ、招集がかかればモルモットになる日々がやってきた。


 小町が歩くと、必ず人目を引いた。
 初めは嫌で、義足を袴で隠していたが、最近は短パン状にした袴を履いて、義足をワザと見せている。
 理由は、自隊の隊長が、鉄笠を取ったからだ。
 人とは違う姿でも胸を張り、堂々と生きている隊長を見て、小町は勇気をもらった。
 足を出すようになったら、隊長と副隊長に存在を認識してもらえた。それをきっかけに積極的に戦いに参加するようになったら、義足の良さに気づいた。桁違いの瞬歩の速さに加え、体が軽く、跳ぶように戦えた。
 そうして小町は席官になった。
 

 「今は義足になって良かったって思います」
 診察台の上で横になりながら、小町は阿近に話しかけた。阿近は、銀のトレイに乗せられた注射器しか見ていない。小町の義足は外されている。
「入れるぞ」
小町の話を無視して、阿近は注射器を掲げ、液体を一筋、注射針から垂らした。小町は当たり前のように右腕を差し出した。
「今回は何の菌ですか?」
「傷口から血が止まらなくなるやつ」
「生理も?」
「生理は別」
阿近は慣れた手付きで小町の腕の中の血管を探り当てると、躊躇なく針を刺した。軽い痛みが走るが、小町は眉一つ動かさず、阿近の顔を眺めていた。
 モルモット宣言をして以来、小町の実験はもっぱら阿近が担当している。局長に言われたからなのか、進んでやっているのかは、語らないから分からない。
 阿近はいつも淡々と、無表情で実験を進めていくが、ずっと観察しているうちに、阿近の癖は分かってきた。
 また見てる。
「腕、切るぞ」
阿近はそう言って、小町が返事する前に腕の柔らかい所をメスで切った。メスを置いて小町の腕を紐で吊るすと、血が垂れる所にバケツを置いて血を受けた。小町の血が排泄物かのようにバケツに落ちていく。
「輸血はしないの?」
「そこまで出さねえよ。菌が効いてるかの確認だけだから」
ひと仕事終えた阿近は椅子に座り直し、落ちていく血を黙って見つめた。
 薄暗い部屋に水音だけが響く。
 小町はまた阿近の目線を追った。

 まただ。

「阿近さん、また足を見ましたね」
静寂を破り小町が呟くと、阿近は眉をあげて、訝しげに小町を見ただけで、黙って目線をそらした。
「足、気になる?変?」
続けて質問すると、阿近は黙って立ち上がった。
 気分を害したかと、小町は心配になり口をつぐみ、阿近を見守った。阿近はゆっくり診察台の縁をなぞるように歩いた。
「……………性癖、ってあんだろ」
「…うん?」
突拍子の無い言葉に、小町は思わず聞き返してしまった。阿近はゆっくり歩き続け、小町の足元に来た。
「長い髪が好き、とか、デカイ胸が好き、とか、匂いに興奮する、とか……」
小町の足を見下ろしながら阿近は足を進め、さっきまで彼が座っていた場所から反対にきた。
「阿近さんは?阿近さんは、何が好き?」
小町の手元に佇む阿近を見上げながら、小町は目を細めて尋ねた。
 阿近は小町を見つめながら、足の切断面に触れた。
「アクロトモフィリア。手足欠損性癖」
その時初めて、小町は阿近の視線の意味を知り、それと同時に、自分の下半身に熱いものを感じた。
 阿近は悩まし気な表情で、小町の手を握った。
「足の無いお前が、腕から血ィ流してるの見てたら………さ」
小町の手は、診察台より少し上にある阿近の股間前まで持っていかれた。触れる寸前で、阿近は手を止めた。
「触るか?」
その問いかけに、小町の秘部がじんわりと湿った。
 ああ、私は、この目が……。
「触る………。ねえ、阿近さんも、私の、触って…?」
阿近はいやらしい質問をしておきながら、小町に言い返されて動揺したように目を見開いた。
 その目に犯されたくて、小町の体の奥が震えた。
「………阿近さん………見て。私を、見て………」
頬を紅潮させ、涙目でせがむ小町を見て、阿近は小町の手を離した。
 拒絶されたと思い、小町は呆然とした。
「待ってろ」
小町の心配をよそに、阿近は先程の椅子まで戻り、紫の液体が入った注射器を取り出した。
「これ、血清」
慣れた手付きで注射の準備はしているが、阿近は焦っているように見えた。自分を落ち着かせようと深呼吸をしてから、小町の腕に針を刺し、じれったそうに、だが慎重に血清を注射した。
「これでほぼ100パー血は止まる」
そう言うのが早いか、阿近は注射器を床に投げ捨て、ガラスの破片が辺りに飛び散った。だが阿近は気にも止めずに白衣を脱ぎ、それも床に捨てた。
 阿近は診察台に登ると、小町を跨ぎ、自分の股の下の小町を見下ろした。
「触れ」
その命令口調と加虐心に駆り立てられた阿近の目で、小町の心臓の高鳴りは最高潮に達した。
 小町は血の出ていない方の腕で、そっと阿近のものに触れた。
 袴の上からでも分かるほど、熱く、固くなっていた。
 物足りない阿近は小町の手を掴み、力任せに自分のものを押し付け、空いてる手で小町の足の断面に触れた。
 性感帯があるわけでもないのに、阿近の手付きに小町の吐息が漏れる。
 二人はどちらかが言い出す訳でもないのに死覇装を脱ぎ始め、肌と肌を合わせた。それだけで、イッてしまいそうな程興奮した。そしてどちらかとも無く唇を合わせた。
 まだ完璧に止まらない小町の血が、阿近にも自分にも着いたが、気にする事も無く、二人は抱き合い、乾きを潤すような飢えたキスをした。
 お互いの白い肌に、血の赤がよく映えた。
 狭い診察台の上で、二人は激しく求め合い、舐め合い、触れ合った。
 いつしか小町の血は止まり、二人についた血も乾いていたが、部屋の中にはいやらしい水音が響いていた。
 これだけ激しくヤッていても、二人は言葉を発さなかった。口からでるのは、甘い吐息だけ。
 挿入する前にも、阿近は小町に聞きもせず、自分勝手に指し入れた。だが小町の中は、キツイ程に阿近のそれを締め上げ、もっともっととおねだりをした。
 阿近は小町の腰を上げ、足の断面に舌を這わせながら器用に腰を振った。舌の動きが阿近の興奮を小町に伝えた。ヨダレにまみれる自分の足を見ながら、小町も異様に興奮していた。
 一度大きく小町に自身を打ち付け、数回腰を振って全てを絞り出すと、阿近は改めて小町を見た。
「………綺麗だ」
阿近も小町も肩で息をして、口からヨダレが垂れていても気にせず、互いを見つめ合った。
 阿近はまた体を屈めて、こんどは唇だけの優しいキスをした。
「お前が、俺のになればいいって、ずっと思ってた」
間近で小町を見ながら、阿近は今までにない、低く男性的な声でそう言った。
 呆然自失だった小町の目は、ゆっくりゆっくり光を帯び、片方の目から涙が一粒こぼれた。
「……義足になって、良かった…………」

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