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羽化にはまだ早い 番外編

 平子と出掛ける約1週間前。
 真は乱菊の部屋に遊びに来ていた。
「何か最近肩が凝るのよね〜」
乱菊が肩を押さえて、首を回すので、真が肩を揉んだ。
「あー、やっぱり真は女の手よね。力はいいんだけど、指が女だわ」
「ごめんね」
「違う違う。そうよね、って話で。ありがとね」
その時はそれで終わったが、真は乱菊を満足させられなかった事を根に持っていた。

 そして時間は戻り、真は平子と共に精霊艇に戻って来た。
 体は、平子が言った通り、男のままだった。
 そうなると、ギチギチに巻いているサラシが苦しくなり、真はその場で死白装を脱ぎだした。
「わ!何してんねん!」
「サラシが………」
苦しそうに息をしながら、真は死白装、タートルネックを脱ぎ、サラシを解いた。ようやく息が出来て、真はホッとした。
「何や、お前、サラシ巻いとるから、板なんやな」
真は死白装だけを着て、あとは綺麗に畳んだ。平子の事は無視した。
 平子に礼を言って、真は自分の部屋に荷物を置いた。
 さて、新しいCDでも聞こうかな、と思った時、1週間前の乱菊とのやり取りを思い出した。
「この体なら……」
真は部屋を後にし、乱菊を探した。


 副隊長集会が終り、全員がぞろぞろと帰っていると、乱菊を呼ぶ声がした。
 そちらを見ると、真によく似た男性が手を振りながら走って来た。
「乱菊!」
「あんた……真!?」
目の前に立つ男性に、乱菊は思わず大きな声を出した。皆、そっちを向いて、真を凝視した。
「ちょっといろいろあって、暫くこの体なんだ」
真は照れたように笑った。その笑顔に、乱菊を始め、雛森や七緒、ルキアが赤面した。
 女達の反応に、男達がにわかに焦った。
「おい、霧島、乱菊さんになんの用だよ。邪魔になってるぞ」
檜佐木が真に近づいて、乱菊と離そうとしたが、真は逆に乱菊の手を握った。
「すみません、檜佐木副隊長。乱菊を連れに来たので、これで失礼します」
真はそういうと、乱菊の手を引いて、あるき出そうとしたが、乱菊が不思議がって歩みを止めた。
「何急いでんのよ?何かするの?」
真は乱菊を見て、手を乱菊の頬にそっとあてた。
「この前、満足させられなかったから…この体なら、きっと乱菊を満足させられると思うんだ」
「あー!なるほど!!やったー!!してして〜!!」
真は乱菊の手を引いて、歩いて行った。
 二人の会話に、檜佐木や射場を始め、恋次や吉良も反応した。
「霧島さん…何をするつもりだ」
二人の背中を見ながら、恋次が呟いた。
「満足させる……って」
吉良が顔を赤らめた。
「そりゃあ、男と女がやる事と言ったら、1つじゃろ……」
射場が真剣な顔つきで3人を見た。
「させるか!!!乱菊さーん!!!」
檜佐木が焦って、二人を追いかけた。3人も気になって、檜佐木について行った。

 真と乱菊は、使われていない会議部屋に入って行った。4人は、ドアに耳をつけて、会話を盗み聞きした。
「ここですんの〜?」
「時間が限られてるんだ、急ごう」
「机の上でいい?」
「いいよ。ほら、寝て」
「痛くしないでね?」
「分かった。優しくする。いくよ」
「………ん……そう、そこ」
「気持ちいい?」
「いいわ。もっと……」
4人はドキドキしながら、聞き入った。
 
 何をしとるんじゃあああああ!!!ボン!!!
 
 まてまて、霧島さんって女だったよな?!!
 
 この為に男になったって事?!
 
 俺と変われええええええ!!!!!

「……上手じゃない。ん…、あ、そこそこ!」
「良かった。乱菊を気持ちよく出来て」
「今度は……ん、どっちかの、部屋で、あっ、もっとゆっくりやりましょ、あっ、イタタタタ」
「あ、ごめん」
「大丈夫。続けて」
すると、部屋の中からパンパン聞こえてきた。4人は驚愕して、動けなくなった。
 すると、耐えられなくなった射場が、スッと立ち上がり、ドアめがけて足を振り上げた。3人が止める暇も無く、射場によってドアが蹴破られた。
「コラアアア!!!仕事中に何フシダラな事しとるんじゃアアア!!!!」
3人は、気まずいような、中を見れてラッキーと思うような、複雑な気持ちで、射場の後ろから中を覗いた。

 中には、乱菊の肩を、合わせた手で叩く真がいた。

「……へっ?マ、マッサージ…?」
射場が素っ頓狂な声を出して、乱菊と真を見た。
 二人は眉間にシワを寄せて、男達を睨んだ。
「先生……?どうしたんですか?」
「ちょっと、何よあんた達、邪魔しないでよ」
男達が何を考えていたか何て、知りようも無い二人は説明を求めたが、そんな事言える訳も無く、4人はただただ土下座した。
「あー!土下座してるー!!」
突然やちるがやってきたと思ったら、4人の土下座を連写して、嵐のように消えた。

 次の日、4人の土下座写真が精霊艇中に貼られた。
 4人が乱菊と真に何をしたのか、あられも無い噂が飛び交い、4人とも隊長から叱られた。

 真は次の日には元に戻った。
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