平子編
二人のその後 17
「ねえ、君たち」
真が話しかけると、女達は何も無かったようにうちわで団欒し始めた。
うわあ…露骨………。
昔はよく男から嫌がらせを受けてはいたが、こっちは直接的では無い分、陰湿で面倒くさいと思った。平子は、この事を言っていたのだろう。
「さっきの会話聞こえたんだけど、持ってる写真によっては刑罰になるよ。確認させてくれるかな」
真がそう言うと、1番真に近い女が真をにらみ上げた。
「何の事ですかあ?昼休みも短いんで、早く昼ごはん食べないとなんですけどぉ」
勝ち誇ったような女の態度に、周りは露骨にクスクス笑い出し、よってたかって真を笑いものにしようとしてきた。
「三席の人に言い過ぎだよお、フフ」
「自意識過剰じゃない?」
「人の話聞いてるとか、迷惑だし」
声を荒げても、逆効果だろうな。仕方ない…。
真がまたため息をついた瞬間、女達の視界から真が消えた。
「………やっぱり………これ、隠し撮りだね」
真の声がしたと思ったら、女達から少し離れた所で真が伝令神機を構っていた。
「ちょっと!それあたしの!!」
女が立ち上がり真に詰寄ろうとすると、真が女に伝令神機の画像を見せた。
「こういうのはね、肖像権の侵害って言うんだよ。これで私を貶めようとしたなら、それは名誉毀損。知ってたかな?」
「人の物勝手に構わないでよ!」
女は手を突き出して真から伝令神機を取り上げようとしたが、真の動きにはついて行けず手は空を切った。
「人の生活脅かすなら、自分達の人生棒に振るう覚悟はあるんだよね?」
真は伝令神機を握りしめ、急に目つきを変えて女達を睨んだ。さっきまでヘラヘラしていた女達から、笑顔が消え、顔が引きつる。
「今私の目の前で画像を消して。そうしないなら、これを二番隊に出す。誰が写真を持ってるかは、調べれば直ぐに分かるよ」
真から伝令神機を取り返そうとしていた女も動きを止め、懇願するような目で真を見てきた。
「何で、こんな事くらいで…やめてよ、やめてください………」
真は彼女を無視して、その取り巻きに目を向けた。
「ほら、一人ずつ来て。私に写真消すとこ見せて。写真のフォルダも、メールの送信履歴も全部見せて」
真に促され、取り巻きは一人ずつ立ち上がり、不本意そうに真の前で写真を消し、写真フォルダもメールの送信履歴も真に見せた。どの女の写真フォルダにも、男性隊長格の写真が山のようにあった。
玉の輿でも狙って死神(見習い)になったのか?
そう思いはしたが、真は口に出さず一人を残して全員分のチェックを終えた。
「はい、じゃあ、最後は君………の」
真が持っていた伝令神機を本人に渡そうとそちらを見ると、彼女は歯を食いしばってポロポロ泣いていた。
真はギョッとして、思わず体を強張らせた。
「どうせ、平子隊長に言うんでしょ…アタシの事…………」
何故そんな分かりきった事を聞くのか、と真は理解に苦しみ、返答に困った。
「いっつも平子隊長と一緒にいて……!ズルい!!私だって平子隊長に近づきたいのに…!!アンタばっかり平子隊長に優しくされてズルい!!」
女の余りにも自分勝手な言い分に、真の肩に疲労感がドッと乗っかった。諭すのもフォローするのも馬鹿らしくなって、もう自分で写真を消してしまおうか、と思ったその時…。
「私知ってるんだからね!!アンタが平子隊長の家に出入りしてるの!!何してんのよ!!陰乱ビッチ!!!」
突然の暴露に真は驚き目を見開いたが、女の姿は一瞬で消えた。
と思ったら、目の前に白い羽織があり、リサが女を地面に押さえつけたのだとようやく理解した。
「こんなところでアホみたいな噂流すな!たわけ!!」
リサは珍しく声を荒げ、女の腕をねじ上げた。
「イタイイタイイタイ!!」
女は痛みで悲鳴を上げたが、リサは手を緩めなかった。
「優しくしたげればつけ上がって!!格上への言葉遣い、体に叩き込んだげよか!?」
リサに怒鳴られ、女はとうとう泣き出した。流石に周りで食事をしていた人達も気になったようで、真達を囲んで集まりだした。
「真、それかしゃあ」
リサは片手を上げて真に伝令神機をよこすように言い、真が渡すと、女を押さえつけたまま、片手で操作をした。
「どこもかしこも真子真子真子……あんたいつ仕事しとんの。隠し撮りばっかやん。これ没収するわ。あんた、どこの隊」
「うぅ〜え〜ん。うわぁ〜ん」
「聞いとるんやけど」
「ヒッ!あ……さ、三…………」
「ローズのとこやん。ったく。真子に近づくためにその部下貶めたって意味無いでね、ビッチはどっちや」
リサはようやく女の上から退き、伝令神機をポッケに入れると野次馬を睨んだ。
「見世物やないわ!!!消えろ!!」
リサの怒声で、野次馬は散り散りになり、女達は呆然としたまま動かなかった。リサは女達を気にする様子も無く、店主の元に行くと迷惑料らしきモノを渡していた。
「真、店変えるよ」
リサは真に一声かけると、さっさと店から出ていき、真は急いでリサを追った。
「すみません、矢胴丸隊長。手を煩わせて……」
リサに追いついた真がリサに謝ると、リサは立ち止まり、振り返って真を見た。
「アンタのやり方は間違って無かった。でもヤケを起こされると、誰でも面倒くさいでね。私が出るしか無いって判断したんや」
「はい…助かりました。ありがとうございました」
リサは意味深な目で真を見てから、また歩き出した。
「アンタと真子の変な噂なんか、流されたくないしね」
リサの言葉に、真はハッとして立ち止まった。
あの噂を、どう思ったのだろうか。
「矢胴丸隊長…あの」
「言わんでいい。それより、昼ごはん食べんと、時間無くなるよ」
真の言葉を遮ってリサは真を促し、真はまたリサを追って歩き出した。
いろんな事を黙って受け入れるリサの寛大さに、真は惹かれ始めていた。
「ねえ、君たち」
真が話しかけると、女達は何も無かったようにうちわで団欒し始めた。
うわあ…露骨………。
昔はよく男から嫌がらせを受けてはいたが、こっちは直接的では無い分、陰湿で面倒くさいと思った。平子は、この事を言っていたのだろう。
「さっきの会話聞こえたんだけど、持ってる写真によっては刑罰になるよ。確認させてくれるかな」
真がそう言うと、1番真に近い女が真をにらみ上げた。
「何の事ですかあ?昼休みも短いんで、早く昼ごはん食べないとなんですけどぉ」
勝ち誇ったような女の態度に、周りは露骨にクスクス笑い出し、よってたかって真を笑いものにしようとしてきた。
「三席の人に言い過ぎだよお、フフ」
「自意識過剰じゃない?」
「人の話聞いてるとか、迷惑だし」
声を荒げても、逆効果だろうな。仕方ない…。
真がまたため息をついた瞬間、女達の視界から真が消えた。
「………やっぱり………これ、隠し撮りだね」
真の声がしたと思ったら、女達から少し離れた所で真が伝令神機を構っていた。
「ちょっと!それあたしの!!」
女が立ち上がり真に詰寄ろうとすると、真が女に伝令神機の画像を見せた。
「こういうのはね、肖像権の侵害って言うんだよ。これで私を貶めようとしたなら、それは名誉毀損。知ってたかな?」
「人の物勝手に構わないでよ!」
女は手を突き出して真から伝令神機を取り上げようとしたが、真の動きにはついて行けず手は空を切った。
「人の生活脅かすなら、自分達の人生棒に振るう覚悟はあるんだよね?」
真は伝令神機を握りしめ、急に目つきを変えて女達を睨んだ。さっきまでヘラヘラしていた女達から、笑顔が消え、顔が引きつる。
「今私の目の前で画像を消して。そうしないなら、これを二番隊に出す。誰が写真を持ってるかは、調べれば直ぐに分かるよ」
真から伝令神機を取り返そうとしていた女も動きを止め、懇願するような目で真を見てきた。
「何で、こんな事くらいで…やめてよ、やめてください………」
真は彼女を無視して、その取り巻きに目を向けた。
「ほら、一人ずつ来て。私に写真消すとこ見せて。写真のフォルダも、メールの送信履歴も全部見せて」
真に促され、取り巻きは一人ずつ立ち上がり、不本意そうに真の前で写真を消し、写真フォルダもメールの送信履歴も真に見せた。どの女の写真フォルダにも、男性隊長格の写真が山のようにあった。
玉の輿でも狙って死神(見習い)になったのか?
そう思いはしたが、真は口に出さず一人を残して全員分のチェックを終えた。
「はい、じゃあ、最後は君………の」
真が持っていた伝令神機を本人に渡そうとそちらを見ると、彼女は歯を食いしばってポロポロ泣いていた。
真はギョッとして、思わず体を強張らせた。
「どうせ、平子隊長に言うんでしょ…アタシの事…………」
何故そんな分かりきった事を聞くのか、と真は理解に苦しみ、返答に困った。
「いっつも平子隊長と一緒にいて……!ズルい!!私だって平子隊長に近づきたいのに…!!アンタばっかり平子隊長に優しくされてズルい!!」
女の余りにも自分勝手な言い分に、真の肩に疲労感がドッと乗っかった。諭すのもフォローするのも馬鹿らしくなって、もう自分で写真を消してしまおうか、と思ったその時…。
「私知ってるんだからね!!アンタが平子隊長の家に出入りしてるの!!何してんのよ!!陰乱ビッチ!!!」
突然の暴露に真は驚き目を見開いたが、女の姿は一瞬で消えた。
と思ったら、目の前に白い羽織があり、リサが女を地面に押さえつけたのだとようやく理解した。
「こんなところでアホみたいな噂流すな!たわけ!!」
リサは珍しく声を荒げ、女の腕をねじ上げた。
「イタイイタイイタイ!!」
女は痛みで悲鳴を上げたが、リサは手を緩めなかった。
「優しくしたげればつけ上がって!!格上への言葉遣い、体に叩き込んだげよか!?」
リサに怒鳴られ、女はとうとう泣き出した。流石に周りで食事をしていた人達も気になったようで、真達を囲んで集まりだした。
「真、それかしゃあ」
リサは片手を上げて真に伝令神機をよこすように言い、真が渡すと、女を押さえつけたまま、片手で操作をした。
「どこもかしこも真子真子真子……あんたいつ仕事しとんの。隠し撮りばっかやん。これ没収するわ。あんた、どこの隊」
「うぅ〜え〜ん。うわぁ〜ん」
「聞いとるんやけど」
「ヒッ!あ……さ、三…………」
「ローズのとこやん。ったく。真子に近づくためにその部下貶めたって意味無いでね、ビッチはどっちや」
リサはようやく女の上から退き、伝令神機をポッケに入れると野次馬を睨んだ。
「見世物やないわ!!!消えろ!!」
リサの怒声で、野次馬は散り散りになり、女達は呆然としたまま動かなかった。リサは女達を気にする様子も無く、店主の元に行くと迷惑料らしきモノを渡していた。
「真、店変えるよ」
リサは真に一声かけると、さっさと店から出ていき、真は急いでリサを追った。
「すみません、矢胴丸隊長。手を煩わせて……」
リサに追いついた真がリサに謝ると、リサは立ち止まり、振り返って真を見た。
「アンタのやり方は間違って無かった。でもヤケを起こされると、誰でも面倒くさいでね。私が出るしか無いって判断したんや」
「はい…助かりました。ありがとうございました」
リサは意味深な目で真を見てから、また歩き出した。
「アンタと真子の変な噂なんか、流されたくないしね」
リサの言葉に、真はハッとして立ち止まった。
あの噂を、どう思ったのだろうか。
「矢胴丸隊長…あの」
「言わんでいい。それより、昼ごはん食べんと、時間無くなるよ」
真の言葉を遮ってリサは真を促し、真はまたリサを追って歩き出した。
いろんな事を黙って受け入れるリサの寛大さに、真は惹かれ始めていた。
