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平子編

二人のその後 12

 リサは真にコップを渡すと、なみなみと水をついだ。
「自分で飲みゃあ。それとも、また飲まされたい?」
リサは全く表情を変えずに真にすごみ、真はようやく我に返ったように、顔を真っ赤にして、手が震えた。その振動で真の膝に水がかかった。
「真、ゆっくり。ゆっくり飲むのよ」
乱菊が肩を支えてくれて、真は手を震わせながらコップに口をつけた。
 檜佐木と吉良と射場は、リサの行動に度肝を抜かされたまま黙り、平子はイライラした様子で水を飲む真を見ていた。
「んな事せんくても良かったやろ、リサ」
「なにい、手っ取り早かったやん。女同士やし、問題無い」
「あんなあ……」
平子は何かを言いかけたが、口をつぐみ、頭をガシガシ掻きながらため息をついた。
「………あの、わたし………変みたいなので………帰ります…………」
真は顔が真っ赤なままフラフラと立ち上がり、目の焦点が合わないまま、蛇行しながら出口に向かっていった。
「………あーもー。ホンマメンドイ」
平子はまたため息をつき、面倒くさそうに真を追っていった。
 その後ろ姿を、皆は心配そうに眺めていた。
「………びびったなあ……まさか甘酒で酔うとは……」
静寂を破ったのは檜佐木だった。
「霧島君の可愛そうな所は、自分から進んで飲んでない所ですよね………」
「あんな酔い方をするとはのぅ……」
「真、体調崩さないといいけど………」


 夜道をフラフラと歩く真に追いつき、平子は真の腕をとった。
「待てや。一人で行くな、危なっかしい」
「平子隊長………」
振り向いた真は、感情が整理できないようで、顔を歪め、目に涙を浮かべていた。
「わ、私……おかしかった……こんなふうになるなんて知ってたら、飲まなかった…………」
「分かっとる。分かっとるから、とりあえず帰るぞ」
真の言葉を遮るように言うと、平子は真を抱きかかえ、瞬歩でその場から立ち去った。


 平子は真をまた自分の邸に連れ帰ると、ベッドに下ろした。
「体は、変な感じせえへんか。気持ち悪いとか、頭痛いとか」
「大丈夫……」
真は気まずそうに体を丸め、平子から目をそらした。平子はしばらく真を観察したあと、キッチンに行き、水を持ってきた。
「真、こっち向き」
平子に促され、真がベッドに仰向けになると、平子はその上に馬乗りになった。
 手に持っていたコップから水を口に含むと、寝ている真に口移しで飲ませた。真は黙って平子から移される水を飲んだ。
 コップの水が無くなると、平子はコップを脇に置き、今度は普通にキスをした。真の体を弄り、乱暴に服を脱がせ、自分の服も荒々しく脱ぎさった。
「お前もごちゃごちゃしとるし、俺もごちゃごちゃしとる。とりあえず、ヤるぞ。ええか」
「………うん……」
真はようやく笑顔を見せ、両腕を広げて平子を受け止めた。

 
 「まだ体に何が起こるか分からんし、今日は泊まってけ」
ベッドに寝転がりながら、平子が隣の真にそう言った。二人とも、まだ服は着ていない。
「うーん……ちょっと考えます」
真は枕に顎を乗せて、浮かない顔で答えた。
「……今何を考えとん」
「いやあ………」
真は横目で平子を見た。
「………嫌われなくて良かったなあ、と」
「俺にか?」
「…うん」
「アホか」
平子はいつも通りの声と、いつも通りの顔でそう言い、真の額にデコピンした。
「甘酒を飲ませたんはあそこにいた全員やし、誰も甘酒で酔うとか思わんかったし、無理矢理口移ししたんはリサやろ。何でお前を嫌うねん」
平子の答えに真は一瞬目を見開いたが、直ぐに困ったような笑顔になった。
「………もう次は飲まない」
「せやな。それがええわ」
真はそのまま平子をジッと見つめ、それに気づいた平子は、ん?と首をかしげた。
「真子さんは、何を考えていたんですか?」
「俺かぁ〜。俺はリサに苛ついとったけど、アイツも悪気とか、下心があった訳やないからなあ。ごちゃごちゃしとった」
「しとった…?」
「もう別にええねん。俺は。お前は、嫌や無かったか」
「ビックリは、したけど…。申し訳なさの方が強いです」
「ほうけ」
「あー、あと、矢胴丸隊長でまだ良かったかな、と」
「まぁのぉ」
平子は手を真の頭に置くと、優しく微笑んだ。
「ま、リサの事は俺からアレコレ言うたらアカンから、お前がどう思うか、しっかり考え」
「………はい」


 翌日、真が出勤すると、乱菊と射場が様子を見に来てくれた。
「真〜、何とも無かった?大丈夫だった?ごめんね、まさか、あんな」
乱菊は真に抱きつき、心配そうに顔を覗き込んだ。
「大丈夫だよ、吐いたりも無かったし。本当にあの場で気が大きくなっただけで…」
真は気まずそうに苦笑いを乱菊に向けた。乱菊も射場もそれを聞いて、ブッと吹き出した。
「ホンマに、お前………ブフォ!平和な奴じゃの〜ブッ!」
「多分、御艇一平和よ、アンタの頭の中。プフッ」
「わ、笑わないでくださいよ!」
腹を抱えて笑う射場を真が止めようとしたが、言えば言うほど二人は思い出して笑ってしまって、収拾がつかなかった。
「何があったんですか?」
3人の様子を見て、雛森が不思議そうに平子に聞くと、平子も思い出して口を押さえた。
「真はな………甘酒で酔うねん」
「え?!甘酒で、ですか?」
驚く雛森を見て、平子は笑いをこらえるように俯き、肩を震わせた。
「ほんでな、酔うと…褒め上戸になんねん………めちゃくちゃ褒めんねん…………ペラペラペラペラと………ブフォ!」
「ちょっと平子隊長!!!!言いふらさないでくださいよ!!!!」
「えー、見たかったです」
「桃さんっ」
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