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平子編

二人のその後 10


 真は平子の覆い被さり、欲望のままにキスをした。普段は平子主導だが、今回は受け身になってくれた。
 真の下でキスを受け止め、体は興奮しながらも、平子の頭は冷静だった。
 平子は自分のベッドテクにやや自信があった。今まで寝た女に言われた事もあったし、気持ち良くさせれているという確信もあった。
 それでこの難攻不落女がここまで乱れたなら、もう胸を張って自分はセックスが上手いと思っていいんじゃないか、と考えていた。
 その真は、というと、息を乱し、腰を平子のそれにこすりつけながら、飢えたようにキスを続けていた。
 下半身への刺激に、平子もどんどん気分が乗ってきた。
「……上手くできない………」
息継ぎをしながら、真が自分のキスのやり方に不安を覚え、小声でそう言った。背伸びが出来ない真を見て、平子はクククッと笑った。
「お前はそれでええねん。必死なんがカワイイやん」
平子は笑いながら、真の腰紐を解いた。合わせを開いて背中に手を這わせると、慣れた手付きでブラのホックを外した。
「屈んで」
平子は体を少し下にずらし、屈んだ真の胸に顔を埋めると、突起に舌を這わせた。
「んっ…」
真の吐息が漏れると、平子は片方の手で胸をもみ、もう片方で尻を撫でた。真の体が反応して、悶えるように腰が動いた。
 平子の指に力が入り、真の尻の割れ目をなぞるように撫でた。だが、ギリギリの所で敏感な所は避けた。
 それに気づいた真は口を尖らし、平子の下半身に手を伸ばすと、固くなったそれをそっと撫でた。
「………どうしてほしいん」
「そっちこそ」
小声の駆け引きをしていると、それを遮るように、けたたましく伝令神機が鳴った。真の伝令神機だった。
 二人は動きを止めて、伝令神機が鳴り終わるのを待った。だが、しばらく経っても伝令神機は鳴り止まなかった。
「止めよか………続きできへんやん……」
「………はい…………」
真は渋々平子から下りて、着替えと一緒に袋に入れた伝令神機を取り出した。
 名前を見ると、乱菊と出ていた。
 乱菊にゲロ甘な真には、その電話を無視することがはばかられた。
「乱菊だ……出ていいですか?」
「……うーん………」
平子は至極残念そうに電話を了承し、真は衣服を乱したまま電話に出た。
「ごめん乱菊、なんだった?」
「ちょっと真!!副隊長になるってホント!?」
「はあ?!」
開口一番に乱菊が副隊長の事を口にし、真は思わず大きな声を出した。真の様子が気になった平子もベッドから降りてきて、真の横に立った。真は電話をスピーカーに切り替えると、会話を続けた。
「誰から聞いたの?」
「円乗寺よ〜、女の副官が来るとか言いふらしてて、誰か聞いたら真って言うからさあ。本当なの?矢胴丸隊長が真を気にしてるとは思ってたけど」
乱菊の話に、真は頭を抱え、平子はゲンナリした。
 何しとんねんアイツ………。
「円成寺さんからは、どこで聞いたの?」
「今ここでよ〜。居酒屋の席が隣だったの」
「ごめん。直ぐそこ行くから、口止めしといてくれない?」
「あ、オッケー。任せて」
真は電話を切ると、大きくため息をついて平子を見た。
「……こういう訳です………」
「………後から俺も行くわ……リサにも俺から言うとく」
「はい………。って、コラコラコラコラ、胸を揉むんじゃない」
「ブラホック直そうとしたら、手が勝手に。背中向けや、直したるから」
「すみません…………コラコラコラコラ。両手で揉むんじゃない」
「手が勝手に」


 服を直した真が乱菊に教えられた居酒屋につくと、床に正座させられる円乗寺と、腕を組んで円乗寺を見下ろす乱菊がいた。その周りを、吉良や檜佐木や射場が囲んでいる。
「アンタさあ、言いふらしていい事と駄目な事ってあるんじゃないの…?」
「はあ…で、ですが、もうほとんど決まっているとゆうか…………」
「何も決まっていませんよ」
真が口を挟むと、その場にいた全員がこっちを向いた。
「ありがとう乱菊。ごめんね」
「いいのよ。全部この男が悪いんだから」
乱菊は円乗寺を一瞥してから、真に場所を開け渡した。真は円乗寺の前に立つと、片膝をついて目線を合わせた。
「…円乗寺さん、他に誰に話したんですか」
「あ、いや、えと……」
「噂が独り歩きしたら、矢胴丸隊長に迷惑がかかります。ハッキリ言ってください」
「この場の人たちと、京楽隊長に………」
うなだれる円乗寺を見て、真も肩を落としてため息をついた。
「まだ何も決まっていないし、私がどうするか決めていても、人事が発表されるまで、あなたが口にして良い事じゃ無いはずだ」
「女の副官の噂を聞いた途端浮かれおって、情けない」
脇で見ていた射場が円乗寺に釘を刺し、円乗寺は大きな体をできるだけ小さくした。
 するとちょうどその時、平子とリサが居酒屋に到着し、それを見た円乗寺の顔がサッと青くなった。平子は死覇装と隊長羽織に着替えていた。
「おんどれコラァ!!!何調子こいた事しとんねん!!!ガシンタレがあ!!!!」
平子は大股で円成寺に詰め寄ると、胸ぐらを掴んで怒鳴りつけた。円乗寺は小さく、ヒッ!と悲鳴を上げ、顔を引つらせた。
「平子隊長、随分怒ってますね………」
「無理もねえよ、ずっと一緒にいた仲間の顔に泥を塗られたんだからな……」
吉良と檜佐木がヒソヒソと話しているのが、真の所にまで聞こえてきた。
 いや、多分あの人、セックスできなかったからキレてるだけだと思う……。
 無表情でことの成り行きを見守りながら、真は心の中でそう思った。
「真子、ええよ。うちの部下やし、あたしがやるわ。円乗寺、ちょっとこやあ」
リサが円乗寺を顎で呼びつけ、円乗寺はトボトボとリサについて店の外に出ていった。
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